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おばちゃん(?)聖女、我が道を行く~聖女として召喚されたけど、お城にはとどまりません~  作者: 実川えむ
第10章 おばちゃん、実家(仮)に向かう

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第85話

 日が落ちる前に、とりあえずは無事に砦の入口に着いた私たち。

 最初、高圧的だった衛兵たちも、相手がエドワルド様だとわかると一変、見事に腰が低くなりましたよ。慌てて砦に戻ってった。元辺境伯って、すごいわ。

 夕陽が町の中を赤くする中、皆、馬から降りて、ゆっくりと進む。エドワルド様とアリス様は堂々と、双子は賑やかに、そしてイザーク様を含め私たちも、和やかに。

 そして門を越えたところで、イザーク様が優しく話しかけてきた。


「ようこそ、レヴィエスタ王国へ」

「あっ」


 ―――そうだ。

 ―――ようやく。ようやく、リンドベル領のあるレヴィエスタ王国に入ることができたんだ。


 そう思ったら、感無量で声にならない。隣に並ぶイザーク様を見上げると、ニッコリと微笑みかけられ、私も肩の力がストンとぬけた。

 そんな私の頭を優しく撫でるイザーク様。中身はおばちゃんとわかってても、この人は撫で続けるんだろうなぁ……。つい、苦笑いを浮かべてしまう。


 シャトルワース王国から無事に抜け出したとはいえ、隣国のオムダル王国では、まだ追いかけられる気がしていた。やはり国境で追いかけられたのは、ある意味、トラウマになっている。イザーク様たちと四人で逃げていても、正直、どこか不安に感じていたのだ。

 だけど、こうしてエドワルド様たちも加えて大所帯で、それもレヴィエスタ王国に入国できたってことで、まだゴールではないけれど、余計にホッとしたのだと思う。


 ゆっくりと砦の町の中を進んでいると、一際大きな屋敷から、ぞろぞろと集団で人が出てきた。複数の部下らしき人たちを後ろに連れて現れたのは、丸々と太った、もじゃもじゃの長い髪を一つに束ね、お髭をたっぷりとたくわえた壮年の男性。遠目にも、不機嫌そうな顔に見える。着ている服は立派そうだから、ああ見えて貴族なんだろうか。

 立派な鎧を着て大きな斧とかハンマーを持ってたら、昔見た映画に出てきたドワーフそのもの。ついつい、興味津々で見ていたら、ギョロリと大きな瞳が私に向けられた。視線がバチリと合ったけれど、すぐに外されて、エドワルド様の方へと向けられる。とたんにドワーフさん(仮)は、嬉しそうな顔で大きな声で話しかけてきた。


「おお! エドワルド! 久しぶりではないかっ!」

「なんだ、ハリーじゃないか。なぜ、こっちに」

「まぁ、ちょっと野暮用でな。そしたら、衛兵から、お前の名前が出てきたもんだからよ。慌てて確認に出てみれば……まさかの本人とはな!」


 ガハハ、と高笑いをするドワーフ(仮)改め、ハリー様。

 どうも、エドワルド様のお知り合いのようです。

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おばちゃん聖女

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