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モルドの剣  作者: 馬の被り物
ダンジョンへ行こう
43/67

解放者様ぁぁぁぁぁあ

 翌日シルヴィア親子を呼んだ。

 

「実は、これからこの村で2人が住んでいく上で頼みたい事があって呼んだ。2人には協力して俺の秘書をしてもらいたい。というか書類関係だな。」

 

「書類関係ですか?一応今まで小さいながらも領土関係はやってましたので、できますが、詳しくお聞きしても宜しいですか?」

 

 2人には今までの事、これからの事を話した。一応ここは俺が村長だが、領主はナタリーなので、村が納める税を元に領主が国に支払う税の計算をしてもらう。ナタリーが自分の村外に家がないので、ここが領主の城下町的に思われてしまっても困るので、申し訳程度に村の外に5人くらい住める場所を作っといた。なので、ここがナタリーの領土最大の村という事にした。

 今後、役人が来ても大丈夫なように書類作成をしてもらう

 そしてこの村の事業の話し

 まだまだ立ち上げたばかりだが、遠い国に行ってる商人はまだ帰還出来ていない。

 並ぶラインナップは勿論こっちで作ったものなので本当はこっちで儲けに殉じた税金を払わないといけないのだが、そんな事は知ったこっちゃーない。転移で運ばれるのでバレる事はないのである。

 誰かさんがバラさなければな!

 とクギを刺したら。「ハハハハ」と言っていた。

 これで一蓮托生だ。秘密は守って欲しい。

 こちらで作った分の費用はそのままにしよう。そして各国で売った商品にも材料費を加算しよう。さすがに他の国にまで調べに行かないだろう。だってここで作ってるなんて思わないだろうから。

 所謂脱税である。

 えっ?犯罪行為だって?

 ちみちみぃ犯罪はなバレなければ犯罪ではないのだよハッハッハ!

 

 2人は完全に引いている

 来た所を間違えたと思ってるかもしれない。

 

「先に言っておこう。ここの村を世界一便利な村にするつもりだ。貴族達特有の駆け引きによる利益の享受なんてもんは必要ない。欲しいものがあれば何でもこの村で揃う。誰もが羨む生活だ。もし他の貴族が目先の欲でここを制圧して自分の物にするなら村ごと爆破させるから覚えておいてね」

 

「ば、爆破ですか?」

 

「あぁそうだ。ノウハウはあるんだから、また作り直せばいいんだ。村人は殆どが奴隷だ。ついてきてくれる。奴隷でない者が村に数名いるが、ついてこないってならしょうがない。そん時はその時、便利な生活が出来ないってだけだけどね」

 

「私共は必ずついていきます!」

 

 力強く宣言してるけど、なんだろ?村長が、元とはいえ貴族を手足のごとく使うってスゲーよな。

 

「じゃあ早速役職決めようか?まずは第1秘書な...」

 

 ブルルルルルルルー、バン!

 

 とよくテレビで決まった瞬間の音を声でやってみた

 

「シルヴィア、君に決まりだ!おめでとう!」

 

 用意しといた紙吹雪を上空に投げた

 

「えっ?私ですか?お父様ではなく?」

 

「親父は庶務ニ課だ。スカート履いて頑張って欲しい」

 

「え?しょむ?にか?え?私は秘書じゃないのですか?」

 

「バッカヤロー!秘書は女の子と相場が決まってんだよ!」

 

 

 

 翌日、家を出ると村をスカートで歩く親父がいた。ザワついていたので、すぐやめさせて普通の格好にさせた。

 まじかよ...本気にしてやがった...

 でもまあ本当にここで骨を埋めるつもりで働く気持ちはあるのだろう。本気なのだと確信できただけでも良かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、やっと落ち着いたなと思いながら、なーんか忘れているような...と記憶をたよりに必死で思い出すが、全然思い出せない。思い出せないって事は大した事がないのかな?と今では俺の仕事場になってる建物に顔を出し。シルヴィアに挨拶をする

 

「おはよー。なんかさ、さっきね急に忘れている様な事があるような気がしてさ、何かやり忘れてる事って無かった?」

 

「いえ、特にはないと思いますわ。あぁすみません。まだ言葉に慣れなくて...」

 

 そう。シルヴィアはまだ貴族の時の口調が抜けないのだ。習慣みたいなもんだからしょうがないね

 

「一応今までのメモ?みたいのがありましたので、そちらの箱に入れてあります」

 

「ありがとね。ふーん。なるほどね。今考えると俺の計画ってかなり大雑把だよな。よくこれで、うまくいってるよな」

 

 ペラペラと捲ってると一つのメモに手が止まった

 

「やっべー!忘れてた!ジブじぃに来てくれって言われてたんだっけ!あれから何ヶ月たったんだ?」

 

 やっべーなと思いながらもゆっくり用意をした。もう何ヶ月もたってるし1日遅れたって大丈夫だろ?

