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モルドの剣  作者: 馬の被り物
食材を探そう
47/67

問題児

 ナタリー視点

 

 それにしてもここは暑いな。春とはいえ、村はまだ肌寒かったぞ

 

 そんな事を思いながらリュウに言われた食材を探しに行く

 

「それにしたって何で私がこんな事しなくちゃいけないんだよ。探し物なんて他のやつに任せればいいんだよ。どっか剣を振るう場所ねぇかなぁ?」

 

 探す気も最早なく、ブラブラし始めるナタリー

 

 適当に店を冷やかしながら

 

「へー何か美味そうなもの発見!」

 

 遠くから露店にある食べ物を見つけた。イーグルソードによって付与されてる鷹の目を使ってさっきから美味しそうな物を探してたナタリー。

 実際は戦闘の時に使用する為にあるスキルなのだが、ナタリーはこんな事に使っていた。

 すでに獲物はロックオン済みである。一直線に向かう

 

 その時、通りの奥から走ってきた男達とぶつかってしまった。

 

「おい!どこ見てやがる!」

 

 見てないのはナタリーである。

 そんな言いがかりを付けられた2人の男はナタリーを見るや女だと思い

 

「おいお嬢ちゃんそっちからぶつかっておいてなんだその言い草は?こっちはぶつかって怪我したんだよ。どう落とし前つけてくれるんだ?アニキを見てみろ!こりゃあヒデエ骨が折れてらぁ。こりゃあ慰謝料が必要だな」

 

 そしてアニキと言われた男が

 

「いててててダメだ複雑骨折だ。当分仕事ができねえぞ!休んでる間の補填をしてもらわねぇとな」

 

 2人はニヤニヤしている。勿論怪我なんて嘘である。いつもの手口だ。金をせびり、オマケに夜の相手をしてもらおうと思ったのだ

 

「あ?仕事だ?んなもん一生行かなくて済むようにしてやんよ!」

 

 酷い言い草である。

 最初の男を一方的にボコボコにする。

 

「ひぃ」

 

 複雑骨折したと言っていた男が逃げようとする

 

「やっぱお前動けるじゃねぇか!私に嘘ついたな!おぅ!どう落とし前つけてくれるんだ?」

 

 これではどっちが悪者かわからない。

 そもそもぶつかったのはナタリーがちゃんと前を見てないからである

 

「すみませんすみません」

 

 2人が土下座をする

 

「ちっ!これからはちゃんと前見て気をつけろよ!」

 

 誰がだ

 

「はい。わかりました。」

(いや、俺ら悪くねぇよな?前見てないの向こうだし)

 2人は聞こえないようヒソヒソ話す

 

「あっ!いけねーそれ所じゃなかったわ!」

 

「あっ!そうっすね!あの道場の娘を捕まえなきゃいけなかったっすね」

 

 2人は本来の目的を思い出し走り出す

 

 ピクっとナタリーの耳が反応する

(道場だと?面白そうじゃねぇか)

 

 明らかに道場破りをする気満々で、さっきの2人を意気揚々と追いかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ????視点

 

 はぁはぁはぁ急がないと!

 急いで帰らないと捕まってしまう。さっき街中でアイツ等に見つかった。何をされるかわかったもんじゃない!

 

 兎のヌイグルミを抱えた少女が急いで家に向かう

 

 焦っていた為にさっきまで聞こえていた足音が消えていた事に、走れなくなってからやっと気づく。

 

 本当は魔法さえ使えば身体能力を強化し逃げる事は簡単だったが人前で使う事を祖父に禁止されていた為、素の体力で必死に逃げていた。

 

 体力の限界で立ち止まってしまい後ろを振り向く

 

「あれ?来てないの?」

 

 良かったーと思い建物の壁に寄りかかりヘナヘナと足の力が抜け座り込んでしまう。もう少しもう少し休んでから帰ろう

 

 どれくらいたったのだろう?やっと呼吸が落ち着き、来た方向を見ると男達が走ってきた。

 いけない!走らなきゃ!

 

 必死で後ろを見ながら走った為、いつもなら入るハズのない路地裏に入ってしまった。そしてその先が行き止まりという事にすぐ気づく

 

「へへへお嬢ちゃん。1人って事はとうとうジジイは死んだか?」

 

「おじいちゃんがそんな簡単に死ぬわけない!」

 

「へっそうかいそうかい。まったくしぶといジジイだぜ。それより道場を渡す用意はできたか?」

 

「あんた達なんかに絶対渡すもんですか!」

 

 強がったもののこの状況はまずい。魔法さえ使えば、こんな2人なんてすぐ倒せるが祖父との約束は絶対に破るわけにはいかない。

(誰が助けて)

 

「こいつを捕まえれば、さすがのジジイも首を縦に振るしかないわな」

 

「「へへへ」」

 

 2人が下卑た笑い声をあげる。すると後ろから

 

「おい。さっき道場がどうとか言ってたが何の事だ?」

 

 先程まで聞いていた声に2人は青ざめる

 

「い、いやぁなんの事ですかい?」

 

「その2人がうちの道場にちょっかいを出して潰そうとしてるの!お姉ちゃん助けて!」

 

「おいこらガキ!テメェ!」

 

「ほう。お前ら道場破りじゃなくて、そのものを潰すつもりか?」

 

 2人は何を言ってるのか分からなかった。どちらも潰す事は変わらないんじゃ?

 

 ナタリーは違かった。あくまで道場の強い奴と戦いたかったのである。潰れるか潰れないかは満足した後はどうでもよかったのである。ただし戦う前に潰れてしまっては意味がなく、だから目の前にいる2人を今、排除しないといけなかった。

 

「わかった。この2人はボコるから道場に連れていけよ?あぁそこの2人どうする?またやるか?今度は真剣を使うか?」

 

「い、いえ遠慮しときます」

 

 先程は素手で一瞬にやられたのである。真剣なんて出されたら命がいくらあっても足りない。

 見逃してもらいすぐにアジトに向かう。人手を集めて復讐をするのだ。舐められっぱなしでは、この商売は生きていけない。

 

「お姉ちゃんありがとう!」

 

「いや、気にするな。それより道場に連れて行ってくれ」

 

「わかった。だけど...お姉ちゃん道場に何の用なの?」

 

「あぁ私はな強い者と戦いたいんだ。道場に行けばいるんだろ?」

 

「......ごめんなさい。今はおじいちゃんしかいないんだ...みんないなくなってしまったから...」

 

 何か訳ありな気がしたが、ナタリーはそんな事きにする性格ではなかった

 

「でもじいさんは強いんだろ?」

 

「うん。おじいちゃんの負ける所を見た事がない。昔はどこかの武術師範をしていたって言ってた」

 

「素手か...よし!じゃあ行くぞ!」

 

「あ、でも...」

 

 ナタリーの勢いにのまれ道場まで案内するのであった

 

 

 

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