表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アイデアの奴隷になるな!

作者: 阿東ぼん

 今回も創作論になります。


 というのも、前回のエッセイ『あなたの小説を完結させるたった一つの冴えたやり方』(『小説はエンディングから書け!』に改名)でいただいた感想の中に、書いているうちにプロットから外れてしまう人もいる、というコメントがあったので、それにお答えしようと思った次第です。


 単刀直入に言いましょう。


 プロットから外れてしまうあなたは、自身のアイデアの奴隷になっています。


 次から次へと湧き出るアイデアをとにかくストーリーに盛り込もうとした結果、広げた風呂敷をたたむことができずそのままエタる……、そんなことを繰り返していませんか?


 それが私の言う『アイデアの奴隷』状態です。


 あなたはあなた自身のアイデアに振り回されているんです。


 プロットとは、建築で言えば設計図、料理で言えばレシピです。


 そこにアレがよさそうだコレもよさそうだと付け加えまくったら計算が狂うに決まっているじゃないですか。


 蛇足って言うんですよ、そういうの。


 最初に決めた計画を変えずに書ききる──、それが今のあなたがなすべきことです。


 その上で展開が不自然に感じたとしても、不自然じゃなくなるような理由付けをしてやれば済む話です。


 ちょうど、遅刻の言い訳を考えるようにね。


 まあ、そうするとまた話がややこしくなってしまうんですが、その場合はプロットの作り込みが甘かったと潔く諦めましょう。


 さて、概要は説明しました。


①途中で出てきたアイデアを盛り込まない。


②最後までプロット通りに書く。


③それでも上手くいかなかったらプロットそのものを疑う。


「じゃあプロットってどう書くんだよ!?」


 そう思った方はいらっしゃいますでしょうか?


 ごもっともです。


 そもそもプロット自体を知らないおいう方もいらっしゃるでしょう。


 ので、プロットについても簡単に説明します。


 プロットとは、小説における設計図です。


 私の場合、まずセリフだけ書いてストーリーを成り立たせるとか、描写はどうでもいいから出来事だけ書き連ねるとか、そういうふうにしています。


 テキトーでいいんです。


 イラストで言うところのラフ画ですし。


 ここで最も重要なのは、スピード!


 クオリティはどうでもいいからとにかくプロット段階での完結を目指しましょう!


 プロットさえ完成すればあとはこっちのモンです。


 一通り読んでおかしなところがあれば修正、展開が不自然だと感じたらエピソードを追加したり削減したり、といった作業を繰り返せば自ずとクオリティは整っていきます。


 一見、面倒に思えますが、プロット段階で作り込むことで途中で路線変更して書き直したりだとか次の展開をどうすればいいか悩むだとか、そういうことがなくなるので結果的には完結までの速度が上がるんです。


 コンクリートで舗装された道路が走りやすいのと理屈は同じですね。


 プロットとは小説の設計図であると同時に、ゴールへの道しるべであるのです。


 ここで簡単な例を出してみましょう。


『主人公がヒロインと出会う』

『主人公とヒロインが結婚する』


 これがストーリーの冒頭と結末だとします。


 ここにエピソードを盛り込んでいきましょう(アイデアさん、出番です!)。


『主人公がヒロインと出会う』

『ヒロインは謎の組織に追われていた』

『主人公はヒロインを守るため謎の組織と戦う』

『主人公とヒロインは力を合わせて謎の組織を倒す』

『主人公とヒロインが結婚する』


 だんだん具体的なストーリーが見えてきませんか?


 もうちょっと足してみましょう。


『主人公がヒロインと出会う』

『ヒロインは謎の組織に追われていた』

『主人公はヒロインを守るため謎の組織と戦う』

『しかし、主人公は敗北し、ヒロインを連れ去られてしまう』

『主人公はなんらかの形でパワーアップする(修行、アイテムゲット、覚醒)』

『再び謎の組織に挑む。ラスボスは失踪していた主人公の父親だった』

『主人公は戦うことをためらうが、ヒロインを守ることを選ぶ』

『愛の力でヒロインも覚醒する』

『主人公とヒロインは力を合わせて謎の組織および主人公の父親を倒す』

『これまでの戦いで固く結ばれた主人公とヒロインが結婚する』


 おお、いい感じ!


