村人増加
村に戻ってきた。
今日から数日は休みにする事を告げる。
世界各国を回り奴隷の買い取りを行わないと行けないからだ。こればかりは他人に任せられない。引き取る事だけなら他人も出来るが、奴隷の細かい設定自体が俺じゃないとできない。
『俺の秘密を漏らさない』というのがネックで、奴隷商に置いてある【契約の水晶】に直接契約主と奴隷が手をあてて細かく設定しないといけないからだ。それが一人一人やらないといけないから、どうしても時間がかかってしまう。
そして今日はまず行くのが、アチレーマ共和国。亜人の国だ。転移し村から派遣されている商店の店員に声を掛け奴隷商の所へ向かう。各国どこもそうだが、やはり1番集まるのが王都だ。しかし場所によっては街から王都までは馬車で1日かかる所もある。この国がそうだ。なので、時間短縮の為に街まですでに奴隷の移動を済ませてもらっている
店員に案内され、奴隷商の所へ向かう。
「いらっしゃい。何か用か?」
かなりガタイのいい爬虫類系の店員が愛想悪く対応してくる。愛想が悪いが、まぁこんなもんだろ?日本にいると『お客様は神様です』みたいな考えがあるが、国が違うと客がいるのに飯を食いだすとか普通にあるって前に聞いた事がある。
「頼んでいた奴隷を引取りに来た。名前はリュウだ」
「あんたがそうか。奴隷をこんなに買うなんて物好きだな。まぁこっちは儲かるから助かるがな。こんなに買ってどうするんだ?どこかとドンパチするのか?」
いや、なんですぐ戦いに考えがシフトするのかなぁ?
「うちの村での人員だね。戦う事はしたくないが、戦闘職は村の外の魔物退治をして貰うぐらいかな?」
「こいつら弱いから金の無駄になるぞ?」
そう言われて見るものの、どう見ても強そうとしか見えない…亜人の中では弱い方なのか?
「まぁいい。じゃあ設定したい項目とかあるか?」
そして一人一人設定して引き取る。今回は
・前衛20名
・料理人10名
・鍛冶30名
・女性50名
・子供30名
だった。流石は亜人の国、色々な種族がいる。猫、犬、狼、ゴリラ、狐、鳥等バラエティーに富んだ構成。特に狐の女性は着物みたいな服装に妖艶な顔つきだった。
これなら化かされてもいい!
「他にはいるか?元からここにいるのでもいい」
「それなら、問題児を買ってくれないか?奴隷紋で縛ってはいるんだが、力が強いのか力仕事を頼めば色々な物を壊す。素材を剥ぎ取るにしても綺麗に剥げない、武器もすぐダメにする。家事も全般ダメで、料理は焦がすで野営の料理もダメ。見張りも寝ちゃって使えない。すぐ返品されるんだ」
……使い勝手が悪いな。森へ討伐しかないか?武器はミノタロウスの大剣あればいいし、他の奴に剥ぎ取りを任せればいいか
「とりあえず案内してくれ」
案内をされそこに行くと他とは明らかに違う檻。特別製の檻があった。
「おい!起きろ」
「なんだよ。どうせ買ってもらえないんだし俺の好きにさせてくれたっていいだろ?飯だってろくなもん食わせてくれないしな」
そう言った男が立ち上がると2mはありそうな身長。丸太のような腕、体は銀色の体毛が生えていた。
「こいつの名前は牙王だ。もし買ってくれるならタダだ。オマケだ。」
「なんだよ!俺はオマケ扱いかよ。しかもタダってそんな価値ねーのかよー。ひっでー」
牙王が吠えているが、奴隷商からしたら心底いらないんだろうな
「わかった買おう。これから宜しくな」
「おっ!今度はアンタが頭か?俺は頭使う事は苦手だが、力仕事ならなんでもやるぜ!」
ニヒッっと尖った牙を出しながら笑う。結構愛嬌はあるじゃないか。多分不器用なだけなんだろうな
「とりあえず腹減ったから後で飯をたらふく食わせて欲しい。ここのじゃ腹が全然膨れやしねーよ。」
「わかった。後で飯を食いに行こう」
結局牙王以外にも女性を10人程買った。
いつもとは違って買ってすぐ村まで転移をした。風呂に服に飯と今ではすべて村で揃っているので、村人に任せれば大丈夫だ。
やはりというか、いつも通りというか、村に魔物がいるのに驚いていた。後は飯や待遇にも驚いていた。
「いや村長。ここはすげーな!こんなにいい所なら多少激務でも我慢できるな。それにこの肉なんだ?今までこんなうまい肉食った事ねーぞ?」
今回歓迎の意味も込めてミノタロウスの肉を出した。かなり好評で、他の料理も皆うまいうまいと手を出していた。
良かった…亜人の口に人間の料理が合うか心配だったのだ
とりあえず数日の内に様々な配属先が決まる。前衛組はウルシとセキエイの所で訓練をして貰う予定だ。
今は2人の所で訓練しているのは全員配下だが、かなり連携が出来ている。ジェネラルやバロン、ナイトといった上位種を起点に小隊単位で森での軍事訓練を行っている。小隊単位だけでなく時には中隊や師団での動きも行っている。
亜人は元々戦闘力はあるがこの先輩達じゃ勝ち目は厳しいだろう。頑張って欲しい。
数日間他の国も回り契約を済ませた。結局頼んだ数以外にもその場にいた奴隷も買った。中には魔物に襲われて歩けなくなった女性等もいた。ミニ馬車を作らせ、車椅子みたいな物にした。手で動かすのではなくティンダーウルフに引かせる事にした。
冒険者58名〈前衛38名、後衛20名内僧侶5名〉
薬師5名
女性221名
料理人65名
酪農家30名
鍛冶100名
子供129名
の合計608名を迎い入れた。倍以上の人数になり、大工は大忙しだった。
ただ、事前にこれぐらいは人数が増えるよと言ってあったので、クレイゴーレムから出る泥を活用し3階建ての石造りのアパート等を作って何とか形には出来ていた。高い場所への搬入等は、ハーピィにやってもらえれば終わるので基本忙しかったのは家具制作だった。
子供達が思ったより多いので、学校の校舎を作る事にした。今後も子供が産まれたら通える学校だ。
まだ増えて間も無いので、広さの足りない施設等が多く今後の事も考えて拡張工事を行う事にした。
村の北側には農園、西側には競技施設、南西に畜産と広がっているので南側に村の拡張工事を行った。防壁自体を壊せないから前は諦めていたがセキエイの内部破壊で壊せる事が判明し、ぶっ壊して貰う事にした。
それに伴って現在の建物をぶっ壊して、新しい石造りの建物に変える案が出た。と言っても造ってる最中は作業が出来なくなるのも困るので村の外壁側から徐々に作り変えていく。そして村の中心に大きな広場を作る事になった。
ここは収穫祭や年越し祭等のイベント。それ以外の時は子供達の遊ぶ公園だ。広場を中心にお店も配置し仕事後はここで酒を飲んだり、飯を食べたりして1番活気の溢れるようにした
小さなホテルも作る予定だ。まぁカップルはここを使ってくれ。
まぁ駆け足で予定を作ったが、後はみんなが協力してやってくれるだろう。
村人が増えました。時々1話目も更新してます。今後は各国の食堂への派遣等女性陣には頑張って貰いたいですね。




