3人目の攻略対象
食事もお風呂も済ませベットへ横になると疲れたのか直ぐに眠りについてしまった。
くすぐったい…誰か私に触れてる気がする…。
眠いの、邪魔しないで、起きたくないの…。
「起きないと襲っちまうぞ」
おそっ…え?
慌てて目を覚ますとそこには見覚えのある顔が…。
「え、えっと…ユウリ…?なにしてるの…?」
「おはようお姫様」
ちゅっと手の甲にキスをされ眠気が一気に覚めてしまった。
「俺のお姫様が中々逢いに来てくれないから、俺から来てやったんだよ」
俺のお姫様…
ユウリも攻略対象…
ユウリは優秀な魔法使い、魔法使いは基本魔塔で仕事をしてるイメージなんだけどユウリだけは特別だった。
優秀な成績で魔法学校を卒業したユウリは魔塔で働き始めたが余りの優秀さに彼が何をしても誰も文句は言わず好き放題にしていた。
魔法使いは気に入った相手と契約を結ぶのだが、
契約すると魔法使いは主を守る役目がある。
契約を切らない限り生涯主を守らないと行けない為、魔法使いは王と契約する人が殆どなのだが…
ユウリは違った。
「俺と契約しようエミリー、俺がずっと守ってやるから」
「しませんっ」
このように、何故か私と契約しようとする。
ユウリが何故私と契約したいかは攻略中のストーリーで見たけど…。
夜中に来るのはやめなさいよ。
「帰って、こんな時間に来るのは非常識でしょ?」
「逢いに来てくれないからだろ?」
悪びれもなくベットに腰掛けるユウリ。
健全な乙女ゲームなんだから、ベットに座わるのも夜中に来るのもやめて欲しい。
「次の休みの日に会いに行くわ、だから帰って」
「………」
一瞬目を見開き驚いた顔をしていた。
「珍しいな、お前がそんなこと言うなんて」
嬉しそうに頬の口角を上げて笑っていた。
笑うと可愛いのよねぇ、ユウリ。
「起こして悪ったな、おやすみお姫様」
ユウリは私の額に唇を落とすと窓から消えていった。