表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第14章 おばちゃん、王都でひと暴れする

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

173/420

第145話

 馬車から降りて会場のある方へと歩き出す。通路は同じように夜会に招待された貴族たちでいっぱいだ。

 そして相変わらず、王城の中は魔窟のようで、赤い点があちこちに散らばっている。勝手に立上る地図情報に嫌気がさして、自動で立上らせない設定はないのか探したけれど、そこまでの便利なものはない模様。余計なところが便利になりすぎてて、逆に面倒なことになっているから、ため息しか出ない。やっぱり、早い所、こんな場所から逃れたい。


「ミーシャ、もうちょっとだから」


 そう宥めるのは、隣に立っているイザーク兄様。人の多さに辟易しているようにでも見えたのだろうか。私の今の状況を知らないなりに、気を使ってくれているようだ。私を支えるように背中に当たる兄様の大きな手に、少しだけホッとする。


 夜会の会場に入った途端、我々リンドベル家へ様々な視線が突き刺さってきた。イケメン二人に美女が一人、堂々と会場入りしているのだ。つい目が行くのもわかる気がする。その視線の一部が、一緒に歩いている私にも向けられるわけで、そのほとんどは好奇心によるものなのだろうけど、あんまり人に見られるというのは居心地が悪いものだ。


 イザーク兄様に誘われ、私は会場の前の方、王族の方々が登壇されるだろう場所の近くに向かった。その途中、兄様たちを知っている(でも兄様たちはそうでもない)方々が近寄ろうとしたけれど、イザーク兄様の厳しい顔にそそくさと離れていく。一応、パーティなんだから、そんな顔しないほうが、と思うものの、嫌な人や面倒そうな人が近寄って来ないことを考えると、ありがたいとも思う。


「イザーク!」

「……エッケルス様!」


 兄様の名前を呼んだ、立派な体躯の男性が、にこやかに私たちの方へと歩いてきた。この前の謁見の時に、親子鑑定した人なのは、すぐにわかった。彼の後ろには、王妃様のお茶会でご一緒したエミリー様と、息子さんがついてきている。


「警備ではなく客としてここに来るのは、久しぶりではないか?」

「そうですね……本日は『聖女』様の護衛も兼ねておりますから」

「ああ、そうであったな……『聖女』様、ご挨拶をさせていただいても、よろしいか」

「あ、はい」


 エッケルス様が息子さんと奥様を紹介してくださって、和やかに話をしているところで、前の方で銅鑼のような音が鳴った。


「国王陛下、王太子殿下、並びにお妃様方、ご入場」


 その声と共に、会場にいた男性たちが頭を下げる。女性たちは一様にカーテシーをしているので、私もそれに倣った。


「皆の者、今夜はよくぞ集まってくれた。おもてを上げよ」


 その言葉に、周囲は一気に顔をあげる。一段高いところに、国王陛下たちが並んで立っている。その貫禄のある姿に、何があるわけでもないのに、緊張する。ふと、壇上から少し離れたところで、第二王子とマルゴ様の横顔が見えた。婚約者だからパートナーとして同伴しているのだろう。

 薄っすらと笑みを浮かべ前を見ている第二王子に比べ、マルゴ様は若干顔色が悪そうに見えて、少しばかり心配になる。というか、隣にいるんだから気にしろよ、第二王子、と胸の中で怒鳴りつけていたのは秘密だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=791464659&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