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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第21章 おばちゃん、港町に向かう

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第246話

 双子がお代わりする暇もなく、スープの入った寸胴は、あっという間に空っぽになった。おかげで、休憩場所を出る時には、二人ともが、超不機嫌。


「明日も作ってあげるからさ」

「本当!?」

「あ、じゃあ、明日はトマトベースのがいいな」

「はぁ……わかった、わかった」

「やったね!」


 ……子供だ。二人ともが、すぐにご機嫌に変わる。

 しかし、美味しそうに食べてくれるのを知っているから、仕方がないなって思う。

 結局、あの強盗(仮)は、金を払ってまでは食べる気はなかったようで、近寄ってこなかった。近寄ってきたところで、他の人たちから追い返されそうだったけど。


 平原を真っ直ぐに伸びる街道を進むのは、森の中を突っ切るよりも早いのは確かだ。トーラス帝国に入るための国境の砦のある街の石壁が、微かに見え始めた。

 この砦を越えて、馬車で二日ほど行ったところで二股に分かれる道があるらしい。片方は当然、帝都行き。もう一方は農業大国で有名なエシトニア王国。最初、シャトルワース王国から逃亡する時に、乗合馬車で行くのを諦めた方の道にあった国だ。

 帝国内の街道でまっすぐに向かうのは、最初から選択肢にはなかった。コークシス王国は帝国でも帝都寄りにある国で、物騒になってる場所に向かう街道は、何があるかわからないだけに、行きたくはない。

 なので船で行くのがベターかな、と思ってはいるんだけれど、エシトニアにある港町に向かうか、帝国内にある最寄りの港町に向かうか、まだ迷っている。


「どうせ急ぎの旅じゃないんだし、エシトニアで美味しい物でも食べて行くのもアリじゃない?」


 そう言い出すのは、食いしん坊のパメラ姉様。あんなに食べてもスレンダーな体型を維持しているのが、不思議でならない。


「でもなぁ、この時期、あの辺りの海は海流のせいもあって、荒れてるんだよなぁ」

「それって、船が出ないくらいに酷いの?」


 すでに陽が傾き、赤い夕焼けが砦の建物を染めている。そんな中、私たちは中に入るために門の前に並んでいる。私を含め、周りの人々はお疲れ気味なのに、双子はそんな素振りもない。さすが、A級冒険者。

 しかし、これは時間がかかりそうだ。


「そんなことはないよ。一応、定期運航しているからね」

「コークシスに定期便があるの?」

「ああ。コークシスはダンジョンとお茶が有名なんだけど、それに特化しちゃってるせいか、農作物はあまり育ててないらしいんだ。だから、エシトニアから輸入してる」

「コークシスって、帝国の他にも周囲にも近くにはいくつかの国があったよね? そういう近隣の国からは輸入しないの?」

「そうだなぁ。ドワーフの国のソウロン王国と獣人の国のウルトガ王国、この二か国はあまり農業が盛んではないし、人族の治めるナディス王国とトーレス王国も、自国の分で精一杯だろう。むしろ、彼らもエシトニアからの輸入に頼っているって聞いてる」


 そんなに輸出できるほどの農作物を育てている国なのか、と思うと、感心してしまう。もしかして、土の精霊王様に愛されている国だったりして。


『ウフフ、そうよ』


 いきなり私の耳元で、土の精霊王様の声が聞こえてきた。


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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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