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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第19章 おばちゃん、恋愛はほどほどがいいと思う

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第225話

 レヴィエスタに戻った場所、なんと、謁見の間でした。確かにこの大人数が入り切れそうな広さの場所と言ったら、そこくらいしか、私も想像できなかったけど。その場所に団体さんで登場してしまった私たち。運よく、誰もいない時間帯だったからよかったけど、謁見している時間だったら、大騒ぎになっていたことだろう。

 しかし、それでも騒ぎにはなるわけで、謁見の間を出てみたら、ドアの両サイドで警備してた人たちに驚かれた。そりゃ、そうだろう。これだけの大人数が、誰もいないところから出てきたのだもの。


「後は王子にお任せしてもいいですか? 兄様を休ませたいんで」

「あ、ああ。できれば国王陛下にも報告したいので、同席していただけると助かるんだが」

「ん~、まぁ、いきなりの展開ですものね。説明必要ですよね……これからの帝国のことも含めて」

「あ、ああ。そうだな」


 そんなに怖い顔してたかなぁ? と思うくらい、王子たちは顔を引きつらせている。


 そこからは早かった。兄様をそのまま王都の屋敷まで連れて行き、しばらくお仕事を休ませた。当然、私、『聖女』としての権限で。今まで、この国に対して権力のようなものを使ったことはないし、むしろ、逆に色々面倒なことをやってきてあげたと思う。だから、兄様を休ませることぐらい、大したことはないだろう。第一王子が認めたのだ。誰にも文句は言わせない。

 そして、一応、王都の教会、正確には枢機卿に、教会本部宛に、早い所、帝国から出た方がいいですよ~、と連絡してもらった。なにせ、精霊王様たちを怒らせた国だ。これからどんなことが起こるか考えたら、逃げ出しておくべきだろう。それでも残るというのであれば、それは自業自得だ。

 しかし、教会側の反応は素早かった。連絡をした翌日には枢機卿に返事があり、教会本部で声明が発表されたらしい。


『四大精霊及び、聖女様への無礼な行いをした帝国皇室により、この国は破滅に向かうだろう』

 

 うむ。間違いではない。どの程度の破滅具合かといえば、まずは水の精霊王様から、帝都の水源となる川が干上がり、火の精霊王様からは、武器屋の竈の火が熾らなくなり、いくつかの休火山を活火山に変え、風の精霊王様からは、風が止まったせいで雨も降らなくなり、土の精霊王様からは、帝都周辺の土地の力を奪ってしまったという。一応、帝都中心にじわじわと広がっていくつもりらしく、精霊王様たちは楽しそうに語る。

 利口な領主であれば、独立することを考えるだろうな。一応、帝国縛りでの災いなので。巨大な帝国とはいっても、いくつもの国を飲み込んで出来たもの。すぐに分裂していくだろう。

 せっかくの誕生祭を楽しみにして行った国だったのに、滅びのキッカケを作りにいったみたいだ。生まれたばかりのあの子は、これからどうなっていくのだろう。罪のない赤ん坊のことを考えると、可哀相になる。


『まぁ。美佐江は優しいのね』


 ミニチュアサイズになった水の精霊王様が、ぽよんと浮かぶ。これが、あの絶世の美女になるんだから、世の中、理不尽だな。


「優しいっていうか……親のせいで苦労するのって、可哀相じゃない?」

『あら。でも、あのままの環境だったら、あの子もあの馬鹿皇太子みたいに育ってたかもしれないわよ?』

「まぁ、そうかもしれないけど……」


 確かに環境が人を作り上げるのは否めない。


『大丈夫だ』


 いきなり声をかけてきたのは、ミニチュアサイズの風の精霊王様。


『皇太子妃が利口だったようで、その日のうちに王子を連れて、母国に戻ったらしいぞ』

「え!? それ、本当!?」

『ああ、皇太子妃は風の精霊に好かれていてな。その精霊からの話だ』

「うわ~。ということは、夫である皇太子よりも息子の方をとったわけだ」

『だな』


 まぁ、そこそこのイケメンだったけど、あんな性格じゃ、お妃さまだって愛想を尽かせたのだろう。

 なんにせよ、帝国が完全に崩壊するまで、そんなに時間はかからないだろう。

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