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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第15章 おばちゃん、店を持つ

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第156話

 そして、ポポさんからお墨付きを頂いた記念に、と、エドワルドお父様が、私専用の家を用意してくれていたのだ。私専用の部屋、ではない。()なのだ。


「本当は、ずっと屋敷にいて欲しいんだが……ミーシャの夢でもあったしな」


 確かに前に、『森の中で薬師を目指したい』と言った。それを覚えていてくれたのか、と思うと、嬉しさで胸がいっぱいになる。


 場所は魔の森のほど近くにある小さな村(そう、ポポさんが住んでいる村だ)から、馬車で一時間ほどいった所……まぁ、実際には魔の森の中なんだけど、そこに可愛らしい家があった。

 私の身長と同じくらいの高さの石塀に囲まれた、四角い土地のほぼ真ん中あたりに立つ家。見た目は、くすんだ赤い屋根に、オフホワイトな壁、どこぞのテーマパークにでもありそうなファンタジーな家だ。近くの村の家々に比べたら、随分と金をかけているモノに見える。

 魔の森なんて危ない、というのが普通の考えなんだけど、ご存じの通り、私の周囲には弱い魔物は寄って来ない。それに、この石塀の周辺には、よくよく見ると魔物除けのお香の原料になる薬草が植えられていた。

 石塀の前には、二人の老夫婦が待っていた。二人は、ボブさんと、メアリーさんという近くの村の住人で、この家の管理人だそうだ。以前は月に一度くらいだったそうだが、エドワルドお父様から話をいただいて、ここ最近、頻繁に庭の手入れなどをしに来ていたそうだ。


「ここは、奥様の思い出の場所なんで」


 少し寂しそうに応えたのはメアリーさん。奥様、と呼ばれているのは、リンドベル伯爵家が、この辺境に任ぜられる前にいた子爵家の奥様のことだそう。

 元々この土地自体が、その子爵家の物で、子爵家に跡継ぎがなく、最終的に養子もとらなかった。そしてリンドベル伯爵家がこの地に任ぜられたと同時に、そのまま吸収された土地だそうだ。

 そしてこの家は、子爵ご夫婦が隠居の地としてご用意なさった場所だとか。ご夫婦は既に亡くなられており、誰も住んでいないらしい。

 メアリーさんは、その奥様に長年、メイドとして仕えていて、結婚してこの村に来てからも、この奥様の家の管理を任されていたとか。

 夫であるボブさんは元冒険者だそうだ。魔の森の浅い部分にあるこの家周辺に出る小物程度であれば、対応できるのだとか。かなり高齢に見えるけれど、やっぱり、異世界。さすがだ。


 そんな大事な場所を私が使わせていただいていいのか、メアリーさんに聞いたら、誰も住まなくなって朽ち果てるしかなかったから、使っていただいたほうが、奥様もお喜びいただけるでしょう、と嬉しそうに話してくれた。


 門扉を開けて中に入ってみると、右手に綺麗に小さな花壇……というよりも畑だろうか。小さな花を咲かせた植物もある。なんだろうと思って、近くに寄って鑑定を使って見てみたら、熱さましの薬に使うタイムンだった。もしかして、と思って、他の植物もざっと鑑定してみると、全部薬草だった。


「これって」


 びっくりしながら、一緒に来てくれていたアリスお母様が、嬉しそうに笑ってる。


「フフフ、ミーシャ、気に入ってくれたかしら……メアリーたちに頼んで、元からあった薬草畑を整えてもらったのよ」

「えっ!? メアリーさん、ボブさん、ありがとうございます!」

「いえいえ……ミーシャ様が、こんなに喜んでくださるなら、頑張った甲斐がありました」


 よくよく聞くと、亡くなられた奥様の趣味が調薬だったとかで、薬草を数種類、ご自身でも育てられていたそうだ。簡単な風邪薬など、ご自身で作ったりしていたとか。

 ということは……調薬のためのお部屋がある!? そう思ったら、すぐにでも家の中に入ってみたい! と思っていたら。


「ミーシャ! 見て、見て。こっちにも、私たちが用意したものがあるのよ!」


 元気なパメラ姉様の声が響いた。

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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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