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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第15章 おばちゃん、店を持つ

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第161話

 着いたのは、家の中の寝室。この前来た時に、しっかりマーキング済み。勢いでやってしまったものの、初の長距離の転移が成功して内心ホッとした。実は屋敷の中で短い距離とかは試してはいたのだけれど、長い距離は自信がなかったのだ。これで王都のイザーク兄様のところにも行けるかな。

 寝室から出てみると、誰もいない家は静かだ。独り暮らしなんて、独身時代以来だし、戸建てでのなんて、初めてだ。この前はボブさんたちがいたから、あまりのんびりは見られなかったので、じっくりと見てまわる。

 時々来てくれてるのだろう。部屋の中の空気も、淀んではいない。


「うん、やっぱり、この家、いいな」


 あちらにいた時はマンション住まいだったから、こうして戸建てだとまさに『我が城』という感じになるかも。

 むふふ、と笑いながら、玄関から外に出てみる。やっぱり森の中。空気も違うね。ぐるりと周囲を見渡してから、「よしっ」と気合を入れて、魔道具の箱を地面に降ろす。

 設置するなら、石塀の中側。外に置いて万が一にも壊されたら困るから。四角い土地の角々に魔道具を起動させながら刺す。起動した時、するりと少しだけ魔力が抜けた感じがする。これで管理者登録されたってことなのだろうか。

 次にそれぞれ石塀の一辺の真ん中と、門扉の両サイド。最後の一本を刺したところで、結界が完成したのか、ヒュインッと微かな音がした。


「うん、いいんじゃない?」


 上を見上げると、薄っすらと膜が張っているのか、キラッと日差しが反射した。


「あとは、私がこの結界を張っている状態で転移ができればいいんだけど……転移」


 玄関先にいた私は、門扉の外、結界の外に転移した。そして、そこからもう一度、玄関先へ。今度は寝室へ飛び、再び、門扉の外へ飛んだ。特に、負荷がかかることなくスムーズにいったので、ホッとする。


「よし! これで安心かな」


 あとは皆にピンバッチを渡せばいいか、と考えているところに、馬車が近づいてくる音が聞こえてきた。

 振り向いて見ると、道の先から荷馬車が向かってくる。タイミングよく、ボブさんたちが来たようだ。私は思い切り両手を振ると、それに気付いたのか、御者の席にいたボブさんと後ろの荷台に乗ってたメアリーさんが、驚いた顔で手を振り返してくれた。


「ミーシャ様、いつ、こちらに?」


 馬車を止めると、二人は慌てて私の所にやってきた。


「ついさっきです。あ、ボブさんたちに渡しておきたい物がありまして」


 二人にピンバッチを渡しながら、この家の周辺に結界を張ってあることを伝える。結界まで張るとは予想していなかったのか、二人ともびっくりしている。


「あ、でも、このピンバッチをつけていれば、自由に入れますから」

「おお、便利ですな」

「忘れちゃったら、入れませんから、気を付けてくださいね」

「確かに。また一時間かけて戻るのは、面倒ですからなぁ」

「あ、そういえば、荷馬車は入れるんでしょうか」


 言われてみれば、それは確かめていなかった。


「ちょっと、試してみましょうか」


 ボブさんは御者の席に座って門扉の前へと馬車を動かす。私が門扉を開けると、ゆっくりと中へと入っていった。


「おお。大丈夫そうですね。でも、これ、荷台に関係ない人が乗ってたらどうなるんだろう……」

「私が試してみましょうか?」


 メアリーさんがニコニコしながら言ってきたけど、万が一があってもいけない。


「ん~。ちょっと待っててくださいね」

「え?」


 私は家の中へ駆け込むと、そのまま再び、リンドベル家の屋敷へと飛んだ。

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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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