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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第3章 おばちゃん、王都脱出を試みる

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第16話

 ドアを開けて誰もいないことがわかった私は、すぐに隠蔽のスキルを発動した。これで、誰にも見つからずにいられるはず。

 静かに薄暗い廊下を進んでいく。

 少しすると、なんともいえないいい匂いと、人のざわめきが先のほうから聞こえてきた。思わず、足が止まってしまった。


「ううう、どうしよう」


 隠蔽のスキルを使って誰にも気付かれないはずだけど、正直、確証がもてない。

 でも、このまま、ここにいるわけにもいかない。ともかく、この城から出なくては!


「……そうだ、地図情報って、小さい範囲のとかって使えないのかしら」


 さっき見たのは大きな国の単位の地図だった。だけど、普段、あんな地図、使うことなんかなさそう。あの時は、私がリンドベル辺境伯のことを知りたかったから、あの縮尺だったのかもしれない。

 私はナビゲーションを再び呼び出し、地図情報を開いた。

 デフォルトは国のサイズでの表示が出るみたいだけれど、画面のサイドに縮尺表示があるのに気が付いた。


「やっぱり」


 指先で私のいる位置にある赤い旗を中心にして、縮尺を一気に大きくすると、なんということでしょう! まさに、この城の内部の地図が表示されましたわよ、奥さん!(誰)

 私の立っている場所周辺は、どうも厨房と召使たちの休憩室の間にある場所のようだ。この時間は夕食の準備で人が集中しているのかもしれない。


「これ、出口に向かうまでのナビとかないのかしら……えっ」


 まさかの、赤い点線が表示されましたよ。

 私が立っている位置から見ると、反対側。それも、いくつか曲がりくねっていかないと、大きな廊下にも出られないっぽい。


「じゃ、じゃあ、人の位置とか?」


 おおお、今度は黒い点が浮かんで、ゆっくりと動いてる。

 これなら、人の少なそうなところを目指していけば、ストレス少なめで移動が出来そう。

 まずは現状を確認すると、厨房に人が集中してる。その近くには食料倉庫があるみたい。せっかくなら、そこから少しばかりちょろまかしたいところなんだけど、そう簡単にはいかないかな。


 そう思いながら歩いているうちに、厨房は目の前。好奇心に勝てずに覗き込んでみると、すごくわちゃわちゃしている様子。怒鳴り声とか聞こえて、ドキッとする。すると突然、若い男の子が厨房から勢いよく飛び出してきた。


 何事かと思って彼の様子を見ていると、すぐそばの食料倉庫に飛び込んで、すぐさま何かの入った袋を持って出てきた。ドアを閉めるそぶりもみせずに。


 ……もしかして、ドアとか鍵とかないってことかしら。


 私が悪い顔でニヤリとしたのは、言うまでもない。

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おばちゃん聖女

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