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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第3章 おばちゃん、王都脱出を試みる

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第23話

 朝日の細い光線が城壁から差し込んでくる。

 王都の外れ、乗合馬車の集合場所には何台かの馬車に、冒険者っぽい人たちがたむろしている。それを眺めるように、少し離れたところに固まってる人たちは、出発待ちの人たちかもしれない。

 集合場所の前にある石造りでできた建物のドアを開けると、私同様、これから旅に出ようとしている人たちで溢れていた。


「はい、次の人~」


 いくつかの窓口に並んでる列を見る。私が行くべき窓口は。


「おい、さっさと並べよ」

「あ、ご、ごめんなさい」


 なんかガラの悪そうな男が、私の後ろから声をかけてきた。後ろにはなんか派手めなお姉さんが二人、ついてきてる。

 いかん、こういうのに絡まれると、たいがい、大事になったりするのよね。

 私はペコペコ頭を下げて、壁際による。男は鼻で笑い、女たちもクスクスと馬鹿にした感じで私を見下ろして、前の方に歩いていく。こういう時、小さいのって不利よね。

 男たちの後ろにはつきたくなくて、少しばかり様子を見る。


 私が向かいたいのは、レヴィエスタ王国。魔の森を越えた先にある。残念ながら、この魔の森を抜けていく街道はない。だから南北のどちらかの隣国を経由するか、海側から回り込むか。

 距離から言えば、南側のトーラス帝国側を通って北上するのが一番安い。受付は、さっきの男たちが並んだところだわ。うーん、あの人たちと一緒には行きたくはないかも。

 北の街道を通ってオムダル王国に入ってから、王都の手前にあるエクトという街で乗り換えて南下する。だいたい一カ月の行程だけど、そっちのほうが運賃も少しだけ安いのは、ナビゲーションで調査済み。距離よりもストレスない方を選ぶでしょ。

 私はオムダル王国行きの窓口に並んで、お金を渡して引き換えの木札をもらった。


 建物を出ると、すでにオムダル王国行きの馬車に乗り込んでいる人たちがいる。私も急いで並ぶ。木札を見せて乗り込んだ。なんだか、昔、電車に乗った時に切符を改札で差し出したのを思い出して、苦い笑みが浮かんでしまった。


「あら、僕、一人なの?」


 隣に座ったおばあさんが声をかけてきた。

 うん、まぁ、狙い通りではあるけどね。


「はい」


 にっこり笑って答えると、私は外の方へと目を向ける。

 あの偉そうな男たちは、トーラス帝国の馬車に乗り込んでいく。警護してる冒険者が、なんだか嫌そうな顔してる。その気持ち、わかるよ。ご愁傷様。

 こっちの馬車に、そういう人が乗らないといいんだけど、と思っていると、「全員揃ったようなんで、出発しますよ」と、髭面のおじさんが声をかけてきた。

 うん、大丈夫そうかな。

 

 馬車がゆっくりと動き出すと同時に、ようやく、この王都から抜け出せる、と思った。

 この先がどうなるのか予想がつかない。

 それでも、二度目の人生、楽しむしかない。

 グレーのマントの中で腕を組みながら、目を閉じた。 

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おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

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おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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