夢叶う
翌日早朝に目が覚めてしまった為、露天風呂に向かうと
【故障の為入浴禁止。ご迷惑をお掛けします】
という張り紙がしてあった。
どうしたんだろ?近くを中居さんが通ったので
「お風呂ってどうしたんですか?」
中居さんは申し訳なさそうに
「申し訳御座いません。何故か急に湯が出なくなったんです。今原因を調査中ですので朝の入浴は御遠慮ください」
まぁしょうがない。まだ1泊するんだ。入る機会はまだまだあるしな。
じゃあ昼間は他の日帰り入浴巡りでもしようかな?
朝食を食べると少し庭を散策し、女将さんオススメの日帰り入浴の施設を回る事にした。
オススメの入浴施設に向かう途中に気になった文字を発見した。
【混浴温泉仙女の泉】
〈女性に大人気!今注目の温泉!スベスベお肌にもっちりお肌。あなたを虜にする事間違いなし!〉
いーや。俺は騙されないぞ!そんな謳い文句を書いたって、女性ってオバチャンばっかなんだろ?どうせ行ったら「あらやだ。若い子なんて久しぶりだわ」とか言ってオバチャン達にもみくちゃにされんだろ?
馬鹿らしい。行くだけ無駄だよ。それより女将さんのオススメの施設に行くんだ。
悔しい!俺は何て意志の弱い人間なんだ!頭では、わかっていたんだ。行っても無駄だって!頭ではわかってたのに足と心がそれを許しちゃーくれなかった…
そして来たからにはドキドキして扉を開けたさ
そして、そこには…誰もいなかった…
悔しい!たとえ若い女の子じゃなくても、オバチャンなら納得したしネタにも出来た…それなのに…それなのに…誰もいない露天風呂なんて…悔しい!
もういいや、1人で貸切だと思えばいいさ。
と思っていると何やら更衣室が騒がしい。湯気が酷くてシルエットがよく分からない。
オバチャンだと怖い。少し奥に行こう。岩の影に隠れて様子だけでも確認しなきゃ
あっ。入ってきた。2人かな?うーん。湯気が酷くてわかりずらいな。でもオバチャンっぽくないな。あんまり騒いでないぞ。
もしや!本当に若い女の子なのか?
いや、まだ決めつけるのは早計だ。ここで焦るからいつも失敗するんだからな?
もうちょっと近くに行ってみよう
やべっ見つかった。隠れなきゃ
ん?何で隠れる必要があるんだ?ここは混浴だぞ?堂々としていればいいんだよ
ドキドキドキドキ…あぁもうすぐ顔が見える。
ドキドキドキドキ。湯気が…
やっさんがいた
「「・・・」」
「や、やあ奇遇だねえ」
「せ、せやな…」
「や、やっさんもやっぱもっちりお肌効果狙い?」
「お、おっちゃんはお肌をすべすべにしたくて来たんやで」
「あぁ。な、なるほどね。俺達ある意味同じ気持ちで来たんだね」
「せやな。お、同じや。同じ気持ちや」
「や、やっさんがお、女の子の裸み、見たいって言ったんだなぁ」
「何いうとんねん!そんな事あるかい。お、おっちゃんは健全に効能を楽しみにしてだなー」
「なぁ、この状況どうすんの?」
男3人が誰もいない混浴風呂で来もしない女の子を待っているのである。
「「帰ろか?」」
風呂に入りに来たのに変に疲れて宿へ帰る
「あーー!お兄ちゃん達どこに行ってたのーー」
ルナが近づいて来る
「どうした?」
「うんとねー。一緒にお土産買うのついてきてほしーの」
「おう。いいぞ。いこうか?」
「ありがとー。お姉ちゃん達も呼んでくるー」
呼んでくると言いつつ、なかなか来ないルナ
30分程すると
「おにーちゃーん」
やっときたかと振り向くと、そこには
「えへへ。似合ってる?」
浴衣を着ていたルナがいた
「おお!似合ってる。似合ってるぞ。すごく可愛いじゃないか」
「えへへ。ありがとー」
両手で頬を挟み恥ずかしそうにしてる。いやー子供とかいたらこんな気持ちになるのだろうか?すごく可愛い
クッソ!スマホあれば写真撮りまくってるのに!この可愛らしさを保存できないなんて!
