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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第23章 おばちゃん、ダンジョンに挑戦する

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第268話

 残り物には福がある、とはよく言ったものだ。

 使用人たちの部屋での食事のおかげで、休憩に来る人や、通りすがりに立ち寄る人に、この群島のことについて色々と話を聞かせてもらった。特に、私の見かけが見かけのせいだろう。町や屋敷の下世話な話から、特産品や料理、魔物の話や言い伝えまで。

 基本、南の島の人間というのは、どこかのんびりと、大らかで、話好きらしい。貴族たちの前ではちゃんとしているが、裏に回れば、気のいい人が多いようだ。


 その中で、面白い話が聞けた。

 群島、と言われるだけあって、たくさんの島々からなっているのは当然だが、無人島と言われる場所も多数存在するとか。その中でも、群島の一番南の端の島は火山島になっているようで、今も噴煙を上げているそうだ。

 火山と言われれば、温泉をすぐに連想する私。こちらに来てから、温泉の話など聞いたことがなかった。もしかしたら、その火山島、もしくは周辺の島になら、温泉が湧いているんじゃないか、という淡い期待が浮かぶ。

 そして、火山島の他にも、魔物ならぬ人魚のような存在もいるのだとか。人魚といえば、某有名アニメの人魚姫を連想するけれど、どうも違うモノらしい。話を聞くと、どちらかといえば半魚人のようだ。ちょっと夢を壊された気分になる。

 しかし、一応コミュニケーションが成り立つらしく、交易みたいなものがあるそうな。この世界、話だけでは獣人がいるらしいから、魚人もいてもおかしくはないのか。


 それでも、南国の島のイメージ自体は覆されなかった。


「無人島暮らし、いいなぁ」


 フォークに真っ赤に熟したオレンジのようなモノを刺しながら、ポツリと呟く。

 長期でそこに居続けるのは微妙だけれど、白い砂浜に大きなパラソル、サングラスをかけた美女(私ではない)というイメージが浮かび、別荘的にいるのはゴージャスな感じで、妄想が膨らむ。

 しかし、無人島だけに、そんな別荘なんてあるわけもなし。実際、貴族の別荘のある島は存在するらしいが、補給の観点から、大きな島に集中しているらしく、当然、無人島ではない。

 それに南国ならではの難点もある。台風のような暴風雨の存在だ。特に、今の季節は起こりやすいらしく、今回の天候での寄港は運がいいらしい。


 色々と考えつつ、食事を終える頃、双子たちが迎えに来た。

 その途端、同じテーブルについて食事をしていた使用人や、サボりに来てた者たちの動きが止まる。そりゃそうだ。こんな美男美女が、いきなり使用人たちの部屋になんて来るんだもの。


「あら、ミーシャ、似合ってるわね」

「カッコいいじゃないか」


 自分でも、そこそこ似合ってると思っていただけに、二人の賞賛に、ニヤリと笑ってみせる。


「もう、終り?」

「ああ、一通り挨拶は済んだ。宿も用意してもらったから、行こうか」

「せっかくだし、観光もしたいしね」


 双子の提案に頷くと、私は共にいた使用人たちに挨拶をして部屋を後にした。

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おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

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おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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