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モルドの剣  作者: 馬の被り物
ダンジョン攻略
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ブラック企業

 37階


 山岳地帯が見渡す限り続いている


「思ったより大変そうだな」


「確かに大変ですが、ここはここで修行になりますね」


「ん?どういう事だ?」


「ここには現在の場所みたいに岩がゴツゴツしているので、足場が悪い所が多いです。戦闘時必ず足場がいいとは限れませんからね。それにホラ」


 ウルシが見る先には赤いゴーレムがいる。

 しかしただのゴーレムではない。タナロスという鉱物が魔石とは別に体のどこかにある。

 このタナロスという鉱物だが、ミスリルと同等の性能がある。しかしミスリルは鉱物として掘る事が出来るがタナロスに関しては、このベルジュゴーレムからのみ得られる。しかも採れるのは拳大ぐらい。価値としてはこっちの方があるとウルシが説明してくれた


 ミスリル自体、国によって鉱山が秘匿、産出量の制限が行われるので、このゴーレムはかなりの魅力があり使い方次第では国に目を付けられそうだ。これはウチの村の武器にだけ使おう。

 鋼や魔鉱との組み合わせ、もしくはミスリルとの相性も鍛冶師に任せて研究をして貰おう。


 とにかくまずは倒せるかだな。足場が悪い。加えてどれくらいの硬さがあるか、わからないので武器を大剣にし攻撃してみる。


 硬い……全然ゴーレムは体が欠ける事がなかった。

 等と考えているとベルジュゴーレムが振りかぶってきた。速い!

 避けれない速さではないが、かなりギリギリだった。


「速いですよね?なので、足場の悪い場所での位置取りや咄嗟の判断等の考える力を養います」


 そういう事か…

 攻撃は大剣が無理だった為、ウォーターカッターで切り刻む。何体かやっていると魔石の場所がわかるようになった。

 50体程テイムしていく。ウルシからの指示だ。


「ではこれから一切の攻撃は禁止です。常に攻撃は避けて下さい。2時間避け続けたら終了です」


「えっ?どういう事?」


 俺達は青ざめる


「いえ、言った通りですよ?常に攻撃される事によって動体視力の強化。集中力の強化です。2時間たっても途切れない集中力が欲しいですね」


 おいおいまじかよ…


「あ、ちなみに1体目が終わったら2体同時、最後には5体まで増やしますからね。1対多数の場面を想定してます」


 いや、死んじゃうからね?

 ウルシが監督してるが、セキエイとグレイは免除されベルジュゴーレムを倒している。そして倒した個体からタナロスを回収している。配下のゴーレムが死んだ敵のゴーレムを粉々に破壊してから…


 おい!この為にテイムさせてたのかよ!


 この試練、俺も避けるのに長時間はキツいけど、他にもヤバいやつがいた。

 まずはナタリー。基本、攻撃をしているナタリーには2時間はキツかったのだろう。我慢できずに攻撃してしまった。


「はい。ナタリー殿は最初からです」


「だークソ!攻撃させろよな!」


「ダメです。あなたは我慢が足りないようですね。これはうってつけの修行になりそうですね」


 ナタリーは別の意味で苦労しそうだな


 次にキヨシ。これが全くダメだった。まず避けきれない。殴り飛ばされる度にルナに回復させられてる。

 これは時間が掛かりそうだな。ルナは基本修行は免除されてる。

 なぜかって?俺達が怪我ばかりするからだ。ある意味これが修行になってる。

 基本子供Verで基礎能力を上げるのだそうだ。


 今修行しているのは、俺・ナタリー・キヨシ・エマの4人。


 俺とナタリーが4日かかってしまった

 もう嫌だ。これやりたくない


「だぁクソ!」


 終了の合図と共にナタリーが暴れまくってゴーレム達を素手で殴りつけて破壊しまくっていた。

 アレ痛くないの?と思ったら薄らと光る体。いつのまにか身体強化が出来てるようだった…

 アイツ無意識に身体強化覚えてやがる…


 エマは1週間で課題をクリアした。

 まぁ魔法使いだし他のやり方もあるんだが、頑なに身体強化のみでクリアしていた。足に風魔法を纏って速度上げれば俺よりクリアが早かったんじゃないだろうか?


 キヨシだが、1週間でやっと3体をクリアした所で止められた。これ以上はダンジョンの攻略に支障がきたすので、終了となった。

 ここで、久しぶりに村に帰る事にした。

 2週間振りの地上だ


 本当はいつでも帰る事は出来た。俺の持っていた転移の石をダンジョンに置いておけば村との行き来は可能だったからだ。

 それでも帰らなかったのは常にダンジョンの不便さに身を置く事にしたかった。

 今もダンジョンでは転移の石をリザードマンとゴーレムが守っている


 鍛冶場を覗くとすでにタナロス製の武器の試作品が出来上がっていた。配合率を変え配下に森での使い心地を試してもらう。鍛冶場には大量のタナロス。セキエイやグレイ、怒り狂ったナタリーが狩りまくってたもんな。


 ん?俺か?俺は他の魔法の実験を繰り返していた。今回の実験では新たな"武器"が出来上がった。

 それがサンダースピアだ。雷の槍だが、サンダーアローの弓矢とは違う。

 通常アローとは言ってもバチバチと雷が"矢"の周りに少なからず放電をしていた。

 それが力を分散していて勿体ないと思ったのが始まりだ。極力無駄にしないようと思ったのが以前エマがやっていた圧縮魔法の存在。あれをアレンジして1本の棒を細い筒の中に留めるイメージで投げつけるのだ。

