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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第3章 おばちゃん、王都脱出を試みる

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第15話

 半分くらいは、誰かがいるかもと思ってたけれど、その予想は完全に外れた。


 それも、このフロアにある部屋は私がいた部屋だけみたいで、ドアから出るとすぐに下に降りる階段が見えていた。この階にはこの部屋しかないってことか。

 私は足音をさせないようにゆっくりと階段を降りていく。ぐるりぐるりと回っているあたり、ここは塔のようなものなんだろうか。途切れることなく階段ばかりが続いていく。壁には明り取りの小さな窓があるんだけど、今の私の背の高さでは覗くことが出来ない。

 灯りがないせいで、既に足元が暗くなってきてる。壁に手をあてながらも、急いで出口を見つけなければ、と気がせいてしまう。


 しばらくして下の方が明るくなっているのに気が付くと、少しだけ足早になる。

 たぶん、出口だろう。これまで、誰一人とも出会わなかったのは本当にラッキーだ。


 ちょっと気が抜けそうになった時、出口のところに人影が見えた。誰かが立っているみたい。

 やっぱり、そう簡単にはいかないのか。

 私は緊張のために、ゴクリと唾を飲み込むと、ゆっくりと出口をくぐる。

 相手を意識しながら、小さく会釈をする。

 目の端に映ったのは衛兵っぽい人が二人。私の会釈に反応もせず、前を向いている。

 ふと、前にテレビで見たイギリスかどこかの宮殿の前に立っている衛兵を思い出した。

 大変よね、誰も見ていないだろうに、反応もしないって。単に私を無視してるだけなのかもだけど。


 外はすでに日が落ちてる。出入り口にはかがり火があるおかげで、周辺は少しだけ明るい。

 塔のすぐそばには黒々とした大きな建物が建っていた。うん、たぶん、これがお城かなんかよね。

 この塔とは直接は繋がってないようで、周囲は高い木とそれよりも高い城壁に囲まれてる。部屋の窓からこれが見えなかったってことは、塔は相当高かったってこと。振り向いて確認したいところだけど、衛兵がいるからそれもできない。

 そもそも、どうやって、この敷地から出ればいいのか、内心、焦りながらも、そそくさと塔から離れる。

 なんとか衛兵から見えないところに来れたので、思い切り息を吐いた。


 木々の間から、城の裏口のような木のドアが見える。ここには衛兵は立っていないし、かがり火もない。

 他に逃げ道らしいものは見えない。とりあえず、この建物に入らないとそもそも城外からも出られない、ということなんだろうか。


 私は顔を両手でパチリと軽く叩いて再び気合をいれた。目の前の道を進むしかない。

 ドアの向こうに人がいませんように、と祈りつつ、私は静かにドアを開けた。

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おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

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おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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