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モルドの剣  作者: 馬の被り物
ダンジョンへ行こう
41/67

お嬢様と執事

 配下達を後ろに下がらせ、2人に近づく。全然警戒を解いてくれない...

 折角助けたのに。まぁこっちはワイバーンテイムできたから来た甲斐はあったからいいけどね

 

「危ない所でしたね。」

 

 執事が前に出てくる

 

「はい。助けて頂きありがとうございます。」

 

 何かすごい”礼”の仕草が綺麗だ。これ、もしかして貴族とかの関係者かな?まずいなーあんま関わりたくないから街まで送って終わりにしよう。

 

「あ、良ければここから1番近い街まで送ります。うちの馬車呼ぶんで良かったらそれに乗って行って下さい。それじゃ」

 

 すぐにその場から離れようとしたら

 

「お待ちください。助けて頂いて、こんな事聞くのは間違ってるとは思うのですが...あなたの後ろにいる魔物はなんですか?」

 

 うっ!やっぱそうなるよね。

 

「いやー何か懐いちゃってねー困ったもんですよーハハハハ」

 

「それに先程おっしゃってた”うちの馬車”って事は、どこかに拠点があるって事ですよね?魔物を引き連れて街に入るって事はないでしょうし」

 

 なんでちゃんと聞いてたかなーそこはスルーしてていいのよ

 

「実は訳あって、できれば街に入りたくないのです。その...宜しければ、あなた方の拠点でお世話にならして頂けないでしょうか?」

 

 いや、無理無理無理。めっちゃ訳ありじゃん!指名手配されてるんじゃないの?貴族とかに目をつけられるとか嫌だよ。

 

「ウルシ諦めましょう。最悪あの物好きの伯爵に傷物にされるだけですから。殺される訳ではないわ。まぁ心が壊される可能性はあるかもしれないけど...使い捨てにされれば、また再起できるでしょう。私が我慢すればいいのよ。我慢すれば...」

 

 顔は執事に向かってるのに目はこちらをチラチラみてやがる。可愛い顔してずっけー!こっちの良心にジャブを打ち込んでくる。

 わかったよ!

 

「ちっ!あーもう好きにしろよな!ただしいくつか条件がある」

 

「えぇ大丈夫です。ありがとうございます」

 

 悲しそうな顔してたのに今はニコニコしてる。やっぱ突き放せばよかった...

 

「まず1つ目は、なぜここに2人で来たのか、そっちの事情をきかせてもらおうか?そして2つ目は俺達の秘密、村の秘密を外に漏らさない事。もしバラしたら俺の配下で全力で消しにいく。」

 

 2人はお互いに顔を向き合い頷いている

 

「では、1つ目ですが、その前に私の名前はウルシと申します。こちらにおられるシルヴィアお嬢様の家系カドレア家の執事でございます。そして私共の事情ですが...」

 

 要はこうだ。

 現当主がヒュンベリ伯爵という貴族に借金をした。元々その伯爵はシルヴィアを狙っており、ウルシが屋敷にいない間にやって来て屋敷の差し押さえ並びにシルヴィアを攫って行ったそうだ。

 そもそも当主が伯爵の言いなりで期限の日にウルシを遠くに使いへ出したそうだ。激怒したウルシが伯爵の屋敷に突撃したものの差し押さえした分を引いてもまだ金貨100枚は残ってるらしい。それをシルヴィアで相殺させてやると伯爵に言われて、当主がやっと自分の馬鹿さ加減に気づき

 

「本当にすまなかった。私はどうなってもいい、だがシルヴィアだけは助けて欲しい」

 

 と懇願。準備を進め、夜中屋敷に忍び込みシルヴィアを助け出したものの、運悪く逃走の道中盗賊に見つかったそうだ。盗賊自体は大した脅威ではなかったが、その血の臭いに釣られてワイバーンに見つかった。さすがにシルヴィアを守りながらワイバーンは全滅出来ないので、ここまで逃げて来たのがさっきの事だという。

 

 まじか...じゃあこのお嬢様がいなければ1人でいけるって事かよ。バケモンじゃん。しかも匿ったらヤバくね?ここまでヤバイなんて思わなかったよ...

