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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第13章 おばちゃん、『悪役令嬢』モドキになる

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第117話

 正直、プレッシャーにはそんなに強くはないけれど、本番には強いって、よく言われた私。


「失礼します」


 玉座に座る国王様の右側の傍に立つ。大人の姿だったら見下ろしてたかもしれないけど、今の私の身長だと、目の前に国王様の肩が見えるくらい。見下ろしてないから不敬ではないはずよね。

 うーん。それにしても、やっぱり、ぽやぽやと黒い埃が右肩あたりに舞っている。ジーナ姉様の首を締めていた黒い埃とは違って、右肩を掴むような感じ? に纏ってるように見える。


「あの、国王様、右肩に違和感などはございませんか?」


 一応、自覚症状がないか聞いてみると、国王様は目を見開いて驚いた顔になる。


「……よくわかったな。右肩には若い頃の古傷があってな。それが最近、しくしく痛むようになってきていた」

「まぁ……貴方、なぜ、それをおっしゃいませんの」

 完全に熟年夫婦の会話だな。美男美女であっても、そこは普通っぽいのに、ちょっと笑みを浮かべてしまう。


「それでは、最近、誰かから何か貰ったりしませんでした?」

「贈り物であれば、しょっちゅう届いているが」

「いえ、ご自身の身近に置くような物で」

「どうかな……」


 国王様自身は気付かないうちに、何か置かれてる可能性もあるのかしら。それとも、他の方法? 


「そうですか。とにかく、呪いと思われる部分を祓ってしまいますね。枢機卿様と……部下の方でよろしいでしょうか」

「は、はい」

「……はい」


 声をかけた部下と思われる二人が、緊張した面持ちで黒い埃の方を見ながら、返事をする。


「一応、証人として、見ていてくださいね」

「畏まりました」


 私の言葉に、枢機卿が頭を下げながら答えた。

 よし、じゃぁ、浄化スキル、使ってみますかね。なぜかこうすればいい、というのが頭の中に浮かんでくる。それはとても単純なことで。


「おおおお!」

「……素晴らしい」

「なんということだっ!」


 私がしたのは、国王様の右肩を思いっきり揉むこと! といっても、手もそれほど大きいわけでもないし、握力もそんなにないから、肩こりとかには効かないだろうけど。そもそも、国王様が着ている服が分厚過ぎて、ツボまで届きやしない。だけど、黒い埃は徐々に消えて行き、たぶん、それに気付いた枢機卿たちが声を上げているんだと思う。


「んっ、なんだ。少しずつ、肩の違和感が薄れていくぞ?」

「まぁ……」


 不思議そうな顔をしている国王様に、王妃様も大きな目をより一層大きくしている。

 じっくり揉むこと、五分程度。最後の埃の粒がプシュッと消えた時。


「ぎゃっ!」

 

 誰かが甲高い悲鳴を上げた。


「声を上げた人を捕まえて!」


 私の大きな声にすぐに反応したイザーク兄様が人ごみを掻き分け、一人の男を引きずり出した。


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