表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第3章 おばちゃん、王都脱出を試みる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/420

第18話

 完全に日が落ちた街の中を、相変わらず隠蔽スキルを発動したまま、私はトボトボと歩いている。煌々とてらす月明りのおかげで、なんとか歩いてはいるものの、時折、石畳の上をガタゴトと音をたてながら馬車が脇を通り過ぎるのを、身体を小さくして壁際へと身を寄せる。

 私は脇道の並びにある小さな店の軒下でしゃがみこんだ。

 ナビゲーションで地図を開いて確認して自分の現在位置を確認する。

 今は貴族街を抜け、商業地区と一般庶民の住宅との境目のほうまで来ていることはわかった。時間も時間だからか、店などどこもやっていないし、人の姿もほとんどみかけない。

 城からは運よく出ることは出来たけれど、このまま王都にいるわけにもいかない。どういったキッカケで見つかるともしれないし。

 というか、あいつら、私のことなど探さないか。ずっと寝たきりだったんだもの。いなくなって清々したくらいかもしれない。


「とりあえず、ちょっと落ち着いて考えなきゃ……」


 逃げだすことばかり考えてて、今の自分の格好を忘れてた。


「さすがにメイドのままってわけにもいかないわよね。どこで彼女の知り合いと会うかしれないし……でも、変化を止めて貫頭衣で歩き回るわけにもいかないし。どうしよう……」


 困ったなぁ、と頭を抱えていると、ナビゲーションが「ピコンッ」と音をたてた。


「うえっ?」


 人がいないとはいえ、思いのほか大きな音にびっくりする。キョロキョロと周囲を見回すが誰もいなくてホッとする。

 

「何?」


 ナビゲーションの上の方で、チカチカと丸く光ってる。なんだろうと思って、それに触れてみると、なんと、アイテムボックスの中身の一覧が表示された。

 さっき馬鹿みたいに食料を突っ込んだせいで、食料品の名前がダーッと並んでいるのに気が付いてゲッソリする中、リストの一番下に『アルムからの手紙(未読)×1』が燦然と輝きながら追加されているのに気が付いた。


「今頃、なによ……」


 アイテムボックスから手紙を取り出して、読み始める。


『ゴメ~ン。すっかり忘れてた。美佐江の服!

 一応、地球でよく着てたのがいいのかなーって思って、似たようなの入れといた!

 まぁ、美佐江なら、何を着ても似合うだろうけど。テヘ』


 入れといたって、リストには入ってなかったけど、と思ったら、いきなりボフンッと手紙からグレーの風呂敷包みへと変わったものだから、慌ててそれを抱え込む。

 アルム様ぁぁぁっ! こういういきなりとか、心臓に悪いんですけどっ!

 ドキドキしたまま、私はその風呂敷包みを開いてみる。

 何やら洋服らしきものが折りたたまれているようなのだけれど、こんな暗がりの店先で広げるわけにもいかない。

 よく見れば、グレーの風呂敷包みは大きめなマントのようだ。私は洋服類をアイテムボックスに仕舞い込むと、グレーのマントを羽織ってみる。それはフード付きで、丈はちょうど私の脛の半ばくらい。


「……え」


 なんで、脛が見えてるの? そして、裸足? 


「ヤバイ。もしかして変化が解けてる?」


 一気に、頭から血が引く。

 もしかして、服を着替えるとかすると、変化って解けるものなの!? と、慌てていると。


「ああ? 誰だい、うちの店の前にいるのは」


 なんか不機嫌そうな老婆の声が聞こえてきた。

 えええ、まさか、隠蔽スキルも消えちゃったのっ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=791464659&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