俺が、ルナを指で写真を撮る仕草をしながら、カシャカシャと口でシャッターを閉じて「いいよーいいよー最高だぁ」と褒めまくってると
「ゴホン」
と咳払いをされた。その方を見ると
女性陣が浴衣を着て髪をアップにしたり片方に髪を纏めて肩の前に垂らしていた
「お前何してんだ?」
ナタリーから変態を見る目でこっちを見てた
「いや、あの…ルナの魅力を…」
「ルナちゃん。このおじさんにルナちゃんの魅力を振り撒いちゃダメなのだー」
イルマが俺からルナを遠ざけようとする
酷い言われようだな。このちびっ子が!
「でもお兄ちゃん優しいよ?」
ルナ言ってやって!こいつらにもっと言ってやって!
「まぁお前がお土産の金を出してくれるなら許してやるが?」
えっ?何でそんな上から目線なの?
(お前らさっき混浴いってたろ?)
(おまっ!何でそれを!)
(近くを通った時に近所のおばちゃんが、今ニタニタした男が入って行ったから気をつけろって言っててな)
(それ俺じゃないかもしれないだろ?)
(その後にキヨシが入って行ってな。ははんとピンときたのよ。誰も入ってなかったろ?これを言われたくなかったら?)
クッソ!健全な男子の思考を弄びやがって!
「あぁわかったよ!買えばいいんだろ?」
「やったー」
「やりぃ」
「ありがとうございます」
「おにーちゃんありがとー!」
うんうん。いいんだよ。ルナには何でもかってあげるからな?
(ルナいいな。高い物を見たら買ってーっていうんだぞ?)
(そうなの?)
おいナタリー聞こえてんぞ?
はぁまあいいや。どうせ金は余ってるからな
俺達一行はお土産屋に行く事にした。
お土産屋を見ると工芸品とかが中心だった。
おしいよなーこういう温泉街なら温泉まんじゅうとか欲しいもんな。温泉卵に団子もあったらいいよなー
と考えてると、ふと前から来る男に目が行く。
珍しいな。浪人みたいな格好か?
黒い着物をはだけさせ昼間から左手に持った酒瓶で酒をあおり、右手は着物の中につっこんでいる。腰のは刀か?刀自体もこの世界では珍しい。初めてみたよ。滅茶苦茶目立っている。
酔っ払いだし、敵意は感じないし、まぁいーか
それより食材集まれば肉まんも欲しいな。今度やっさんや田吾作さんと相談して試作するかな?
