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迷宮日誌   作者: ケット・C・ニャンガード
迷宮日誌 〜招集編〜
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城下町の様子①

 修道僧の話によれば、城下には民家に混じって幾つもの武具商店、宿屋、酒場、訓練所、寺院が点在している。


一時は立ち退いた商人や住民達も、"喚ばれし者"の増加に呼応するように城下へ戻ったり商売を再開したりと、国王の思惑通りに活気付いているようだ。


武具商店はかつてはひとつの大きな老舗があらゆるジャンルの商品を専売しており、そのほとんどは迷宮から冒険者が持ち帰った品々だったのだそうだ。呪われた装備品なども扱っていたとの逸話もあり、その商売魂には脱帽である。現在はその老舗看板を掲げた商店は残っていないとの事だ。相当数の呪いの商品を取り扱っていたらしいので、まともな繁盛をしなかったのは当然と言えば当然なのかもしれない。


しかしその商売魂は多くの者に受け継がれ、迷宮から持ち帰った品々を鑑定し店頭に並べたい者、迷宮に挑む者達に自分の発明品や発掘品を提供して迷宮攻略に貢献したい者は多いらしい。


剣や盾といった得物から、靴やローブ、帽子、手袋など身につけるもの全般を扱っている所が多い。中には特殊な加工や魔術付与エンチャントを施してくれる店舗もあるらしい。


生活の為の資金を迷宮の戦利品の売買により手っ取り早く手に入れる為にも欠かせない存在である。



"喚ばれし者"には貸し家が与えられるでもなく、長期連泊ができるような資金を与えられるわけでもない。命懸けで迷宮に挑み、武具商店で取引をし、それに見合った宿でやりくりをする、というのが一般的な流れになりつつあるとのことだ。


ただ無一文、おっとりがたなの状態から、いきなり無傷で宝の山を発見したり、伝説級の武具や素材を手に入れるというのはまずありえない話であって、金も装備も十分でないままに瀕死の重傷を負ったり、全てを捨てて逃げ出さざるを得ない状況のほうがよっぽど多いらしい。


そんな"喚ばれし者"の為に、国は宿屋や酒場等に部屋は無償で与える必要はないが、屋根くらいはただで貸してやるようにとの御布令をだしているのだそうだ。


その例でも代表的なのが馬小屋で、馬よりも雑魚寝する人や亜人で溢れかえることや、かなり上質な装いをしている一団が非常に慣れた様子でぐっすりと休んでいる姿も珍しくはないのだそうだ。


かつては休息は宿屋、仲間の募集は酒場。という特色が強かったそうだが、現在は酒場を兼ねた宿屋があったり、武勇伝を聞きつけて宿屋までパーティーメンバーをスカウトしにいくといった事も多いらしく、城下であればどこでも仲間と巡り合うチャンスはあるようだ。


今のところ武具屋はそれほどイメージと離れていないというか、レンガや木造が主体の中世風といった商店が多かったのだが、"喚ばれし者"が入れ知恵をしたのか、酒場に関しては薄暗い古風な酒場もあれば、ビカビカに悪趣味な色の明かりが点滅している胡散臭いバーのような酒場、青空の下で妙な形の材木が適当に(いや計算されているのかもしれないが)配置され、中央でキャンプファイヤーのように炎が轟々と燃えあがっている酒場(客はほとんど亜人だった気がする)などがあり、良く言えばバリエーションに富んでいる。迷宮での死闘を忘れ、一服をする場であるからして、様々な種族が思い思いにくつろげる環境を追求していったのかもしれない。酒場の特色によって集まる者の傾向もだいぶ変わってきそうである。






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