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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第23章 おばちゃん、ダンジョンに挑戦する

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第272話

 どったんばったん

 ギャーギャー、グワァァァ、ギャギャギャッ

 どっせいっ!

 ブォォォォッ


 ……何の音かと言えば、双子無双中の効果音。私の背後で魔物たちと戦闘中。このダンジョンに入って、すでに半日以上。二人が馬鹿みたいに強いのは見慣れてしまい、私の方もこのフロアに現れる魔物にも慣れた。階層でいえば三十二階層。地下に降りていっているはずなのに、森が広がっている不思議な空間。

 そして、ここで現れる魔物は、私が存在するだけで浄化する力では、めげないらしい。本気出したら、どうなるんだろう、と思ったけど、やらない。ここに潜ってる冒険者たちは、稼ぎにきているんだろうから。


 私? 私は自分の周りにしっかり結界張って、崖に埋まっている白っぽい鉱石をホリホリしている。ペトリスと呼ばれるこの鉱石、上級の石化を解く薬に使えるのだ。これを使った薬がうちの店にはないのは、レヴィエスタでは採掘されないから。

 コカトリスの卵の殻でも、石化を治せるけど、時間が経ちすぎていると、それだけ石化を解くのに時間がかかる。このペトリスが入っている薬は、効き目の早さが断然に違うそうだ(薬師の師匠、ポポ氏曰く)。滅多に手に入らないこの石が目の前にあって、掘らないという選択肢はない。


 私が連れてこられたのは、案の定、上級者向けと言われるダンジョン。入口には冒険者ギルドの出張所みたいなのまで設置されている。というのも、このダンジョンには、リンドベル家にある『転移の間』のように、転移できる施設が置かれているのだ。

 なぜならば、初心者用のダンジョンはただひたすらに広いだけの一階層だったのに比べ、このダンジョンは階層がすんごく深いのだそうだ。何せ、まだ誰も最下層に到達していない上に、どんどんと深くなっているらしい。確認されているだけで、今現在、五十六階もあるそうだ。こういうのを、生きたダンジョン、とでもいうんだろうか。

 一応、十階層ごとにセーフティーゾーンのような場所に、転移できる施設を置いてあるらしい。なんとも便利、と言いたいところだけれど、そこに行くまでが大変らしい。

 今私たちがいる三十二階というのも、双子が既に三十階まで攻略済みだったから。そうじゃなきゃ、半日でここまでなんか来られるわけもない。しかし、よくまぁ、ここまで潜れたものだ、と思う。ワンフロアとはいえ、次へと向かう階段がどこにあるかなんて、普通なら全然わからないはずだもの……私は地図情報でわかっちゃうけど(えへ)。

 そして当然、現れる魔物たちのレベルも最初から高めなせいもあって、入場時のギルドカードのチェックで初心者と思われる低レベルの冒険者は弾かれる。私の場合は、同行者が二人ともがAランクだったのと、ポーター(荷物持ち)扱いになっていたこともある。


 ドンッ、という重い音が近くで聞こえたので、慌てて目を上げると、大きな生き物……これは熊か何かだろうか、それが結界の上に乗っかっているのだ。


「げ、何、これ」

「ごめん、ごめ~ん」


 少しだけ額に汗が浮かんでいるパメラ姉様が笑顔で振り向く。彼女の目の前には、まだ数体の黒い狼っぽい魔物が攻撃しようと狙っている。


「よそ見してないで、それも始末しちゃったら?」

「はいは~い」


 私の呆れた声に、のんきに返事をしたかと思えば、あっという間に、狼の魔物のバラバラ死体の出来上がり。


「パメラ~」

「ちょっと、ニコラス、そっち終わってないわよ」

「わかってるって~」


 ニコラス兄様の唱える精霊魔法で、色違いでグレーがかった狼の魔物が切り刻まれる。さすがAランクだわ。

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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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