あっ、黒糖も見つかればカリカリにして黒糖饅頭もいいなー。やっぱアンコと米あるとお菓子系のアイディアが出てくるなー。手で摘めるミニお菓子も作ったらきっと子供達喜ぶぞ!お小遣いで買えるもんな。
俺も小さい頃は駄菓子屋で握りしめた100円で何買おうか悩んだもんなー
「いたっ」
急に後ろから声が聞こえたので振り向くとルナが先程の浪人とぶつかって転んでいた
「おっとお嬢ちゃんごめんな。立てるかい?」
浪人が手を差し出す。ルナが手を握るが
「くさーい。お酒くさーい」
と鼻を摘んでいる
「アハハごめんごめん。ちょっと飲みすぎたか?」
「あーお菓子が…」
さっきまで食べていた、トウモロコシの粉を練って薄く焼いたお菓子が地面に落ちている。
「スマンスマン。新しいの買ってあげるから。えーと確かここに」
と着物の中を探してるが
「おっかしーな。何もねーや。あーさっき酒買ったばっかだったわ」
とボサボサの髪を掻いている。
「そういえば、後で金をもらえる事になってんだ。後で金を持ってくるから立て替えといてくれるか?」
「いや、いいですよ。お金には困ってないので」
「いや~すまんすまん。悪いねー」
じゃあお嬢ちゃん本当にごめんなと浪人は歩いて行った
しかし、ルナはナディアの後ろに隠れていた。余程酒臭かったのだろう。
「じゃあルナ欲しいのあったら言ってごらん。買ってあげるから」
「お兄ちゃんありがとうなのー」
そして俺達は村に残ってる半数の村人の為に色々買い込んだり、昼ご飯を食べたりして日中を満喫した。
日が暮れ始める前に宿に着くと宿が騒然としてた。
「どうした?」
「あ、村長。大変です」
村人が慌てて駆け寄ってきた
「実は朝にお湯の故障を見に行った宿の人が帰ってきてなくてですね、まだお湯が出ないんです」
「な、なんだってーー!これはまずい。これじゃのぞ…いや、楽しみの温泉に入れないじゃないか!」
危ない危ない。いや、そうじゃなくておかしいな
「女将さん。普通はこんなにもかかるもんなんですか?」
「いえ、普通なら昼ぐらいには帰れる所に源泉があるのでこんな事には…一応この先をずっと山に登ると源泉があります」
女将さんの指差す方を見る。とりあえずダークネスウルフを走らせ様子を見に行かせる
「ところで女将さん。この先には崖とか魔物が出たりします?」
「崖もないし、この道には魔物も出たと言う報告は今までないですね。」
何もないのか…
「とりあえず武器の準備をしようか?お前達はとりあえず浴衣を脱いで動ける格好をして来てくれ」
「敵かの?」
セキエイが聞いてくる
「まだ分からないけどね。突然変異の魔物なのか。人間なのか。事故でもなさそうだけど、とりあえずダークネスウルフの報告待ちだな」
女性陣を待ってると
「ボスー!ボスー!」
とダークネスウルフから連絡がある。視覚共有をすると従業員が縄に縛られていた。周りには何人も人間に、最近見た人影が
「はぁぁ…」
「どうしたんじゃ?」
「あ、いやさっきセキエイは居なかったから知らないかもしれないけど、買い物の途中でルナにぶつかった男がいるんだよ。従業員が縛られてる所に」
これか。さっき言ってた金のアテとは…
女性陣も集まったので、走って向かった。
7人とかオーバーキルもいい所だよなー
「とりあえず殺しは不味いからな。特にナタリー」
「なんで私なんだよ」
「まぁなんとなくだよ。お前ならやりそうだしな。とまぁ相手の目的もわからないから気絶ぐらいにしといてくれよ」
敵は約20人。素人っぽいから、あまり苦戦をしないだろう
「3・2・1ゴー」
一斉に走り出した俺達に相手は体勢も整えられず10秒で全員が気絶した。ただ1人残して…
コイツ気づいてたな?
