月華七星とかいうぶっ壊れ性能の集団
「いえ、人違いです。では私は忙しいんで帰ります。さようなら。」
そう言って部屋から出て行こうとすると
「お願いじゃ話しだけでも!話だけでも聞いて下され」
と後ろから服を引っ張られ目から涙、鼻からは鼻水を垂らしながら喋ってくる。大丈夫かなこの人?さすがに鼻水を服につけられても困るので聞くことにした。
どうやらこの国はノーヒン王国と言って現在ある他の7つある国の内、最初に建国された国で別名【はじまりの国】と言われているらしい。国同士での争いという事自体、数百年はおきてないらしく至って平和な世の中らしい。それの原因は国が抱えてる戦力が関係しているそうだ。
国よって呼び方が違うそうだがノーヒン王国では、月華七星と呼ばれる7人の達人がいる為他の国も手を出さないそうだ。それぞれ人数の違いはあるもののすべての国でこういった戦力がある為、牽制し合って大きな戦争に発展しないのだそうだ。
そこで疑問に思った。
「ん?平和な世の中なのに先程助けてくれと言ってませんでした?」
「そうじゃそうじゃ。実はなさっき言った月華七星なんじゃが1つ席が空いてしまっての。本当なら軍から実力のある者を迎えたかったのじゃが...実力に見合う者がいないでの、こうして異世界から実力に見合う者を招いたのじゃ」
王がそう言った直後
「お待ちくださいポーラス王」
先程から王の左側にいたでっぷりとした腹が特徴の人物が口を開く。
「なんじゃ?ボルト大臣」
体重がかなりある為か動作がかなり遅いボルトと言われた大臣がこちらをチラッと見て
「私にはどう見てもあのような者に力があるとは思えませぬ。月華七星とは一騎当千の猛者ばかり。ひとたび戦場に出ればたった1人で不利な戦況を変えてしまうものです。もしや召喚に失敗したのでは?」
「ふむ...よくよく見ればなんというかオーラがないのぉ」
おい待ってくれ...勝手に召喚しといて失敗だとかオーラがないとかどういう事?そもそもあのババアどこにいんだ?次会ったらただじゃおかねぇからな!
そう心の中でふつふつと怒りが込み上げてくると不意にポーラス王が
「いや大臣。人は見かけによらずという事もあるかもしれぬ。一度月華七星と戦わせてみて実力を測ってみるのも面白いかもしれぬ」
ヤバイヤバイ死ぬ!一騎当千の猛者なんかと戦ったら確実に死ぬから!いきなり異世界に召喚させられて直後に死ぬなんてそんな死に方したくないから!何とか話題を変えないと。
広間を必死に見渡すと入口に槍を持った兵士が2人いるのに気が付く
「お、王様。ど、どうでしょう?あそこにいる兵士の方と戦ってみて実力を測ってみては?」
必死に訴えると
「そうじゃな。月華七星も各地に散らばっておるし呼び出すのにも時間がかかるしな」
セーーーフ!
あっぶねーもう少しで死ぬ所だったよ。
「では訓練場までご案内します」
そう丁寧な口調で喋る兵士について訓練場までポーラス王、ボルト大臣と一緒に移動をする。でも冷静になって考えると、ラノベとかだとこういう異世界物って強力なスキルとかステータス補正とかかかるんじゃないの?
やばいな...もし勝ってしまったりしたら今度こそ死んじゃうよー
んなこたぁーない。ボッコボコにやられました。兵士めちゃんこ強えーよ!そりゃあそうだよ。王を護る近衛兵なんだし日頃から鍛えてる人と訓練なんかしてない一般ピープルじゃ初めから天と地の差よ?
こうして一般兵士として異世界生活が始まった一ノ瀬 龍であった。
あと数話したら1話のその後に戻ります。...戻します...戻るかなぁ?
ちなみに月華七星の席が1つ空いたのは高齢のため引退です。




