体を動かそう
エマと老師が来てから数日
街の外にある現在建設中の場所へ来た
ここ以外にもいくつか建設が現在進められている
そして村の中にトロッコレールを作っている
肉加工工場から給食センターや精肉屋に運ぶのに、ちょっと遠いなと思ったのが始まりだ。
まだ運用は出来ないが、元日本人3人で意見を出し合って自転車型の漕ぎトロッコを作製する事にした。これで長距離搬送が楽になる。
この世界では馬車でしか輸送手段がないので、もしこの技術が知れ渡ったら輸送革命が起こるだろう。秘匿しなければいけない。技術を手に入れようと戦争に発展しかねない(うちと他国で...)
話しは戻るが街の外というか隣接だが、いくつかの建設場所を見ると少しづつ壁などが出来上がっている。何を作っているかというと競技場だ。
村人の運動不足解消にスポーツを推奨したのだ。今後チームを作って対抗戦等をしてみたいと思っている
今回作っているのは野球、サッカーの2つの競技場。素人の村人なので、ホームランは期待できないからとバッターボックスから外野までは80mと少し狭くした。勿論観客席も作る予定だぞ。
ボールは木を削り、丸くして外側に魔物の皮を鞣して縫った物を使用している。手作りなのでどんな変化球がでるのか楽しみだ。
サッカーボールはエマが空気を圧縮する魔法を使えるらしいので圧縮してもらい外側を皮で縫い合わせた。魔法って素晴らしいな。
スケートリンクも作った。勿論魔法で氷を出した。溶けだしてもボアに任せれば1発さ。ここでいつかはトリプルアクセルを使う少女が出てくるのだろうか?
大規模じゃなくても手軽に庭で出来るスポーツというか遊びを教えた。ペタンクである。中心の円にボールを飛ばすだけなので女性陣に人気が出た。
怪我をする村人が出て来た。さすがに不味いと思い出した。うちのPTにも言えるが怪我を治せる僧侶が不足してる。現在いる僧侶は探索組に入れてるので休みの時にしか治療が出来ていない。今後の事を考えると常駐の僧侶が欲しい。
やはりあそこへ行くか?
奴隷商だと思った?残念。
今回は宗教国家に行く予定だ。教会が多く僧侶というかシスターもまた多い。
狙い目は末端の教会だ。神父やシスターが多い所だと派遣という形式をとった場合、その後帰る事になり村の話しになりかねないからな。一生住んでくれるならいいけど...
行ってみないとわからないか?
数日後、行くメンバーを決めた。
今回はウルシ、エマ、セキエイの4人で向かう。
ナタリー?あいつは坊さんの説法とか聞いてるとイライラするタイプじゃない?神父の口上とか聞いてたら我慢できなくて殴りそうだから今回は外した
【神聖アイドゥン皇国】
この国は1つの神を信仰している。かつては多くの神を信仰していたが、宗教戦争をし今の神に落ち着いた。それが土の神”ヴォーロス”だ。
実は他の国でも土の神を祀っている所はある。なので、とても仲が悪い。国同士が離れてるのが救いだが...
同じ土の神なら仲良くやって欲しいが、どうも名前が少し違うらしくどちらの格が上なのかで競い合ってるらしい。俺からしたらどっちでもいいんじゃね?とは思うが多分言ったら油に火を注いじゃうな。
そんな事を考えていると王都に着いた。
エマとセキエイに宿の手配を頼んだ。そしてウルシと共に教会に向かった
場所がわからず街の人に聞いてみると
「それならあそこだよ」
と指を差す。
その方向を見ると他の建物と一線を画す豪華な神殿があった。
宗教ってやっぱ儲かんだね。宗教=金持ちはすべてに当てはまる訳じゃないが、この国に関していえばそうなんだろう。日本でもそういう所はかなりあった。
荘厳な石造りの神殿に入って行く。
まぁ確かにこんな造りにしたら神聖な感じはするよな...
その造りに圧倒されながらも進んで行く
「ようこそ神殿へ。何かお困り事かな?」
50代くらいの神父が話しかけてくる
「実はお布施をしに来たんです」
懐から金貨を1枚取り出す
「おお。そんなにもお布施を出して下さるとはヴォーロス神も喜んで下さる。」
(いや、金もらって喜ぶ神なんていないだろ...喜ぶのはあんたらだけじゃない?)
「それで神父様に相談なんですけどね?」
「それでしたらこちらへどうぞ」
神殿の左右にある沢山の小部屋の内の一つに通される。さすが金の力は偉大だぜ
「で、ご用件はなんでしょうか?」
「実はうちの村に住んでくれるシスターを探しているんです。できれば貧しい村にいるシスターを紹介して欲しいです」
教会の神父やシスターという者は基本回復魔法が使える。ただその能力が高ければ上に上がれる訳でもない。そこは政治力が物を言う。教会に嫌気がさして冒険者になる者もいるし、僧侶としての力が強くても貧しい者を救いたいと慈悲の心が上回り一生貧しい村を回る者も多くいる。
逆に欲に目がくらみ権力欲しさに教会中枢に入り、口のうまさで幹部に登りつめる神父等もいる
「それでしたら、カポの村なんかはどうでしょう?あそこはここから大分離れてますが寄付をして頂けると助かります」
カポの村の地図をもらい宿に戻る
全員に次の目的地の場所を伝え、食糧等を村に帰り確保する。今回は馬車で3日の距離だからである。ダークネスウルフが進化し、影に潜り込む事ができるようになり好きな時に潜んでるダークネスウルフで移動はできるが、道中は目立つのでダークネスウルフでの移動は避けた。
夜、暗闇に紛れ込み目的地に向かう影。
通りには誰一人として歩いている街の住民はいない。
照らすのは月の光のみ。そんな中、足音も立てず目的地に辿り着く
「ここか...」
男が一言そう呟くと首に、鋭利な刃物の冷たい感触が伝わる
いつの間に?
「立ちなさい。貴方達の目的はなんでしょうか?」
言われた通りに立ち上がる。どこかに隙はないのかを探して
「ヘタに動かない方がよろしいですよ。すぐに手が滑っちゃいますからね」
ふふふと冷たい言葉が男にかけられる
「言えない。殺されようとな」
その時、男の首にあてられている刃物に月の光が当たり自分の後ろにいる人物の顔が見える
「まさか!お前はしっ...」
男が言い切る前に首を切られる
「やれやれ吐かせる前に殺してしまいましたね。まぁどうせ吐かないでしょうし逃がして情報を持ち帰られても困りますからね。ですが、昔の私の事を知っている感じでしたね。すでにあれから大分経ちましたが、まだまだ私の名は知れ渡っているという事でしょうか?」
そう思いながら、この死体をどうしようか悩むのであった
女の子がもっと欲しい...癒しが欲しい...




