村なんだよな?
カポの村に着いた
村...うん?ここで合ってるよね?
明らかに違和感がある。いや、ここは村ですと言われたらそうなんだけど、村の外には誰も歩いていない。昼間なのに...
「えーとここでいいんだよな?」
「ええ、ここで合ってるハズですね。それにしてもおかしいですね。目の前に5軒しか家がないですね」
「リュウお主間違った地図渡されたんじゃないのか?」
俺もセキエイの言った通りのような気がする...
「貧しい村と言ったがここまで酷い村を紹介してくれとは言ったつもりはないんだけどな...」
「まぁとりあえず村人でも探してみましょう。おや?あそこに子供がいませんか?」
遠くの草むらで何かを探している子供がいた。
全員で近寄り子供2人に声を掛ける
「ちょっといいかな?ここはカポの村でいいのかな?」
「うん。そう。ここはカポの村だよ。お兄ちゃんだーれ?」
「お兄ちゃんは冒険者だ。ここにシスターはいるかな?」
そう言うと子供は
「本当に!本当に!冒険のお話し教えて!」
キラキラと目を輝かせて話しを聞かせてくれとせがんでくる。参った...俺特に冒険なんてしてないぞ?商人って言えばよかったか?
あ、でも商人らしい事もしてないか...言えない内容ばかりだもんな
興奮する子供を落ち着かせ、シスターの場所を聞く
「うんとね。シスターなら薬草を探しにみんなと行ったよ」
「そうか...じゃあ村で待たせてもらっていいかな?ところで君は何か探してたの?」
「うん。いいよー。えーとね。何か食べれそうな芋とかを探してたの」
「じゃあ待つのもなんだから、一緒に探してあげるよ」
「ほんとー!ありがとうお兄ちゃん!」
さすがに可哀想なので、手分けして探す事にした。ナタリーは街で気分良くなったから帰るわとか言って戻って行った。ストレス発散だけだったな。というか、あいつストレスとか抱えるのか疑問だな
4人+子供で収穫が痩せた芋2個だけだった...ひどいなココ...
そうしてると森の奥からシスターと村人10人程が来た
「あら?貴方達は?」
「はじめまして。冒険者をやってるリュウと言います」
「冒険者さんですか?私はこの村でシスターをやってるナディアと言います。ですが、申し訳ないのですが、ここには宿泊する施設もなければ、おもてなしする食糧もない有様でして...」
「いえいえ、私達は馬車で寝れますし、食糧もありますので。それよりこの村は...」
「そうですよね...村とは言い難いですよね。人口も20人程しかいませんし、老人と子供しかいませんから集落と言ってもおかしくありません」
と暗い表情をするナディア。これは引き抜きとかできないな...引き抜いたら最後の希望っぽいナディア不在で村が終わりそうだな
「ここはどうやって暮らしているんですか?」
「ほとんどが山の山菜等で、薬草を纏めて街で売り食糧に変えています。ただ最近は足元を見られてしまって...このままでは生きて行くのも限界で...」
「そうですか...」
すごい気まずい...食糧とか与えても一時だし、村の住人が自立できなければしょうがないもんな
「そういえば、ここには老人と子供しかいないですが、若者はいないんですか?」
「ええ、ここにいるので全てです。元々は老人しかいなかったのですが、近くの村が魔物に襲われて助けに行ったんですが、手遅れで...子供数人を保護したのが精一杯でした」
「シスター!シスター!」
と先程の子供が叫んでる
「あらどうしたの?」
「ルナちゃんが帰って来てないよ?」
「えっ?ここにいたんじゃないの?」
「なんかね。ルナちゃんがシスターを探してくるって言って探しに行ったの」
あれ?さっき居たもう1人の子供?
あれ?もしかして俺らのせい?
(おいウルシ。これって俺達のせいじゃね?)
(はい。間違いなく私達のせいでしょうね。探した方がいいでしょうね)
「まずいわ。急いで探しましょう。ここら辺には凶暴な魔物や、盗賊がいるというのに...」
いや、それでよく生きてるな...