 

 今回の同行者はどうしようかな?ナタリーとキヨシは探索に行ってるしなー。

 

 最近では、別に俺がボス倒さなくてもいいんじゃね?と思い、すきに探索を進めさせてる。一応15階の転移ポイントは行ったので好きな時に1番最新の転移ポイントからスタートできてはいる。

 新発見としては16階層にある鉱山ステージで魔鋼が採れたという事。これは魔力が通しやすく魔法剣みたいな使い方ができる。かなり高価だが、ミスリルには及ばない。頑丈な剣が出来るので大剣使いが重宝する。大剣のミスリルなんて、それこそ金貨何百枚もするからだ。普通は使わない。

 今後ミスリルとかも出る場所が見つかって欲しいなー。

 残るはウルシだな。彼が1人いれば後はいらないな。

 ウルシには魔鉱製のサーベルをプレゼントした。

 最初は拒否してたが、俺の安全の為だ。一生懸命守って貰いたい。

 

 

 

 

 という事で1日かけて、獣人達の村に来た。やっぱ指輪じゃなくて転移のスキル欲しいよな。わざわざ1日かけるのが面倒だ。

 最近転移が便利すぎて怠け出し始めたような気がする。



 モリスの村はかなり大きくなっていた。どれくらいかと言うと、元の3倍になっていた。

 

 衛兵に近づくと

 

「あっ!解放者様ではないですか!やっと来てくれましたね。モリス様とジブラ様が、随分気にしてましたよ」

 

 気にしてた?怒られるのかな?

 

「もう私達は忘れられてしまったのだ...捨てられてしまったのだ...と毎日のように...」

 

 何その絶望感...アイツらまだ俺に幻想を求めているのかよ。いっそウルシの方が適任じゃね?

 

「とりあえず向かうよ。あ、こっちはウルシって言って今回の護衛ね。モリスはどこにいるの?」

 

「この時間なら、あそこの建物にいるはずです。」

 

 ありがとねーと衛兵に一言言って向かう

 

 

 扉を開け

 

「やってる?」

 

 とおちょこを持ち呑むジェスチャーをやるものの、ジブじぃがすぐに反応し

 

「か、解放者様!待ちに待ってましたよ!ここ数ヶ月気が気ではなく...」

 

 と大の大人にワンワンと泣きつかれてしまった。

 

 

 犬の獣人だけに...

 

 

 いや...折角日本のノリでやったのにやっぱ誰も反応してくれない...

 やっぱわかってくれるの、やっさんしかいねーな

 

 と思いつつもジブじぃを諌める

 

 

 

 

 

「で、ジブじぃ。俺に何か用があったんだよね?」

 

「勿論ですじゃ。解放者様が現れた場合に我が獣人族の秘宝を渡す様に先祖代々受け継がれている物がありまして、それを受け取って欲しいのですじゃ」

 

 そう言うとモリスが一つの小さい箱を差し出してきた。かなり古い木箱で、今まで1度も開けられた事はないとの事

 

「これは代々総長を引き継ぐ者と1部の者にしか伝えられていなくて、村の者は知りません。そして受け取るのと同時に解放者様には、ぜひ獣神の木の祠に来て頂きたいのでございます。」

 

 だからか...何ヶ月たっても来なければ黒鉄村に来てもおかしくないもんな。1番重要なのは獣神の祠だったか

 

 

 箱を開けると、そこには2つの腕輪が入っていた。獣と東洋の竜が刻まれていた。片方に獣の体、もう片方には頭が刻まれていたので、もしかしてと2つの腕輪をあわせると、そこには竜に巻かれた獣の絵が完成した。白虎かな?ということは竜は青龍?残りは朱雀と玄武か?

