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第八話 ボルベル族の都市ホムホム

 ヒイロはパオネッタに魔法の荷車を出してもらう。バイバイの亡骸を持って開拓村に帰還した。

 村ではサバナの悪魔バイバイを見に、人が寄ってくる。


 モモンはバイバイの亡骸を見て非常に驚いた。

「これぞ、まさに噂通の姿っちゃ。よく倒せたっちゃね」

「苦労はあった。でも、何とかなるものさ」


 村の解体場にバイバイの死体を持ってゆく。

「さて、刃物が通用しない奴の首を、どうやって斬り落とそうか。体ごと持って行くのは大変だしな」


 ヒイロが悩んでいると、刺繍のあるローブを着たお婆さんがやって来た。

「実績お婆さん。この開拓村にもいるんだ。俺に何か用ですか?」

(わし)がお前に用があるのではない。お前が儂に用があると思ってな。わざわざ来てやった」


「アルテマ・ハンマーの授与の件ですね。今ここで貰ってもいいんですか?」

 実績お婆さんが厳かに告げる。

「この悪魔を完全に封じるには、ハンマーで頭を叩かなければ駄目じゃ。でなれば、七日七晩の後に復活するぞ」


「そうなんだ、危なかった。このままボルベル族の首都に持っていったら、騒ぎになるとこだった。なら、アルテマ・ハンマーの授与をお願いします」


 ヒイロが頭を下げると、実績お婆さんが呪文を唱える。

「アルテマ・ソードを出してハンマーの形状を念じるのじゃ。さすれば、剣は形を変え、ハンマーへと変わるじゃろう」


 ヒイロがアルテマ・ソードを出してハンマーの形を念じる。アルテマ・ソードは両手で使うハンマーへと姿を変えた。


 銀色のハンマーへと姿を変えたアルテマ・ハンマーで、バイバイの頭を殴った。すると、バイバイの首から下が消える。


 残ったバイバイの首から上は、黒曜石へと変化した。

「これで、悪魔は簡単には復活せん」


 実績お婆さんは厳粛な顔で告げると、解体場を後にした。

 ヒイロは革袋にバイバイの首を入れる。


 一夜を開拓村で過ごした。

 夜が明けると、パオネッタとモモンを連れてボルベル族の首都を目指す。


 モモンが道案内をする。モモンは河沿いに東北東へと進んでいく。

「河の上流に街があるのか?」


 モモンが誇らしげに語る。

「河の上流に首都のホムホムがあるだっちゃ。ホムホムこそ、この大陸で最も素晴らしい街だっちゃ。他の街などホムホムに比べたら洞穴も同然だっちゃ」

「ボルベル族の首都って大きいのか? どんな街なんだ」


 モモンは胸を張って自慢した。

「我が部族には千年の歴史があるだっちゃ。街も千年前からある由緒ある街だっちゃ」

「それは凄いな。歴史があるんだな」


「そうだっちゃ、ビリビリ族やガリガリ族より歴史は古いっちゃよ」

「他にも部族がいるんだ」


「十の部族がいるっちゃよ。中でも、ボルベル族が一番大きいっちゃ。ボルベル族こそがこの大陸の正統なる支配者ちゃよ。でも、他の部族は認めたがらないっちゃ」

(何か、ボルベル族も問題を抱えていそうだな)


 二日目になると、槍で武装したボルベル族の小集団と出くわした。

 モモンが率先して話をする。ボルベル族の武装集団は武器を納めた。

「背高族からの挨拶の使者だとわかってもらったっちゃ。従いてこいと命じているっちゃ」


 モモンはそれだけ言うと、武装集団の隊長と何やら話し始める。

 武装集団の伝令役が先に河の上流へと走っていく。

モモンと隊長が何を話しているのかわからない。だが、悪巧みをしているようには見えなかった。


 暇になったので、パオネッタと会話する。

「俺たちの側でもボルベル族の言葉がわからないと不便だな」


 パオネッタが冷静な態度で応じる。

「そうね、言葉がわからないと、無用なトラブルを抱えるかもしれないわね」

「でも、ボルベル族に言語学者がいるところを見ると、思ったより文化水準は高いのかもな」


 パオネッタが知的な顔で述べる。

「それについては、私に仮説があるわ。ボルベルの街を見ればわかるわ。ボルベル族の街は人間の街だったのかもしれない」

「何、どういうこと?」


「この大陸には、かって人間がいて、ボルベル族を従えていた、って話よ」

「じゃあ、ボルベル族の王様は人間なの?」


「さあ、人間かどうかは、会ってみないとわからないわ」

 その後、一泊してから河を遡る。


 森を歩いていたが、急に森が消えた。

 代わりに高さ十五mの石造りの城壁を持つ街が現れた。


「森が急に消えたと思ったら、街が現れたぞ」

「魔法で街が森に隠されていたのよ。古の魔法よ」


 河は都市の中から流れてきていた。城壁に沿って二十分ほど歩くと、城門が見えてきた。

城門でモモンが何やら話す。門衛のボルベル族はヒイロとパオネッタをじろじろと見ていたが、通してくれた。


 街中は綺麗な石造りの街並が続いていた。街中のボルベル族は仮面をしていなかった。

 ボルベル族はヒイロとパオネッタを見ると、皆びくびくしていた。


 頭の中でファンファーレが鳴り響いた。

「隠された古代都市を発見する実績が、解除されました」

(実績解除が来たね。これで三十九個目。残り六十九個。良いペースだな)


「こっちだっちゃ」とモモンは街の入口の近くにある宿屋と思われる建物に案内した。

 宿屋の入口はボルベル族には大きく、ヒイロたちには、ちょうどよい大きさだった。

(何だ? 建物は、ボルベル族用にしては大きいな)


 モモンは宿屋の主人と話す。

 宿屋の主人は渋い顔をしていたが、ヒイロたちを部屋に案内した。


「これから、国王陛下のボーモン様への謁見の準備をしてくるっちゃ。それまで、この宿屋で大人しくしているっちゃ」


 ヒイロは、バイバイの首が入った袋を渡して頼む。

「なら、国王に会えるように話を付けてくれ。俺たちは戦争を望んでいない」


 モモンは宿屋を出て行く。

 パオネッタが宿屋の家具やベッドを興味深げに見ていた。


 ヒイロは椅子に座って訊く。

「宿屋の家具に、何か発見でもあった?」

「街の建物が私たちに合わせたサイズなのに、家具はボルベル族に合わせたサイズになっているわ」


「それは俺も感じた。入口からしか見てないが、きっと他の建物も、そうなんだろうな」

 パオネッタは聡明な顔で説明する。

「人間がここにいて、当時から建物があった。だから、建物は大きい。家具は千年も()たないから、新しい」


「何らかの事情で、人間がいなくなった。だから、家具は残ったボルベル族に合わせてボルベル族が作り直したんだな」

「おそらくそうよ。街を見て歩けば、もっと人間がいた痕跡が見つけられるわ。だけど、下手に動いて誤解を招くと危険だから、調査はもっと親しくなってからね」


 その日はボルベル族の国王に面会が許されず、宿屋で一日を過ごした。


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