逆に盗賊なんかは何も無い村を襲うなんて事はないのか?魔物だけに気をつければいいのか。何かそれも嫌だな。
俺達は顔を見合わせ頷き
「ナディアさん。ルナって子の特徴はありますか?」
「はい。10歳の女の子で、髪は青く服はこの子等と同じ感じです」
「分かりました。皆さんは危ないので、ここで待っていて下さい。念の為にエマを置いていきます。この子なら魔物が来ても大丈夫ですから」
「えっ?この子戦えるんですか?」
「はい。魔法使いですから大丈夫ですよ」
エマはない力こぶを見せてくる
「ポチとここを守る!」
えっ?その兎ってポチって名前なのか?
くたびれた兎のヌイグルミが下を向いていた
俺達3人は散っていき、村人が見えない所でダークネスウルフを影から出す。一気に速度を上げ捜索を再開する。
ウルシ視点
困った事になりましたね。あの村から引き抜きは無理そうです。あそこまで酷いのは今まで見た事もありません。
きっとシスターが優秀なんでしょう。存続してた事自体が奇跡です。
これ以上絶望を味わないように何としてでもルナちゃんを探さなくてはいけませんね。
おや?あんな所に洞窟が...
ダークネスウルフも何か感じたようですしビンゴですね。中には人の気配もあります。でわ、あの2人も呼びましょう。
ウルシから呼ばれ
「見つかったか?」
「はい。あそこが怪しいですね。一つだけ強い気配がありますね」
「ほぉ結構たのしめそうじゃな」
「いや、今回は楽しむのが目的じゃないぞ?ルナちゃんさえ無事ならいいんだからな?」
「ええわかってますよ」
「わかっておる」
本当に分かってんのかなぁ?
ニヤニヤしてるし、顔と発言が一致してないぞ?
まさかウルシまで嬉しそうなんてヤバイ奴かな?
とりあえず安全策で行こう
まず見張りにサンダーアローを放つ。ビクンと感電しドサリと倒れる
それを合図に一気に洞窟の横に張り付き
そーと中を覗く。薄暗く余り見通しがよくない。気配察知には数人が反応している。大体20mが限界だがまだまだ奥は広そうだ
ウルシとセキエイが一気に中に入り敵にナイフを投擲し無力化を行う
そして最奥と思われる洞窟の大広間の前の影で確認をする。
「結構強そうな気配だな」
「なかなか歯応えがありそうですね」
「強そうなのはウルシに任せようかの。雑魚はワシがやるわい。」
「じゃあ俺はルナちゃんを救出に向かうな」
3人で頷き一気に突入する
するとそこには...
50人程の敵がいた。
俺の索敵の範囲外にかなりの数がいたようだ。
「やっぱ懐かしい気配がすると思ったら、お前かイタチ。いや、今はウルシだっけな?」
「あなたは変わらないですねフクロウ」
「よせやい。その口調何とかならねぇか?昔の口調でしゃべろうや」
イタチ?ウルシと顔見知りみたいだが、どういう事だ?
「リュウ殿、セキエイ殿、フクロウは私が相手するので、周りの者を倒して下さい」
「わかった。無理するなよ。もし分が悪いならセキエイも応援に寄越すからな」
「いえ、多分大丈夫です」
俺とセキエイ、ダークネスウルフ3匹は残りの敵に目を向ける
右を俺、セキエイには左の敵を担当してもらう。
俺は、サンダーアローを2本投げ敵を散らせる。
逃げた先でダークネスウルフが噛み付いたり突進して吹っ飛ばしている
俺も一気に加速し、双剣に変え敵を切りつけていく
人を殺す感覚はあまり慣れないが、やらないと俺が殺されてしまう。今は村や配下の命を預かってるような身だ。死ぬ訳にはいかない
1人また1人と数を減らしていくが、やはり人数が多く攻撃が防がれる事がある。
無理せず一旦後ろに下がりやり直す。ダークネスウルフが撹乱し隙の出来た敵を俺がトドメを刺す。横を見るとセキエイが無双している。
ダークネスウルフを全部こっちに寄越して単騎で向かったが流石である。
素手で敵を吹っ飛ばし、掌をあてた敵が服の一部だけ破けて吹っ飛んでた。気功とかいうやつかな?
向かってくる敵には空気投げをしている。
アレ本当にできる人いたんだ...漫画だけかと思ったよ...
セキエイめっちゃ強いじゃん!
おっとこっちも頑張らないとな。ファイアーボールで牽制し、一気に距離を縮め切り掛る。