 あー何か無性に集めたくなってきた

 

 

「そしてこの役を引き継ぐ際に伝えられてる話しがまだございます」

 

【遥か遠くの地より現れる厄災。すべての天を覆い尽さんとする。大地は枯れ、あらゆる生物を死に至らしめ、人々は希望を打ち砕かれる。その時、獣人族の秘宝により解放者と共に世界は救われるだろう】

 

 なんだかスケールが大きすぎるな。貰ったら本当に言い伝え通りになってしまいそうで怖いな

 

 隕石か?あれで気候変化によって恐竜が死んだって話しだし、火山でも同じ事が起こりそうだもんな。でも貰えるなら貰っておこうか

 

「ありがとう。ちなみにこれはどういった使い方するの?」

 

「私共も使い方を伝えられてないのです。何せ初めて見たものですから。すみません」

 

「あぁいいよいいよ。きにするな」

 

「だだ一言だけ【時がくればわかる】と伝わっております」

 

 何その意味深。誰も気にならなかったの?めっちゃ知りたい話しじゃん

 

 

「では解放者様よろしいでしょうか?獣神の祠へ御案内致します」

 

 

 一同そろってモリスの後ろについて行く。

 

「私から離れないようにして下さい」

 

 村から少し離れた所へ行くと突然さっきまではなかった巨大な樹が出現した

 

 そこは大小様々な樹が生い茂り小川が流れ鳥や動物が住んでいた

 

「ここは結界の中でございます。一切の魔法やスキルが使えませんので」

 

 だから獣人は魔法を使わず肉体のみの特化した力を持ってるのか。ここでは自身の力のみしか頼る事ができないもんな

 

「あちらで御座います」

 

 そこはこの結界内最大の樹の根本だった。

 そうか!祠というぐらいだから獣神を祀ってある建物かと思ったらこの結界自体が祠なんだ。

 

「手をあてて頂いてよろしいでしょうか?」

 

 

 そう言われ手をあててみる

 

 あてた瞬間今まで聞こえていた音が一瞬で聞こえなくなり静寂が流れていた

 

 

【よく来て下さいました解放者様。永い年月、解放者様が来てくれる事を心よりお待ち申しておりました。私の名前はスイーニー。森の始まりという意味があります。解放者様が来たという事は口伝が現実のものとなる日が近いという事。それが数年、数十年後か分かりませんが、私に出来る事があればいくらでも力を貸したいと思います】

 

 おおっ私達にも聞こえますぞとモリスが騒いでる

 

【そしてこちらをお受け取り下さい。これがあれば多くの者達が死なずに住むことが出来るでしょう。私も永い年月生きてきました。解放者様が必要な知識等も持っているかもしれません。必要な時がくるまで、ここでお待ちしております】

 

 そういうと天からゆっくりと光の玉が落ちてきた。両手の掌にその姿は表した

 

【獣神の伊吹】

 10キロ四方の結界を張る。魔物を寄せ付けず、大抵の魔法も通す事ができない。

 

 

 ものすごい効果のアイテムを貰った。ノアの方舟的なやつかな?

 

 一応この腕輪の事を聞いてみた。

 

【申し訳ございません。それは古の神が作った物という事は分かってはいるのですが、効果がわからないのです】

 

 スイーニーでもわからないのか。

 そもそも獣神の木とは言われてるが、後からこの地に来た獣人達が崇めている内に守り神にいつからかなってしまったとの事。なので最初から獣人が持っていたこの腕輪の効果はわからないのだそうだ。

 

 それにしてもとんでもない話しになってきたな。やっぱ解放者とかの役目にならないといけないのかよ...

 俺の同意を求めずにどんどん話しが進んでるような気がするんだけど...俺だけじゃない?置いてけぼりになってるの。

 

「それにしてもさすがリュウ様でございますね。すでに獣人を配下につけているとは...」

 

「いや、勝手にこいつらが解放者様解放者様とか言って盛り上がってるだけだと思うよ。強さで言ったらウルシの方が解放者様っぽくない?」

 

「いえいえ私でもさすがに魔物千体とか来られたら厳しいですよ?」

(オーガとかワイバーンですけどね)

 

「まぁそういう風に考えれば強いのか?」

 

 まぁその時が来たら考えよう

 今は世界一便利な村を作る事に力入れようか?

 

 リュウは、そんな事を呑気に考えウルシと村に帰るのであった

 

 

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