表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第22章 おばちゃん、海賊と遭遇する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

296/420

第261話

 海に落ちたと思われる男がどうなったか、というのを考えてはいけない。私は頭を振るって、地図情報の画面に目を向ける。いつの間にか赤い点はほとんど消えていた。海賊もこの船なんか狙わなければ、こんな目に合わないで済んだろうに。

 ようやく船の中が落ち着いたのか、部屋のドアをノックする音がした。私は用心深くドアの脇に近寄ると、声をかけた。


「どなた」

『パメラ』

『ニコラス』


 二人の声に、私はすぐに結界を解いて、ドアを急いで開ける。そこには、血塗れになっているパメラ姉様と、まったく汚れていないニコラス兄様が、余裕の表情で立っていた。オークの時も思ったけれど、パメラ姉様、本当に戦闘狂なのね。


「お帰りなさい! お疲れ様!」


 血の匂いが鼻につくけれど、本人の血ではないはず。抱きつきたいところだけど、これは嫌だ。つい、顔が引きつる。


『美佐江、私もいるのよ』

「ああ、精霊王様もありがとう」


 いつの間にか私の傍らに現れていたリアルサイズの水の精霊王様。私の労いの言葉に、嬉しそうに抱きついてくる。豊満な胸がむにゅーっと私の頬にぶつかってくる。


「はぁ、なかなか、いい運動になったわ」

「あーっ! そのまま入らないで!」


 私は慌てて『クリーン』の魔法をかける。後で、廊下の方もかけておかないと駄目かもしれない。それとも、船員さんたちがやってくれるのだろうか?

 綺麗になったパメラ姉様に、ようやっと抱きつく。


「はぁ……無事でよかった」

「何? 心配してくれたの?」

「当たり前でしょ? 何があるかわからないんだもの」

「そうだよな。精霊王様のサポートがあって助かった部分もあったし」

「何かあったの?」


 ソファにそれぞれ座ると、ニコラス兄様が話し出した。

 

 二人が甲板に出た時には、すでに戦闘は始まっていたらしい。この船に雇われていた護衛たちだ。しかし、歴戦の海賊には押され気味で、双子たちが出て行かなかったら、確実に殺されていたかもしれなかったそうだ。

 海賊の人数にして、三、四十はいたんじゃないか、とのこと。運がよかったのは、海賊たちのほうに魔法使いがほとんどいなかったこと。後方支援にそれらしいのがいたようだけれど、攻撃にまでは回ってくるようではなかったのだとか。

 海賊共は、パメラ姉様を見て、大喜びで襲い掛かってきたそうだ。そりゃ、そうだ。これだけの美女だもの。女日照りが想像できる海賊生活に、こんな美女が現れれば、奴らが集まりだすのは想像に難くない。

 

 ――ゴキ〇リホイホイだな。


 あまりいい例えではないかもしれないけれど。

 でも、私の『身体強化』のおかげで、いつも以上に動きのキレがよかったそうで、どんどんと始末されていったとか。その間、当然、ニコラス兄様も他の護衛達をフォローしながら、魔法で攻撃をしていたらしい。

 しかし、パメラ姉様もいい気になっちゃったのか、気が付いたら、相手側の頭とぶつかったらしい。それでも、姉様のことなので大丈夫だと思ったらしいんだけど、ちょっとバランスを崩す瞬間があったらしい。ニコラス兄様の場所からは遠くて、手が出せない、そんな瞬間に、精霊王様が瞬時に海賊の頭を凍らせたらしい。


『パメラのことだから、大丈夫だとは思ったのだけれど。余計なことでなかったならばよいが?』

「いえ、あの時は助かりました」


 素直にそう言うパメラ姉様。互いに笑みを浮かべ合う姿は、なかなかに見ごたえのある絵画のようだ。

 そして精霊王様が現れた時点で、戦闘は終了。護衛たちを避けて、海賊全員が氷漬けにされたらしい。ニコラス兄様の魔法でも、そんなことは出来ないという。ニコラス兄様、水よりも風と相性がいいしね。下手したら、皆、切り刻まれてたかもしれない。うわー、血だらけの甲板とか、嫌すぎる。


『あまり手を出さないほうがよいかとも思ったのだけど……時間がかかりそうだったのでのぉ……』

「あはは、すみません。さすがに精霊王様の登場に、他の護衛たちもびっくりしていましたね」


 皆でそんな話をしているところで、ドアがノックされた。

 ……今度は、何?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=791464659&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