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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第2章 おばちゃん、目を覚ます

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第11話

 私は試しに「ライト」と小さな声で唱えた。

 目の前にポワンとピンポン玉くらいの小さな光の球が浮かぶ。それがフヨフヨと小さく震えている。


「凄い……じゃぁ、クリーン」


 サーッと自分の周囲が清々しい気分になった。これで、綺麗になったってことなのだろうか。

 さっきまでの埃っぽさが減った気がする。メイドさん、何もしないでくれてありがとう。


「うわぁ……便利だわ」


 続いて「ウォーター」と唱えると、ライトと同じような大きさの小さな水の球が浮かんだ。

 私は、今更に喉が乾いていることを自覚して、その水の球に口を近づけ、少しだけ飲んでみる。


「お、おいしいっ」


 少し冷たいその水を、私はパクリと飲み込んだ。


「はぁ……」


 久しぶりに飲んだ水に、溜息をつく。すると、クゥ~という小さくお腹がなった。


「うっ、お腹がすいたけど……ここには何もないのよね」


 サイドテーブルにも何も置かれていない。そもそも寝たきりだったのだから、食事なんかが用意されているわけもない。

 どうしよう、と考えていると、開いたままだった画面の『空間魔法』が点滅してる。

 指先でそれに触れると、魔法の名前が表示された。


「……おお、アイテムボックスなんてあるのね」


 すると私の言葉に反応するように、私の目の前に、両手で抱えるような、大きながま口が現れた。

 これでアイテム『ボックス』なの?

 そして画面の下に、一回り小さな画面が現れた。なんと、アイテムボックスの中に入っている内容が表示されたようだ。


『干し肉×10

 パン×10

 体力回復薬(小)×5

 魔力回復薬(小)×5

 財布×1

 アルムからの手紙(未読)×1』


 なんと、食べ物が入ってる!

 それに、この体力と魔力の回復薬って、もしかしてファンタジーの定番、所謂、ポーションとかいうやつかしら。

 私はとにかく空腹を満たしたくて、干し肉とパンを一回ずつ、ポチッと押してみるとアイテムボックスから自分の膝の上にポスンと現物が落ちてきた。


「おおおおおお」


 なんか感動。

 干し肉は掌よりちょっと小さめな、いわゆるビーフジャーキーみたいなの。正直、硬くて何度も噛んだせいで、顎が疲れた。

 パンも日本の柔らかい食パンのような物ではなく、たぶん、この世界での一般的なパンなのだろう。ころりとした丸い形状で、これも掌サイズで干し肉同様に硬かった。

 それでも、何もないよりも、よっぽどマシだ。

 両方ともが乾燥してるせいで、水が欲しくなる。だから、飲み物代わりに体力回復薬(小)も飲んでみた。

 味は薄いサイダー味、とでもいえばいいだろうか。不味くはなかったけど、その体力が回復したという実感はわかない。そもそも数値が満タンだからなのかもしれない。


 飲み終えた空き瓶をこのまま捨てるわけにもいかず、仕方なしにアイテムボックスへと戻して、私はようやくホッと一息ついた。

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2022年4月8日
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おばちゃん聖女コミックス

ミキマサハル先生

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おばちゃん聖女

イラストレーター:那流様

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