エセ関西弁になりきれない男。その名はヤスシ
ま~いにち、ま~いにち僕らはテイムの!酷使で増員でやんなっちゃうよ!
はー毎日毎日テイムテイムで疲れちゃうよね
池とかに、たい焼きでもいないかな?
と歩きながら向かうと魚が泳いでた。
うん。泳いでるね...クロールで...
なんだあれ?あれって思い違いではなければアンコウだよな?
いや、何言ってんの?疲れすぎたんじゃないの?って思われるかもしれない。確かに疲れてるけど、疲れてるけども、俺だってこんな現実を受け入れたくない
しかもアンコウって海の深い海に住んでるんじゃないの?
魔物なのか?もし魔物ならこんな珍しい魔物をテイムせずにはいられない。あーでもアンコウ鍋もいいなー!
くっ!今度は平泳ぎか!
とりあえず近づいてみよう。
忍び足を発動してゆっくり近づく。
なっ!ターンしやがったぞアイツ!
おかしい...何かがおかしい...
いや、おかしい事だらけなんだけど...
バタ足をしているアンコウにマーキングをしてみる。
ビクッとしたアンコウがキョロキョロして急いで陸に手をつけ足をまたぎながら這い上がろうとした。完全に人間の仕草そのものである。
あっ!
焦ったのか足が短いのかわからないが、上がれず池に後頭部から落ちる
ばっさーんと水しぶきを上げて落ちた後、ぷはぁとその凶暴なギザギザの歯をキラキラさせながら息継ぎをした。
目が合った
「やめて。おっちゃん、悪いアンコウじゃないよ」
喋りやがった
でもまぁとりあえず害はなさそうなので助ける事にした
「いやースマンスマン助かったわ!おっちゃんさーアンコウやろ?海水を求めて歩いたのに全然見つからんかってな、水があったから入ってみたのが最後、この足やろ?上がれんなくてな。えろー困ったわ」
なんだろ?エセ関西弁なのに、それすらなりきれてない微妙な感じだ...
それより何から突っ込んだらいいのか?
「おっちゃん何でアンコウなのに足ついてんの?」
「あ、それな?話しなごーなるけど、ええか?」
おっちゃんは本当の名前は鈴木ヤスシ(41)そう。元日本人である。
「えっ!日本人なの?まじで!」
「おっ!あんちゃんも日本人か?良かったわ~初めて日本人におうたわ~」
よし。これからは「やっさん」と呼ぼう
元々他の国で召喚されたが、何の因果かアンコウにされて召喚されたらしい。
「ホンマにエグい奴らやで~アンコウには用はないんやって!勝手に呼んどいてポイ捨てやで?ホンマ激おこぷんぷん丸やで!」
ちなみに北海道出身らしい。
「おっちゃんなーホンマは和菓子職人になりたかってん。だけど、時代は就職氷河期やろ?街歩いててもケーキばっかりや。まずはパティシエになって職人の腕を上げてから和菓子職人になろう思ってな。そしたらコレや」
やれやれと首を横に振るう。
頭の先から出てる玉に付いた水滴が俺の顔に飛んできた。
そういうのやめて。
「和菓子は昔から趣味でやってるだけあってソコソコなのよ。もう20年も趣味でやってん」
これはチャンスじゃないか?
「やっさんよかったらウチの村に来ない?今、村長やってるんだけど、お菓子部門を特産品にしたいんだよ」
「え?なになに?面白い事やってるやん。ええで、和菓子作らせてくれるなら、なんでもええわ」
やっさんに今までの事を伝える。奴隷と魔物の村を作ってる事。転移で色々な国に今後商売をする事。そんな事を話してると
「素敵やん!この国で手に入らない材料も、もしかしたら手に入るなんてテンションブチアゲやん」
なんでさっきから若者言葉ちょくちょく入れてくんだろ?
「とりあえず当分はケーキ作って弟子を育てて欲しい。で、ケーキを作れるようにさせたら和菓子を作り始めよう」
この世界にもケーキはある。ただ乳脂肪分が低いのか?砂糖が高価すぎるのか?王都で食べたケーキは全然甘くなく、あんま美味くなかった。
ここなら砂糖の代金はタダみたいなもんだから利益率半端ないし砂糖使い放題で美味いケーキできるぞ。これは絶対流行るはず。
これはカフェ併設がいいな。さっそく護衛を通して商人達に飲食できるスペースも借りるように指示をする。
後は、紅茶が欲しいな。茶葉は採取から完成までの工程は面倒臭いから、買ってしまおう。緑茶も欲しい所だけど、緑茶なんてこの世界にあるのか?
商人達が各国回って情報集めてるハズだから帰ってきたら聞いてみよう
ヤスシ...ヤス




