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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第14章 おばちゃん、王都でひと暴れする

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第135話

 行動を起こしたのは、翌日の昼食を終えた頃。ヘリオルド兄様たちは王城に行っていることになっている。実際には、別室でオズワルドさんやカークさんたちと待機中。

 場所は屋敷の中でも一番広い部屋。ここに集められたのは屋敷中のメイドや料理人、その他、使用人として雇われている者すべて。ここに全員が集まっているのはギルバートさんに確認済み。

 私はジーナ姉様とともに皆の前に立っている。


「皆、集まってくれてありがとう。今日は、無事に国王様にご挨拶できたことと、屋敷の皆にお世話していただいてる感謝をこめて、全員に『癒し』を授けようと思います」


 私が『聖女』だと知っているせいか、私の言葉に何人かから小さく喜びの声があがった。『癒し』と言ってるけど、実際には『キュア』(状態異常回復)の魔法をかけるだけだけどね。この手の治癒関係の光魔法は、教会関係者でないと目にすることがほとんどないとか。だから実際にどんな魔法がかけられたのかなんて、一般人にはわからない。

 それに、日常生活でそうそう状態異常になることはないと思う。あるとしたら、二日酔いくらいだろうか? 万が一、目に見えない状態異常が治ったなら良し、そうでなくても何かしら、スッキリした気分になってくれれば尚良しなのだ。


 目標の赤い点は、ほぼここに集まっている。残るのは三個。屋敷の中をうろついている。これは明らかに、スパイちゃんでしょう。とりあえず、今は目の前の赤い点たちを確定しなくては。私は目の前の使用人たちに目を向ける。

 一人ひとりが私の前にやってきては跪く。私は無言で『キュア』をかけながら、その中の赤い点にマーキングをしていく。総数七。三十人強の中で七はだいぶ多いと感じる。そのうちの四人がメイドの女性だった。感情を抑えてるってことなんでしょうけど、全然わかんないわ。当然、その中には玄関先で見かけた女性も含まれる。


「皆忙しいのにありがとう。これからもよろしくお願いします。それでは、この中から私が呼んだ者だけ残ってくださいな。ちょっとお話があるの」


 私はお茶目を装い、ウィンクする。自分でも、引いてしまうけど、そこは仕方がない。頑張る。

 ギルバートさんも残ってはいたけれど、個別に呼ばれた者たちはどんな話があるのか少しだけ不安そう。居残りさせられたら、そりゃそうよね。

 私は、ニッコリと笑うと彼らに『スリープ』をかけた。残った人たちがパタリパタリと倒れ込む。私のそばに立っていたジーナ姉様とギルバートさんが、驚いた顔で立っていた。

 今回はちゃんと対象者だけにかけられた。よしっ。


「兄様たち、出てきてください」


 私の声で隣室に移動していた兄様たちが現れた。


「……この者たちが?」


 倒れ込んでいる人たちの顔を見て、ヘリオルド兄様は愕然としている。それはギルバートさんも同様で、お気に入りの人でもいたのだろうか。ジーナ姉様も、少し悲しそうな顔をしている。

 だからといって、私はリンドベル家に害意をなすものを、傍に置いておく勇気(?)はございませんっ。


「ええ。オズワルドさんたち、この人たちのこと、調べてください。どういった類の悪意かまではわからないので、きちんと調べてくださいね。あと、他にもまだいます。たぶん、どこかのスパイかもしれません。その人たちもちょっと捕まえてきますね」

「えっ!?」


 兄様たちの驚きの声をよそに、私は隠蔽スキルを発動させてから自分の部屋へと転移した。


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【コミカライズ】
2022年4月8日
モンスターコミックスfより発売


おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

【書籍化】
ツギクルブックスより発売中

おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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