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モルドの剣  作者: 馬の被り物
食材を探そう
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新たな素材

 宿に戻って来た。

 

 本当は村に帰っても良かったが、商店から出たり入ったり何回もしてたら変に疑われると嫌なので、宿を取る事にしたのだ。

 

「で?キヨシは何を見つけたんだ?」

 

「こ、これなんだなぁ。こ、これであってるかなぁ?」

 

 そこにあったのはサツマイモだった。少し細長い物だったが、まさしくサツマイモだった

 

「キヨシでかした!これどこに売ってたの?場所を案内してくれ」

 

「お、大通りから少しは、離れた所なんだなぁ。お、おばあさんが売ってたんだなぁ」

 

 キヨシに案内させる。

 

 大通りから1つ脇道に入った所にその露天はあった。

 

「やぁ良かったら見ていっておくれ」

 

 お世辞にも賑わってるとは言えず、客も1人か2人ぐらいしかいない

 

「こんにちわおばあさん。うちのもんがこれを買ったんですが少し詳しく聞いてもいいですか?」

 

「もしかしてクレームかい?」

 

「いえ、そうではなくてですね。これどこに生えてました?できるだけ欲しいのですが...」

 

「あぁ、そういう事かい。それはうちの村の山に生えておったんよ。ツルの根だから、もしかして薬の材料とかで売れるかもと思っての。でも全然売れなくてねぇ。1年たっても全然売れないからもう諦めようと思って捨てようかと...」

 

 とりあえず今売ってるのは全部買い取った。また必要になるかもしれないから村の名前を聞いといた。

 他にも色々見てみた。ヤモリっぽいのを乾燥させたやつとかもあったり、基本漢方的な商品が多かった。

 ほとんど白髪でローブを着たシワだらけの老婆の怪しさが店に馴染んでいた

 

「こんな所で売ってたらあまり儲からないんじゃないですか?」

 

「そうなんじゃが、商品を気味悪がられての...こっちに追いやられてしまったんじゃよ。もし良かったら他も買って行っておくれよ」

 

 こういうのは結構ワクワクするんだよね。効能が全然わからないけど、見てるだけなら楽し...

 

 固まった。まさか...まさか...あそこにあるのってアレじゃないのか?

 

「おばあさんもしかしてアレってお茶にして飲んでます?」

 

「おぉそうじゃそうじゃコレな。若いもんとかは苦いって言って飲まんのよ」

 

 少しもらってもいいですか?と断りを入れて飲ませてもらった。

 間違いないこれは緑茶じゃないか!

 紅茶があるんだ。緑茶が有ってもおかしくないって思っていたのだ。

 確かに苦いって思う人はいるだろう。この世界の人達は結構甘い物に飢えている。

 砂糖水の時もそうだったし、伯爵もそうだった。おばあさんぐらいになると違うのだろうが、基本みんな甘党だった。そんな人達が多いから緑茶が苦いって敬遠する事もわかる。

 

 具体的に交渉を始める

 

「おばあさん。そのお茶の葉は村で生産しているのですか?」

 

「いや、これは村の老人が趣味で作って自分達で消費しておるんじゃよ。作り過ぎて捨てる事もあるがの」

 

 かっかっかと笑ってる

 

「もし良ければ、その葉を定期的に買いたいんです」

 

「物好きだね兄ちゃん。これ好きな若者はあんまいないよ」

 

 そう緑茶ならね。ほうじ茶に変えればいいんだ。羊羹には、ほうじ茶がよく合う!(個人的見解)

 普通の緑茶だって充分に合うし普段から飲もう

 

「好きなんですよ。実は自分、村長をしてましてね。これを村で飲めるようにしたいので、余剰分を全部買いたいんです。あればあるだけ買います。商人もやってるので、世界中で売る事も考えてます」

 

「本当か!うちの村も喜ぶぞ。それにしても、その歳で村長と商人やってるなんて立派じゃな。村の若者も見習って欲しいもんじゃ」

 

 ハハハと笑い今後うちの商店に纏まって卸してもらう事にした。一応少し分けてもらった。ほうじ茶にする実験の為だ。やっさんも喜んでくれるだろう。

 

「いやー順調順調。順調すぎて怖くなるよ。サツマイモってどうすれば作れるのかなぁ?種芋とかどうすれば手に入るのかわからないから元日本人の農家さん待ちだな」

 

 ウルシは伯爵の屋敷へ面会のアポを取ってもらう為に向かわせた。資料の事で渡すだけじゃなくて、会って話さないといけないと思ったからだ

 

 

 そして俺は宿から一旦村に戻った

 

 工房に行き...

 

 

 

 

「へへへ。ボス例のブツを手に入れましたぜ!」

 

「......おいおいこりゃあ上物じゃねぇか!」

 

「へい。それに海外からの密輸(転移)ルート(卸し)も確保しましたしこれでウチの組織もでかくなるってもんですわ」

 

 

 わっはっはとやっさんと笑いながら茶番をする。

 

「「はぁー」」

 

 と2人とも緑茶を飲みながらほっこりする。

 

 工房の弟子達にも1口づつ飲んでもらうが、大体が苦いとの意見がでた。これは羊羹とかと一緒に飲んでもらうしかないな。まだ小豆がないから作れないが...

