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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第21章 おばちゃん、港町に向かう

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第251話

 転移して宿に戻る。こっちは見事な晴天だ。

 朝早めに出るつもりだったのが、森の家でなんだかんだと時間を使ったせいで、少し出遅れた。


「おや、のんびりだね」


 小さなおばあちゃんは、高い椅子に座っているのか、今日はカウンターの中にいても上半身が見えている。


「ああ。世話になったね」

「気を付けてお行き」


 小さなおばあちゃんに見送られながら、宿を出る私たち。厩舎から馬たちを連れ出すと、通りの方へと向かう。街の中はすでに人の流れが出来ている。

 私たちはのろのろと街の中を抜け、ようやく帝国側の入口に立つ。本来なら、ここで出入国のために身分証を見せたりするんだけれど、最近は、それもないらしい。帝国から流出する人の数が多すぎて、チェックするための役人の数が足りないらしい。この時間ですでにこの人の多さでは、さもありなん。

 さすがに帝都の方も、田舎のことに目が届かないってことなのか。私たちは入国する側なんだけど、それも簡単にスルーされた。

 目の前には草原が広がり、街道が一本、真っ直ぐに続いている。長閑な雰囲気の街道を、人や馬車の流れがばらけるまで、私たちものんびり進む。


「……久しぶり、なんだろうけど、ちょっとピンとこないね」


 馬上でポツリとそう呟くと、私の背後に座っていたパメラ姉様が優しく頭を撫でる。


「まぁね。帝都とここら辺じゃ違うしね」

「あちらからしてみれば、ド田舎だもんな」


 私のイメージは、あの金ぴかな王族や貴族のいる世界だったし。


「確かに、何にもないねぇ」

「少しばらけてきたぞ……行くぞ」

「はいはい」


 旅は順調に進んでいく。帝国の中でも特にトラブルもなく、一週間もしないうちに、エシトニアについてしまう。あまりに順調すぎて、逆に心配になるくらい。

 そして肝心のエシトニア。さすが農業大国。まさに穀倉地帯と言われるだけあって、北海道のあの広大な風景(テレビくらいでしか見たことはないけれど)を連想させるような田園風景が広がっていた。 

 点々とある村に立ち寄っては、その地の名物や特産だという食べ物を食べては舌鼓をうち、気にいったものを見つければ爆買いをするという『冒険者』らしからぬ私たち。一度、買い付けたものを、その日のうちにリンドベルの屋敷に転移してお土産としてお届けしたら、ヘリオルド兄様に笑顔で軍資金を渡された。ついでに料理長さんに美味しい料理にしてもらったのは言うまでもない。

 それもこれも、無制限に入れられるアイテムボックスのせいだと思う。自重しなかった私たちも悪いけど。

 いつの間にか、私たちは爆買いの美形の双子(と、そのお付き)で、有名になっていた。冒険者としてではなく、どこぞの謎の貴族として。私の扱いが『お付き』だったからか、双子は、かなりご不満な様子。いや、私はそれで十分ですって。

 港町の石垣が見えてきた辺りで、一旦、転移で馬たちをリンドベルの屋敷に届けて、私たちは徒歩で町を目指す。


「う~ん、潮の匂いがする~」


 鼻をくんくんさせながら、どことなく懐かしい匂いに、頬が緩む。海なんて、あちらでも滅多に行かなかった。海水浴なんて、うん十年前に行ったきり。


「海だからねぇ」

「魚介類、美味しいものがあるといいねぇ」

「新鮮なだけでも、十分美味しいと思うけどね」


 ここでも私たちは爆買い決定なようだ。フフフ、料理長さんの腕に期待だ。

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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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