見るとまだ酒を飲んでいた
「おやおや?先程の方達じゃない?いやー強いなー」
「目的はなんだ?」
「俺は知らないんだよな。ここを守って助けに来た奴を縛る契約だけだから」
「じゃあ俺達も縛るって事か?」
「まぁそうなるな。酒代もまだ貰ってないし、わかってるだろ?無一文なんだ。ここをどくわけには行かないんでね。じゃあボチボチやりますか!」
威圧というのだろうか?浪人が立ち上がり刀を抜くと一気に空気の雰囲気が変わった
「リュウ殿下がってて下さい。なかなかやりそうですね」
「まぁ3人もいるからの。協力すれば倒せるじゃろ?」
「来て良かったぜ!楽しめるな」
ウチの前衛3人が前に出る
「じゃあ行くかの?ホイ」
ノーモーションで詰めるセキエイ
「うぉい。じいさん危ねーな」
と言いながらも右に避ける浪人。
避けた先に
「よっしゃ!私の獲物だ!」
ナタリーがすでに詰めており、剣を振るう。しかし浪人はナタリーの剣を刀の鞘でいなす。真剣と鞘二刀流だった。
ナタリーに気を取られた瞬間に、隙を見逃さなかったウルシのサーベルの突きを浪人は右手に持っていた刀で上から叩く。
3人相手に初撃をしのぐ浪人
コイツ強いな
それでも3人は慌てず、すぐさま次の攻撃に移る
「おいっ!あっぶねーちょっと連携よくね?」
「お主もなかなかやるの?」
「ええ、なかなかの動きですよ」
「てめぇ!避けんじゃねー」
「これは正直やばいか。もう少しピッチあげねーとなー」
と言い出すと
「ちょいタンマ!」
と左手を開き掌を前につきだす
「「「???」」」
「あー少し待ってくれ。これ飲まねーとやる気でねーのよ。」
とおもむろに後ろの酒をあおりだした。
えっ?何だこいつ。何で戦いの最中に酒を飲むんだ?っていうか、さっき会った時も飲んでなかったか?
3人は突然予期もせぬ行動に警戒をして動きが止まってしまった。
よいしょと浪人は着物から腕を出し帯の上、上半身裸になる。
「さてお待たせ。やろうか?」
とさっきよりプレッシャーが強くなった。
「やるのう」
セキエイは一気に詰め寄る。立ってた地面が陥没する程の踏み込みをして。浪人の縦の斬撃を木の葉のようにゆるりと避け足払いをする。
ジャンプをする浪人に、ウルシの目にも留まらぬ刺突も浪人の右手にある刀の腹で全て弾く。
後ろに回りこんだナタリーが切りつけるが、浪人は振り向きもせず、左に持った鞘を逆手でナタリーの腹に突く。
「ぐっ!」
2m程吹っ飛ぶナタリー
その後もセキエイの打撃やウルシの突き、ナタリーの斬撃が尽く防がれる。合間に繰り出す浪人の攻撃はウルシ、セキエイには効かず、ナタリーに少しづつダメージが蓄積している。
「ふむ。このままじゃお嬢が持たないかもしれぬの?」
「まだまだ私はいけるぞ!」
「それよりこのままでは勝負が決まらんじゃろ?早くお湯をなんとかして入りたいからのぉ。まぁ久しぶりにやってみるか」
そう言うとセキエイの雰囲気が変わる
「おいおいじいさん。奥の手ってやつか?こっちは3人で手一杯なんだぜ?」
「別に奥の手って訳じゃないわい。少し若者に勉強をさせてやりたいと思っての」
「いやー俺は不真面目だし、勉強嫌いだからな。それに授業料を払える金もないぜ?」
「今回は特別授業じゃよ。ワシからのプレゼントじゃわい」
そう言うとセキエイの両手が光る。
低空の姿勢で駆け寄り浪人の斬撃を右に躱す。セキエイの左手が脇腹に触れる間際、左手に持ってる鞘を手放し脇差で受け止める
キュイーーンと甲高い音がすると脇差が爆発し大破する。浪人は体勢が崩れるが、セキエイは1歩踏み出し、右手を腹に掌底で叩き込む
「風牙身裂破」
当たった瞬間に浪人は10m吹き飛び吐血をしながら木にぶつかった。
「ふぅこれで動かんじゃろ?」
えっ?セキエイ強すぎね?完勝じゃん
「おいジジイ!お前実力隠してやがったな?帰ったらやるぞ!」
「はてなんの事かな?最近ボケてのぉ」
都合の悪い時だけボケたフリをしやがる。これで、うちの村最強はセキエイかな?