 アローは刺さる。スピアは貫通する。そんな感じ。もし貫通しなくても圧縮されているスピアは当たった瞬間に当たった場所から全身に雷が行き渡る。感電してくれればいいし、もし貫通するなら一直線に並んだ敵なら何体も一度に攻撃できる。

 しかしアローの方が魔力消費は少ないので場面での使い分けだね。


「じゃあ今日一日は休み!各々好きに過ごしてくれ」

「やりー酒!酒ー!」

「おいじじい!やるぞ!」

「久しぶりの休みなんじゃ…休ませてくれんかの?」

「ケーキ食べに行こーっと」

「ルナちゃんあっそぼー」

「うん!いいよー」


 ちなみにイルマは来ているが、基本ルナの応援で魔力切れを起こしかけてるルナに魔力をわけている。アイツも神様?なんだから強いハズなのに戦った所を見たことがない。まぁルナを守ってるからいいんだけどね。



「村長。ちょっと話したい事が…色々要望が来ています」


 シルヴィアが色々な書類を持ってきた


「どうした?」


「各所から人員補充の願いが届いています」


 渡された資料を見る。確かにこの村の発展具合からすると足りないよな


「ちなみに今収入はどうなってる?」


 それを聞いた俺は


「ちょっと思ったんだけどね。需要が多すぎて材料が足りなくなりそうだから農園を地上でも作ろうと思っているんだよね。だとするといつもの奴隷商だけじゃ無理だと思うのよ。だから他の国でも探す事にしました」


「えぇー!そんなに必要なんですか?」


「うん。最終的には地上は魔物をやめて人だけで回そうと思ってるのよ。なので、元冒険者とか増やそうと思ってる。後、足りない部分は少しの間だけ我慢するように言って。見つかり次第配置するから」


「わかりました」


 そして俺は各国にいる商店の連絡用配下に商人へ必要な人数を伝える。この村は亜人が少ない。まだルナだけかな?やっさんは亜人なのだろうか?

 中には亜人排斥派の人族もいるだろう。出来れば仲良くやって欲しいので今回は、なるべく亜人を多くしたいと伝えた。


 欲しい人員。

 冒険者50名〈前衛30名、後衛20名内僧侶5名〉

 薬師5名

 女性200名

 料理人50名

 鍛冶100名

 引き取り手のない残ってる子供はいくらでも


 とした。まずは冒険者だが、農園の見廻りや森での魔物討伐だ。奴隷になるぐらいなので低ランクの冒険者達ばかりになる。今は弱いが配下達に鍛えさせる。


 そして薬師。これは前々から思っていた事。現在はナディア1人にほぼ任せっきりだ。ポーションを作れる薬師を村に置きたい


 女性は料理やお菓子作りに回ってもらう。正直、今1番売れてるのがお菓子部門だ。毎日凄い勢いで売れている。各国に併設されている食堂も常に満席なので、料理部門も増やす予定で一気に200名の人員が必要になる訳だ。

 べ、別に村長夫人探しじゃないぞ!


 次は鍛冶師だが、ホント人手が足りない。

 タナロス製の武器を作るのにみんな頑張ってくれている。歩兵部隊だけでも武器は500以上。防具も作らないといけない。防具に関しては1000以上。他にも世界各国で需要がある所に卸たり、村の農具の修理や今度作る農園のトロッコレール等など、やる事が多いのだ。


 今後の需要を考えてお菓子工房と鍛治工房の2棟目作製を大工に伝えた。


 各国の商人には食堂とカフェを今の2倍になるように土地の取得を支持した。来年には醤油や味噌等を使った料理が爆発的に売れるだろうし、米と小豆の大量生産が出来れば和菓子が沢山作れる。

 しかし、貴族というのは凄い。金があるもんだから、大量に買っていく。まさかここまでとは思わなかった。


 最後に子供達だが、なるべく子供達は買う事にした。貧しい思いはして欲しくない。ここに残るかは別だか、将来故郷に帰って親孝行をして欲しいし、希望があれば田舎に返す予定だ。現在も村の商人に頼んで、途中の村に一時帰宅として降ろしてもらっている。

 ここで、稼いで手に職をつけてから帰ってもいい。選択出来ることは村にいる子供達には話してある。奴隷紋でここの情報は流れない仕組みになってるしね。


「次にですが…」


 なんだ?言いづらそうだな


「いえ、見てもらった方がいいですね。来て下さい」


 そう言うとシルヴィアは席を立つ。後ろに付いて歩いていくと

 な、なんだコレは…


 その光景は…


 サンダーブッファローがガリガリに痩せているのだ


「おい!これはどうしたんだ?」


「ボス…もうでませんぜ…」


「シルヴィアこれはどういう事だ?」


「あの、彼らにはもう出さなくていいと行ったんですけど、頑張るって…最近生クリームの需要が凄くて…」


 まじか…これじゃブラック企業じゃないか!

 すぐさまブッファロー達には10日間の休みを与え、俺は1人でダンジョンに走った。

 20匹じゃ賄えないっていうのか?

 今後の需要も考えて100匹テイムする事にした。修行の成果なのか?走るスピードも屠るスピードも以前とは比べようも無かった。マーキングをあたり一面にし、サンダースピアも投げつつ狩りまくる。

 1時間程で完了させる。

 おぉ!凄く早くなった。転移し、村に連れてくると


「もう終わったんですか?」


「うん。俺もビックリだよ。修行の成果が出てるね」


 まぁこれで当分大丈夫だろう。


 午後からは農園の位置決めとオーク等の壁職人との打ち合わせを行った。ちゃんと説明しないと、また10mとか作りそうだからな。日の光も入れたいので高さは1m程にする。

 アイツらやる気が凄いけど大丈夫だよな?



 そして…結局休みなのに俺だけは働いてしまった…








ウルシはドSでした

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