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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第4章 おばちゃん、街道を旅する(1)

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第27話

 最初の町から離れて二日目の夕方。

 街道の先に、城壁らしきものが見えてきた。王都周辺は四つの公爵領に囲まれているから、その一つの公爵領の領都アルトムだ。

 長い行列に、この馬車も並ぶらしい。中に入るためには、一度馬車から降りないといけないようで、そのせいで長くなっているみたいだ。


 乗合馬車が中に入れたのは、すっかり日が落ちてしまっていた。

 私は身分証らしいものを持ってなかったので、通行税銅貨十枚を払って中に入ることが出来た。その時、守衛のおじさんから、冒険者ギルドや商業ギルドに登録すると、身分証がもらえるという話を聞いた。この身分証があれば、通行税はタダになる。

 これから先、いくつかの街を通っていくたびに、通行税を払わなきゃいけないことを考えると、今、ここでどちらかに登録しておいたほうが、節約になる……お財布の中身は減らないみたいだけど。

 冒険者ギルドは二十四時間営業らしく、いつでも対応してくれるらしい。それだけ緊急対応するようなことがあるってことだろう。まずは、宿屋だけでも確保してから、ギルドに向かおうと心に決めた。


 私たちの乗っている馬車は、乗合馬車の集まっているロータリーっぽいところに入ると、ゆっくりと停まった。とりあえず、到着というところか。

 ここに入ってくるまで街並みを眺めてたけど、かなり立派な街に見える。通り沿いに宿屋がいくつかあって、どこにいけばいいのか迷う。

 集合時間はこの前と同じ、ということで、私は宿屋を探さなくては。とりあえず、御者のおじさんか、護衛でついてきたおじさんに聞いてみるべきか。


「あの」

「ん、どうした」


 三人は固まって明日のことを話しているようだった。


「邪魔してすみません、この街の宿屋って、おススメとかありますか」

「あ? いやぁ、俺たちはいつも乗合馬車の警護もあって、宿には泊まってないんだよ」

「そうなんですか」


 うわ、予想外の回答。

 参ったな、と思っていると、別の乗合馬車から降りてきた冒険者風のお兄さんが、私に声をかけてきた。


「おい、だったら、俺んちに来いよ」

「おう、お前んとこか」

「え、え、え?」


 私を置いて、おじさんたちで話が盛り上がる。

 どうもこのお兄さん、ここが地元で実家が小さな宿屋をやってるらしい。なんというラッキー。


「明日には俺も、また護衛で折り返し出かけなきゃいけないんだけどな」


 お兄さん、オースという名前の港町との往復の乗合馬車の護衛をしているらしい。

 その町で結婚して奥さんと子供はそっちにいるらしい。


「お前、一人だけか」

「は、はい」

「よし、じゃあ、先にお前を送っていくか。悪い、すぐ戻る」


 お兄さんは自分のところの御者の人に声をかけると、ほら、行くぞ、と私の前を歩いていく。

 うう、どんどん離される!

 もうっ!ちょっと待ってよ! 足の長さが違うんだよ~!

 最後には、お兄さんの後を走って追いかけることになってしまった。とほほ。

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