「セキエイ殿流石ですね。まだまだ余力はありますし、ダンジョンはなんとかなりそうですね」
今回出番がなかった俺達4人は完全に空気だった…
「おじいちゃん本当に凄いんだね」
エマは今まで身体強化で模擬戦をして貰っていたものの手加減をされていたのだろう。驚いていた。
ルナは
「おじいちゃんすごーい」
と興奮していた。
「じゃあまず、従業員を助けようか?」
縄を解き、事情を聞く
「大丈夫ですか?」
「はい。少し殴られて怪我はしてますが、時間がたてば良くなると思います」
大きな怪我はないが、一応ルナに回復をかけてもらう
「それでこいつらに面識は?」
倒れてる奴等に目を向けると
「ここにいるのは別の宿の人達です。なぜこんな事をしたのか…」
従業員達も身に覚えがないといった表情だ。事情は起こして聞くとして、ウルシとキヨシに護衛させ宿に戻ってもらった。
湯はただ堰き止められていたので、宿に流れるようにしてもらった。
彼らは戻らないと夕食の準備とか大変だろうからな。
さてと、浪人は動けないよう木に縛り付けナタリーに見張らせたからいいとしてコイツ等だよな。
まず1人に水をぶっかけ起こす
「ゲホゲホッ」
「起きたか?おい何でこんな事をしたんだ?」
周りの状況が読めていないらしい
「そんな事いえるかよ」
「分かった」
俺はナタリー以外に木を集めてもらい、そいつの周りに円を描くように配置していく
「さて、もうわかりそうだが…」
と他の平にファイヤーボールを浮かせる
「これが木に放たれたらどうなるかわかるよね?」
ニコッとすると
「ご、ご、ごめんなさい。言います。言わせて頂きます」
ようはこうだ。今回俺達が泊まった事で利益が1つの宿に集中した。今回だけでなく同じ人数がもう1回泊まると知った為、宿に流れるお湯を止めれば、俺達が怒って他の宿に変えるだろうと考えたのだそうだ。
それに、この人数を無事に温泉街まで運ぶのに護衛なんかもいるだろう。そうなると、ここへ助けに来たら自分達では敵わない。なので浪人に助っ人をお願いしたそうだ。
はぁ頭が痛い。衛兵に任せて処分をお願いしよう
それにアイツだな。かなり強かった。セキエイがギアを上げなければ長期戦になってたな。
さっきの奴と同じように水をぶっかける
「ゲホッ。ハアハア。あー俺負けちまったのか?つえーなーじいさん。」
「お前あいつらと、どういう関係だ」
「意識を失ってる奴等と?何か2週間くらい前にここの温泉街に入り込んだ大きな猪をぶっ飛ばしたのよ。今日は猪鍋で酒が美味くなるなと思ってたら、こいつらが用心棒になってくれって言い出してな。宿代に飯代に酒まで出してくれるってもんでさ、こりゃあいいって居着いちまったんだよ。しかも今日は撃退すれば特別報酬の約束があったからな」
まさかこんなにも強い奴が来るとは思わなかったよと笑っている
「ここにいるやつは全部衛兵に渡すから報酬は貰えないぞ」
「おい!それは困る。明日からどうやって酒を飲めばいいんだよ。行くあてもないし、身よりもないから困るんだよ」
絶望の表情を浮かべている。と思ったら
「あっ!そうだ!アンタら雇ってくれよ!さっきも見たろ?腕はあるんだ。用心棒でもやるぜ。頼む!」
両手を合わせ土下座をしてくる
(おいどうする?一応強いのはわかったんだけどさ)
(まぁ確かに戦力upにはなるのぉ)
(ちょっと脅しをかけるか。じゃないと勝手に村の酒がなくなるからな)
「見ての通り用心棒は間に合ってる。全員ウチの村の関係者だからな」
「頼むよ!この通りだ!」
「じゃあ条件だ。それを守らなかったら雇う事ができない」