 

 次にフライパンと釜を借り、茶葉を焙って行く。前にテレビで観た方法だ。

 完成し弟子達に飲ませると飲みやすいと好評だった。

 俺は羊羹とほうじ茶の組み合わせが最強だと思っているので、小豆の確保は最優先事項だった。

 

 

 宿に戻り数日、伯爵の屋敷に招かれた。

 

「よく来てくれた。聞いた話しだと渡したいものと聞かせたい事があるって事だったが、どんな用事だ?」

 

 そう。面会の理由として伯爵に会うまでは、詳しい情報を流さずにいた。どこで誰が聞いてるか分からなかったからだ

 

「実はですね。最近滞在している街で事件に巻き込まれまして、大体は解決したんですが、これを見て欲しいんですよ」

 

 とアジトで回収した資料と手紙を差し出した。

 そして経緯等を説明した

 

「正直手に余りますので、伯爵様に渡した方がいいかと思いましてね」

 

 丸投げとは言えなかった

 

「丸投げか?」

 

 バレてる

 

「まぁいい。それにしても凄いなコレは。かなり大掛かりな犯罪組織じゃないか。分かったこっちで動こう。この貴族は違う派閥にいるが、その派閥にかなり大きな貸しができるな」

 

 と嬉しそうな顔をしている

 

「じゃあ今度はこっちの用件だ。お前達に言われた物を揃えた。何とか4つまで集めたぞ。これでレシピと乳の件は頼んだぞ」

 

 そう言って後ろにいる執事に持ってこさせた

 

 1つ目はカカオ

 

「これは山奥に自生しているが、現地の村人でも使い道がわからなくて放ったらかしだったぞ」

 

 それはいい事を聞いた。誰も使い方を知らないって事はいい事だ。っていうか召喚者達は作ろうと思った事ないのかな?それともやっさんみたいなパティシエがいなかったのか?まぁチョコレートなんて原料からの作り方は普通知らないか...コンビニで100円で買えるもんな

 

 その次はコーヒー豆

 

「これ何に使うんだ?何も味しないし、硬いぞ?」

 

 そうだろうそうだろう。楽しみだ

 

「まぁ内緒ですよ」

 

 3つ目は大豆

 これは街でも買えるとの事。キヨシの野郎!あいつちゃんと調査してたのかなぁ?

 

 最後に4つ目がバニラビーンズ

 正直これが手に入るとは思ってもみなかった。なんせ手間がかかるからだ

 

「これはな、ある部族の中でのみ流通している物らしい。配下の1人がたまたまその部族出身でな。主にその匂いを嗅いで精神を落ち着かせるのに使用しているらしい」

 

 ああ確かに甘いもんなぁ。ちゃんとした使い方を知らないとは...でもこれで色々と作れる幅が増えた

 

「ありがとうございます。それで...」

 

 カカオの木とコーヒー豆の木の場所を教えて貰った。後で向かい、村から転移でストーンゴーレム自体を呼ぼう。木を引っこ抜きダンジョン行きだな。

 

 大豆も大量に欲しいな。ダンジョンで枝豆も作ろうか?酒に合うおつまみとしてよく売れるぞ!

 まぁ誰かが絶対やってるハズだからバカ売れはしないが、塩ゆでは酒飲めなくても好きだもんな。よし!豆は大量に作ろう

 さてバニラビーンズだが、これは相当手間がかかりそうだし、作り方はやっさんでも知らない。バニラエッセンスはわかるみたいなので、直接仕入れた方がいいな。

 

「では、この細長くて焦げ茶のやつを定期的に買いたいのですが大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だと思うぞ。特には匂いを嗅ぐくらいしか使ってないから余りがちだそうだ。住んでる場所を教えとくな」

 

 大収穫だ!かなりテンションが上がる

 

「それと以前話した召喚者だが、乗り気になった。やはりケーキを食べて考えが変わったそうだ」

 

 執事に目を配り執事が男を連れてくる

 麦わら帽子に白いシャツに麻のズボンを履いた、ザ農民がいた。

 

「何ともわかりやすい格好ですね...」

 

「お前がリュウか?俺は日本では岩渕田吾作と名乗っていた。田んぼ農家だが、他にも色々やってたんだ宜しくな」

 

 60代くらいの褐色に日焼けした肌が特徴の田吾作さんがいた。

 

「こちらこそ宜しくお願いします。日本では一ノ瀬龍と名乗ってました。今色々とやってまして、他にも元日本人がいますので...」

 

「オメ。それケーキ職人だろ?あんなケーキはこっちで食べた事がなかったもんな。それに日本人って事は俺のやりたい事に理解を示してくれそうだからな」

 

「よく分かりましたね。彼はパティシエですよ。それに今和菓子造りに挑戦してましてね。まだ小豆は手に入ってないですが、絶対見つけ出してみせますよ!」

 

