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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第24章 おばちゃん、獣人の国へ行く

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第284話

 翌日、私たちは再びダンジョンに向かうことになった。双子が階層チャレンジを望んだから。それも、五十六階以上に進む気なのだ。約五日かけて、やっと四十階についたばかりなのに、これから階層更新するなんて、どれくらいかかるのか。なぜかヘリウスたちも同行するらしい。公爵の仕事が終わって暇なんだとか。

 ちなみに、お茶の農園も見ていないし、当然、お茶の購入も出来ていない。朝起きて着替え終わった途端、ニコラス兄様に抱えられていた。その上、朝食抜きで、そのままダンジョンに直行とか、ひどすぎる。朝食は大事なのに。


「攻略終わったら、存分に付き合うからさ」

「いつ終わるのよっ!」

「ヘリウスもいるから、すぐだよ、すぐ」

「おう、任せろ。あっという間だ」


 イスタくんもコクコクと頷いている。イスタくんも一応冒険者登録をしているらしく、こう見えてすでにCランクになったばかりなのだとか。私と見た目変わらないのに、既にCランクと聞いて、びっくりした。

 普通に十七歳くらいの人族じゃ、よっぽどでなければDランクが平均だと聞いている。それを思うと、二十一歳の双子が既にAランクっていうのがおかしいんだと思う。私? 私は永遠のEランク。たぶん、これ以上は上がらない……はずだ。

 ダンジョンの入口で受付を終ると、転移の部屋で目的地、四十階に飛ぶ。全員が四十階に飛んだところを見ると、ヘリウスたちもまだ五十階までは攻略していない、ということなんだろう。


 転移の部屋を出てすぐ、鼻につく腐敗臭に顔を顰める。獣人の二人は、もっとキツそう。イスタくん、すでに涙目。

 そして、私たちの目の前に、真っ赤な空に真っ暗な森が広がっている。これでヨーロッパのお城みたいなのがあったら、ドラキュラあたりがいても驚かない。まさに、なんか、出そうな雰囲気。『逢魔が時』という言葉が頭に浮かぶ。


「四十階からは、少しばかり面倒なんだよな」


 ヘリウスのどこかうんざりしたような声に、なんとなく予想ができてしまう。もしかして、アレですか。アレが出るんですか。


 うぉぉぉ~

 あぁぁぁぁ~


 どこかから、微かに不気味な呻き声がいくつも聞こえてきた。


「アンデッドが来るぞ」


 ヘリウスの押し殺した声に、全員が身構える。

 アンデッド……ゾンビみたいなのが来るってこと。話には聞いていても、今まで実物は見たことがない。あちらでもホラー映画は好きではなかったので、ゾンビものとかはCMで見た程度。それですら、嫌だなぁ、と思うのに。こんなフロアはさっさと突破するに限る。

 地図情報をさっさと立ち上げる。赤い点がゆっくりと動いてるのがわかる。あの手の魔物は、動きが遅いのだろうか。そのうちの数体が、私たちの方に向かっているのがわかる。

 出口は、直線で行くなら右手の奥。途中に大きな池のようなのがあるようで、そのままは進めないようだ。そして、右手の方が赤い点の数が多い。私が出口の方向を指摘すると、ヘリウスたち獣人はギョッとした顔をする。しかし、今は、そんなことを気にしている場合ではない。


「パメラ姉様、ニコラス兄様、敵は右側に多くいます。まずは、左手からまわりこみましょう」

「了解」

「は? どういうこった!?」


 驚きの声をあげたヘリウスをよそに、私は再びニコラス兄様に抱えられる。とりあえず、行けるとこまで抱えて走るつもりらしい。私も二人に身体強化の魔法をかけると、地図に目を向ける。


「あっちが手薄です」

「いくぞ」

「チッ、後で説明しろっ」


 ……するわけないでしょ。

 ニコラス兄様に抱えられながら、あっかんべー、と舌を出す私なのであった。

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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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