「わかった!わかった!何でも言ってくれ。酒を飲めればなんでもいい」
アル中だな…
「ここに契約書がある。ここに条件を書くんだが、1つは村や俺の秘密は外部に漏らさない。酒は1日コップ1杯までなら無料だが、後は自己責任だ。一応毎月金貨1枚を配給するからその金で生活しろ。ただし、お前の場合は酒に全部使いそうだからもし借金するなら強制的に酒が飲めない農園送りになると思ってくれ」
浪人の顔が引き攣ってる。これドワーフと一緒だ
「うーん。でもかなり魅力的だな。毎日酒飲めれば、まーいいか。わかった。村長宜しく。俺はグレイだ」
そうグレイが言うと握手を交わした
「さて、グレイには初仕事だ!こいつらを衛兵の所へ運ぶぞ」
「うへーもう働くのかよ」
「文句言うな。酒飲みたいんだろ?」
「まじか!こいつらなら任せろ!」
現金な奴だな。
その前に契約だな。これをしないとダメだからな。
俺とグレイは契約を交わしダークネスウルフを5人分影から出させる
「うぉい。魔物じゃねーか!どこから出やがった!」
「これが秘密だ。俺のスキルでテイムって言ってな。こいつらは俺の配下だ。背中に乗せて何回か往復するぞ」
グレイには2人担がせた。そして衛兵の詰所で説明したりクタクタになりながらも宿に戻るのだった
帰ると女将さんが待っていてくれて
「どうも今回はウチの従業員を助けて下さりありがとうございます」
とお礼をしてくれた。
「いえいえ気にしなくても大丈夫ですよ。何とかなったんで」
「いえ、そういう訳には…もしよければ今回の宿泊の分はこちらで負担させて頂きます」
「いや、そこまでやってもらわなくてもいいですよ。今回は俺達も関係しているみたいですしね」
さっきあった事を伝える
「そんな…他の宿の人達が…」
ショックを受けているようだった。同業者とはいえ、会合で顔を合わせたりしてたりもするかもな。温泉街を盛り上げて頑張っていこうとか話したり昨日までは仲間だと思ってた連中かもしれないし…
と、ここでいい事を思いついた
「あっじゃあこういうのはどうですか?」
(うちの半魚人いるでしょ?彼はあの体ですから子供を作れないんですよ)
(はぁ)
(でね。コンパニオンを呼んで欲しいんです。しかも金髪の若い子ね。宴会場には呼べないので部屋の方にね。胸とお尻を触らせる事が出来る女の子って呼べます?)
(まぁこの時間なので、呼べるか確認しますが、酷い事はしないですよね?)
(本人に言い聞かしますが、女の子も特に酷ければ怒って帰ってもらっても大丈夫ですよ)
(わかりました。でわ確認しますね)
すぐに確認したら、来るとの事
急いでやっさんに伝えると
「心の友や!この恩は一生忘れへんで。おおきにな」
「ただし、あまりに酷い行為なら帰っちゃうからな。気をつけてくれよ」
「わかってる。わかってる。おっちゃん紳士やで」
俺達が宴会を始める頃、その女の子。金髪の胸のあるかわいい子が来た。
やっさんは、部屋でしっぽりしてくるから先に食べといてくれ、おっちゃんはこっちを食べるさかいにといい残しエロそうな顔をして部屋に入って行った
頑張れやっさん
宴会も始まって1時間もしない内にやっさんが宴会場に入ってきた。顔には大きなモミジを付けて
「きかんといてくれ」
とだけ言って黙々と食べた後は、ひっそりと部屋に帰って行った
その夜は枕投げをしてるルナの楽しそうな声がしてたが
「うっさいわーボケー!」
と言う声の後に
「ぎゃあああ!おっちゃんの…おっちゃんのセクシーシンボルがぁぁ!」
という声がこだました
その後はまたルナの楽しそうな声がしたので問題はなかったのだろうな




