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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第20章 おばちゃん、旅に出る

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第237話

 ジーナ姉様は頑張った。

 あれから、またしばらくかかったけれど、日付が変わった直後に、無事に赤ん坊が産まれた。男の子だ。

 ヘリオルド兄様とジーナ姉様の子供だから、産まれたてでも可愛いかも、と思ったが、やっぱり、お猿さんだった。お猿さんなりに可愛いとは思った。きっと人になった時には、激カワになるに違いない。

 元気な産声とともに、部屋の外でも、エドワルドお父様たちの叫び声が聞こえてきて、びっくりした。

 そして、悪者退治から戻って来ていた精霊王様たちは満面の笑みを浮かべながら、赤ん坊に祝福を与えた。この世界に、精霊王様たちにこんなに祝福された赤ん坊はいないだろう。

 一応、ジーナ姉様に『聖女』としても、なんて頼まれたから、気休めになるなら、と、恥ずかしながら、赤ん坊の額にキスをしてみた。私なりの祝福を与えたつもりだ。祝福になるのかは、甚だ疑問だが。


 リンドベル家の皆が赤ん坊に夢中になっている間に、隣の部屋で精霊王様たちに状況の確認だけはさせてもらった。

 アルム様の言葉通り、リンドベル領に入ったあたりの街道を、大きな黒い馬車が御者も乗せずに、真っ暗闇の中を猛スピードで走っていたらしい。想像しただけで、鳥肌がたつ。

 精霊王様たちがその馬車を止めると、中から黒い瘴気にまみれた人だったモノが現れたそうだが、精霊王様たちにかかれば、簡単に浄化されたらしい。黒い馬車はそのまま残してきたらしいので、後でヘリオルド兄様にでも話して、本当にリドリー伯爵のモノなのか、ちゃんと調べてから始末してもらったほうがいいかもしれない。

 それにしても、その『瘴気にまみれたモノ』がリドリー伯爵令嬢だったとして、どうやって、彼女がここまでやってこれたのだろうか。だいたい、御者もないで馬車が走るって、どこぞの遊園地のお化け屋敷かい、って思ってしまう。

 そもそも、屋敷の奥に閉じ込められてた者が、簡単に外に出られるのだろうか。誰かの手引きがあるにしても、リドリー伯爵家の人間がやるだろうか。そして、その瘴気まみれになっていたのは、呪い返しが要因なのか? それとも、他に理由が?

 ここ最近の嫌なことを思い出し、つい、言葉になる。


「ないとは思うけど……あの新興宗教が絡んでるなんてことはないよね」

『どうであろうな……美佐江が望むなら、精霊たちに調べさせようか』


 風の精霊王様が、私の頭を撫でながら聞いてくる。ほんと、好きだなぁ。私の頭。


「……そうだね。違うならいいけど、そうだったら……もう、消し去っちゃってもいいかなって」

『おお、やっとその気になったか!』

『うふふ、腕がなるわねぇ』


 ボコる気満々の火の精霊王様と水の精霊王様。

 やっと幸せそうな笑顔を取り戻したリンドベル家の皆の希望を、消そうとしたんだもの。その償いはしてもらわないとねぇ?


「まずは、風の精霊王様、お願いできますか?」

『フフフ、任せておけ。美佐江の頼みくらい、簡単なことだ』


 そう言うと、パチンっと指を鳴らす。すると、いくつもの淡い緑の光の球が浮かび上がる。


『お前たち、行ってこい』


 風の精霊王様の声に反応して、一気に飛び去る光の球たちに、思わず目を瞠る。


『さぁ、この話は一旦、おしまい。美佐江も、あの中に戻りなさい』


 土の精霊王様に背中を押され、隣の部屋へと戻される。


「ミーシャ!」


 ジーナ姉様の声に、目を向けると、赤ん坊を抱えて嬉しそうに微笑んでいる姿。

 その様子に、私も笑みを浮かべながら、ベッドの方へと歩き出した。

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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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