「本当か?アンコが食べれんのか!こりゃあ楽しみだな。米を作りたいんだが大丈夫か?」

 

「えぇ問題ないです。場所柄特殊な場所になりますが大丈夫です。他にもやってもらいたい事がありますね」

 

「なんだなんだ?俺にできる事ならいいぞ」

 

「大豆があるじゃないですか?なので、醤油や味噌、日本酒を作ってから、みりんも欲しいですね。それ以外にもサツマイモを手に入れたので、増やして欲しいんです。醤油や味噌や日本酒の蔵は新設するつもりです」

 

「まじか!これはやり甲斐があるじゃねぇか!田舎でも作ってたけど、こっちは米がインディカ米みたいだから考えもんだったんだよな?ジャポニカ米を探して来てくれよ」

 

「わかりました。ついでにカカオやコーヒー豆、枝豆といった物を作って大規模農園も予定にいれてます」

 

「おぉうすごいな...でもそれだと人手がいくらあっても足りないぞ?」

 

「いくらでもいるので大丈夫ですよ。それより田吾作さんには全体の監督監修をして欲しいです」

 

 足りなければテイムすればいいしね

 

「任せとけ!」

 

 

 

 

 

 

 

 その後は慌ただしかった。田吾作さんとセキエイさんとエマを集め宿で村の説明と契約書を交わし転移で連れて行った。かなり驚いていたが田吾作さんは

 

「おめぇこれ最高の環境じゃねぇか!これだったら年間2回は稲が取れるな。他にも色々...」

 

 配下も手の空いてるのは好きに使っていいと話しといた。水捌けや土壌の栄養がどうとかブツブツ言っていた。そこは任せとこう。

 

 セキエイさんとエマは村に慣れてくれるだろうか?

 田吾作さんセキエイさんからも村人になったんだから、これからは敬語はしなくていいと言われた。セキエイさんは何か見た目老師っぽいから老師と呼ぶ事にした。

 給料は出すので職はなんでもいいのだが、セキエイには近接格闘術を配下や俺達に叩き込んでもらう事にした。それ以外にも専門じゃないが剣・槍・投擲もできるらしいので、道場を大工に作らせた

 

 そしてエマは...

 

「実はの。エマには一切街で魔法を使わせなかったのじゃ。なぜかと言うと、かなりの魔力、威力があるからじゃ。もし街で使ったら利用されたり、住民達から畏怖の念を抱かれてしまうじゃろ?だから家にいる時は身体強化をしてワシと模擬戦ばかりしとった」

 

 戦力が増えて助かるが...

 

(また攻撃要員だ...)

 

 エマはダンジョンで特訓だな。探索組に混じり頑張って貰おう。老師も付いて行きたそうだったが、遠慮してもらった。長所は伸ばしてなんぼだ。

 

 そしてやっさんにはサンプルとして伯爵からもらった物を手渡した。

 

「なかなか質がええやん」

 

 とバニラビーンズの匂いを嗅いでいた

 とりあえずバニラエッセンスを作成するそうだ。時間はかかるが、バニラアイスが出来るのを楽しみにしとこう。

 訳を説明し、ケーキのレシピを紙に書いて貰った。後で、商人に伯爵へ届けてもらおう

 チョコレートも作製に着手した。これでお菓子の幅が広がるだろう

 

 そしてカカオの木やコーヒー豆の木を大量に運び出した。ストーンゴーレムに任せれば木を根っこから引っこ抜けるから楽勝だった。

 

 やっさんの話しではカカオの木は周りの木も必要だからと言われたので、引っこ抜いたんだが、やりすぎたのか森の一角がゴッソリとなくなり広い広場が出来てしまった。近くにバナナも自生していたので、ラッキー!と思って回収したが含めてやりすぎてしまった

 現地民は収穫してないんだからいいよね?

 

 そしてバニラビーンズを交渉に行く

 バニラアイスやシュークリーム等にも使うしかなり需要がありそうなので、1本15cm位のを銅貨で20枚でどうですか?と話すと物凄い食いつき様だった。500本で金貨1枚だもんな。今後貴族の注文とかで贅沢に使いたいから量産計画を立ててもらおう。かなりやる気に満ちている。

 

 途中伯爵に呼ばれ街での事を、いくつか質問された。なんでもかなりの問題が発生しており、役人の汚職賄賂が飛び交っていたみたいだ。衛兵もかなり買収されており、捕まえた手下達を釈放してしまい伯爵の部下達が道場に向かってギリギリの所で報復行為をとめたそうだ。

 今は一旦伯爵が統治しており、もしかしたら今後街は伯爵の物になるかもしれないと言ってた。

 なんだよ。あそこの街ヤバすぎるじゃんかよ。他の街に行こうかな?

 でも、そうすると貴族達の報復が怖いな。すでに貴族、特に女性陣がエラい気にいっており王都で店を出して欲しいと要望が来ているが、大衆食堂含め庶民の味方を売りにしてるので、そこは諦めてもらおう

 

 

 じゃあ色々と手に入ったし、次の国に行ってみようか?

 

祝50話し。これからも頑張って行きます

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