 

「もし兵士達が追いかけてきたら明け渡すぞ?俺達まで危険になるわけにはいかない」

 

「はい。それで充分でございます。それで、そちらの秘密の事ですが...」

 

「それはこの場から離れてからにしよう。もしかしたら追っ手がきてるかもしれないからな。」

 

 馬車の残骸を全て集め火魔法で燃やす。灰は水魔法で流し、ワイバーンの血も水魔法で流す。念の為に上空にワイバーンを待機させ、兵士がきたら攻撃して追い払う事にした。追いかけてくるぐらいの兵士だ。そんなに数は多くないだろう。

 

 

 そして村に帰る途中に村の説明をする。半信半疑だったが、村に着いて魔物の数を見るなり納得できたようだ。シルヴィアは怯えていた。

 

 

 

 ウルシ達が来て1週間。まずは村に慣れてもらおうかと思っていたが、来て早々ウルシが何か手伝える事はないか?と言ってきた。

 

 もしかしたらと思い、まずはナタリーと勝負をしてもらった。勝負するってだけなのにウルシとナタリーを中心に円で囲み、お祭り騒ぎになっていた。

 

 コイツら...

 

 まぁイベントがあんまここないもんな。そのうち何かやろうか?

 

 中心の2人を見るとウルシは所作が綺麗だ。騎士的な決闘が得意なのかな?

 相対するナタリーは不敵な笑みで今にも飛びかかりそうだった。静と動対称的な2人が俺の合図を待っている

 

「はじめ!」

 

 合図と同時にナタリーが走り出しウルシに襲いかかる。ナタリーの野性的な動きに対して、ウルシは基本に忠実だ。独特的な歩法でナタリーの攻撃を凌いでる。

 

 ナタリーが距離を取り

 

「おい!本気をだせよ!」

 

 と怒ってる

 

「宜しいですか?怪我しますよ?」

 

「ぬかせ。御託はいいからかかってこいよ」

 

 あちゃー。ナタリーそれ負けるヤツが言うセリフだぞ?間違いなくウルシは強いな

 

「では、お言葉に甘え」

 

 と言った瞬間、ウルシの姿が見えなくなった。

 

 なっ!

 

 ナタリーは何とか見えているようでウルシの攻撃を捌いている。

 

 ように見えたが少しづつ体に傷が増えていく

 

 ナタリーも意地で捌きつつ攻撃を繰り返すものの受け止められたり空振っている

 

「くっ。この野郎!」

 

 焦ってるナタリーを初めて見る

 

「ではもう少しスピードを上げますよ」

 

 目に見えて傷が増えた

 

 そしてとうとう背後を取られ首にサーベルの刃が当たった所で勝負が終わった

 

「あー負けだ!負けだ!」

 

「ふふふ中々強かったですよ。ただあなたはもう少し考えて攻撃をした方がいいですね。才能や感覚だけで戦っているように見えます。もう少し基礎を覚え自分の体の一つ一つ、もっと言えば細胞一つ一つを意識して動かせば、私より強くなると思いますよ」

 

「本当か?よし頑張るか!」

 

 ゴブリン達が青ざめている。強くなった後の事を想像したのだろう

 

 俺はウルシの所へ行き

 

「頼みたい事がある。こいつらに剣術を教えて欲しい。基礎だけでも。みんな感覚でしか攻撃しないんだ。」

 

「勿論でございます。私でよろしければ、ぜひ。ただ、お嬢様はもう少しゆっくりさせて頂きたいのでございます。カドレア家が没落してしまいました。借金を返済してももう再興は難しいでしょう。それに御当主様の行方も...」

 

「ウルシ!私の事は気にしなくてもいいわ!私も何かお手伝いします。お父様の事は気になりますが、うじうじしてもしょうがないもの。それに寝食の分くらいは働くわ」

 

 

 少し考えさせてくれと保留にした

 

 ナタリーとキヨシ、それに商人を集める。

 

 皆を集め、シルヴィア達の境遇を話す。

 

「そこで聞きたい。確かに貴族に巻き込まれる可能性は否定できない。しかしさっきのウルシの実力を見たと思う。あの力を手に入れるなら金貨100枚は安いと思う。みんなはどうだ?」

 

「これからの危険と手に入れる恩恵を天秤にかけるとなかなか難しいですね...」

 

「私はいいと思うぜ!アイツとまた戦えるしな。それに払えるんだろ?伯爵なんて来たらぶっ飛ばせばいいんだよ」

 

 脳筋的考えだな...

 

「まぁ最悪ダンジョンに避難すればいいし...な。」

 

「という事で、決まりだな。みんなそういう事だから。覚えといてくれ。」

 

「でも村長?それ払ったらほとんど金ないっすよ?」

 

 うっ!これからどうしようか?

 

 当分金のかかる施設の建設は中止だな

 それにそれをウルシ達が受け入れるかだもんな

 

 と思いつつ2人に話しをしに行く

 

 

 

 

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