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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第24章 おばちゃん、獣人の国へ行く

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第308話

 イザーク兄様が復活するのにかかった時間は、二、三分ほどだったろうか。


「はっ!? わ、私が幼女趣味……」


 うん、気付いていなかった模様。というか、誰も指摘してこなかったのか。オズワルドさんやカークさん、従者でしょ。近くにいたなら、注意してあげなきゃ駄目じゃないの。


「いやぁ……イザーク兄様が、まるで私へのプロポーズみたいなこと言うからさぁ」


 困ったような顔をしながらそう言うと、イザーク兄様はポッと頬を染める。

 マジか。


「……私はそのつもりなのだが」


 おいっ!


「はぁ……本気ですか? 私、見た目が12歳なのに(ここは譲れない)」

「イザーク兄さん、ミーシャの見た目、わかって言ってます? どう見ても十歳ですよ?」

「(十歳じゃないわいっ!)だから幼女趣味なのかって聞いたのに」


 私とパメラ姉様の言葉に、ようやく、本当にようやく、私の姿が目に入った模様。頭の先から足の先(布団に隠れているけれど)までを見て、サッと青ざめる。


「そ、そんなことはない! わ、私はミーシャにしかときめかない!」


 ……うん、二十代半ばの男性が言うセリフじゃないよね。ときめく、とか。

 私は遠い目になりながら、天井を見つめる。絶対、おかしい。こうも私限定だと、縋りつくように言うイザーク兄様。まさか、私が無意識に魅了でもかけているのだろうか。いや、私のスキルや使える魔法には魅了はなかったはず。

 そして、思いつく。


 ――まさか、アルム様!?


 そう思っただけで、彼が「てへっ♪」と舌を出してお道化ている姿が頭をよぎった。あの人が、何かやったに違いない! 

 私がわなわなと手を握りしめて、内心憤っている間、双子とイザーク兄様の会話は進んでいく。


「兄さん、皆心配してたんだよ」

「そうね。どう見ても、ミーシャに対する接し方、普通じゃなかったもの」


 双子が懇々と説明をしていく。第三者視点で見ると、だいぶヤバかったらしい。この世界でも、成人前の子供に対してどうこう、というのは、犯罪者に近い扱いになるのだとか。

 そして、家族たちから見ても、イザーク兄様、犯罪者、一歩手前に見えていたらしい。私とイザーク兄様との接点が、ほとんどがリンドベル家などの身内の中でだったから、他の人が知ることはなかったかもしれないけど。

 ……よかったね、犯罪者にならなくて。

 双子の説明で、口から魂が抜けていくような顔になっているイザーク兄様。 


「……イザーク兄様」

「……はい」


 あまりにもしょんぼりしている姿に、気の毒になっていく。未確定ではあるものの、普段冷静でデキる人なイザーク兄様が変になるのは、アルム様のせいかもしれない、と思ったら、強く言えなくなる。

 そりゃね、二度目の人生、イケメンとの恋とか、憧れないわけではない。いくつになっても、心の中には乙女な部分はあるんだもの。しかし、しかしなのだ。


「幼女趣味は嫌」


 ガーン、という効果音が聞こえてきそうなくらいショックな顔に、プッと、笑いが漏れる。私ではない。ニコラス兄様だ。


「よ、幼女趣味ではない、はず、なの……だが」

「うん、だったらね……私がもう少し大きくなってから、その時になっても、その……プ、プロポーズしたいと思うなら、プロポーズしてください」

「し、しかし、それより先にミーシャが他の誰かと婚約してしまったら!」


 いや、ないでしょ。無理矢理婚約とかできないし、させるつもりもないし。それに、私がイザーク兄様以外に、誰か好きな人ができてしまったら、それは、それ。イザーク兄様、ごめんなさい、というだけの話だ。

 ……今は、ちょっとだけ、イザーク兄様、かわいい、と思ってるけど。


「私、しばらく、婚約だとか結婚だとかは、考えたくないんだよね。むしろ、もっと、色々、見て回って、この世界を満喫したい」


 私のこの言葉に、イザーク兄様はどこかホッとした顔になる。


「むしろ、イザーク兄様の方が、年齢的にも早く結婚を考えなきゃいけないのでは?」

「そのつもりはない」 


 被せ気味に否定してきたイザーク兄様だけど、人の気持ちはわからないからねぇ。


「とにかく……私はもう近衛騎士は辞してきた。戻るつもりもないし、ミーシャの護衛として、共に旅がしたいのだ」


 キラキラした眼差しで再び見つめられたら、もう、ため息しかでない。

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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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