 こんなふうに設定や展開を付け足していけばお望みのストーリーが完成します!


 シンプルにまとめてあるのでわかりやすいし、修正もしやすい!


 いいこと尽くし!


 ビバ、プロット!


 ついでに具体例として自作のファンタジー小説『黒滅のラグナ ─嫌われ者の英雄譚─』でもやってみましょう。


(諸事情でR18作品になっています。阿東ぼんのツイッターアカウントのプロフィールから飛べるので気になる方はぜひ!)


『主人公ラグナが永遠の眠りにつく』

『異世界に転生する。神器・コクトーと出会い、魔族と人類の歴史について教えられる』

『黒髪の自分が生まれながらにして嫌われ者であると知り、転生したことを後悔する』

『ヒロイン・ユイリールと出会う(一目惚れ。目の描写が多いことが伏線)。ドラゴン探しを依頼され、一度は断ろうとするも、コクトーにそそのかされて引き受ける』

『その代わり「俺の女になれ」と愛の告白。ユイリール気絶(好きなることはあっても好かれることが少なかった上、情熱的なアプローチに陥落する)』

『ドラゴンを探す。お目当てのドラゴンは見つけられなかった(伏線)が、代わりに綺麗な赤いドラゴンを見つけ、倒す。死闘の末、死にかけになったラグナは、ユイリールに「生きてほしい」と願われたことをきっかけに、彼女のために生きようと考える』

『ドラゴンを仲間にして、ユイリールの故郷へ行く。ラグナの治療を開始。ユイリールの家族と日々を送る』

『各キャラの掘り下げをしつつ、魔法の仕組みについて解説。ラグナはただ世話をされることに強い罪悪感を覚える(伏線)』

『ユイリールの妹・マイがラグナと喧嘩して家出する。捜索するが見つからず、ユイリールが探していたドラゴンにさらわれていたことが判明。しかし、潜伏先が村の掟で入ることを禁じられた山であることから、誰も助けに行くことができない』

『ラグナが復活、自分が助けに行くと言い出す(罪悪感を晴らすため)。こっそりユイリールもついていく』

『悪いドラゴンと戦う。マイを救出。悪いドラゴンは上空に逃げ、トドメはユイリールとマイの母・マリアが刺す』

『村に帰った一行。再び平和な日々を送る。ラグナはユイリールを呼び出し、窮地に追いやられたからこそ気づいた自分の気持ちを告白。ユイリールの目が好きで、一目惚れしていたことを打ち明け、今度は心の底から好きだと告げる』


 大雑把に説明しましたが、こんな感じです。


 話をまとめると『主人公が転生先で無自覚にヒロインに一目惚れし、戦いを経て彼女への恋心を自覚する』というストーリーですね。


 惚れた女のために命を費やす主人公が私のドツボなので、もしそういった作品を書いている方がいらっしゃいましたら感想欄にご連絡ください。


『黒滅のラグナ ─嫌われ者の英雄譚─』を読んでもらえれば具体的にどんなのが私の好みなのかわかってもらえると思います。


 あとね、CCさくらのしゃおさく、スパイラルのなるひよ、野崎くんののざちよ、ヨナのヨナハク、なんかが大好物ですので同志の方もご連絡ください。


 主人公とヒロインがイチャイチャしてるだけで幸せなんじゃワシは!!


 ……こほん。


 後半は脱線しまくりましたが、これで今回の創作論は終わりとなります。


 プロット、がんばって作ってみてくださいね。

しゃおさくはCCさくらだけじゃなくツバサのほうも好きです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] アイデアの奴隷という強い言葉。そのおかげで、やってはいけないことを心に留めやすい。 [気になる点] 後半の話が前半の話食ってしまっているような気が。 [一言] プロットって、人によって描き…
[良い点] プロットは大事ですね…… いざ話を始めてしまってから、「もっと練っておけばよかったー」と後悔することになってます…… [一言] ≫惚れた女のために命を費やす主人公が私のドツボなので、もし…
[一言] 今回のエッセイも読ませていただきました。 気が付きませんでした、もしかしたら私の小説はアイディアを入れすぎているかも・・・と初めて反省しました。 プロット大事ですね・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