魔女狩り裁判
小さい頃から何かと面倒事に巻き込まれていた。小学校では机の並び左右に座ってる2人が仲悪かった為、
授業中に投げた消しゴムが右から俺の顔に当たったり、投げた消しゴムが左から思いっきり口の中に入ってむせ込んだり、激怒した教師が投げたチョークがなぜか俺の額に命中。ひどいトバッチリだ。俺は何も悪くないのになぜか丸坊主の子供みたいに「一ノ瀬!廊下で立ってなさい!」と言われる始末だ。
中学では友達数人とスーパーにお菓子を買いに行った際、手元の100円と睨めっこしながらどれが1番お得なのか想像しながら集中してると遠くで微かに
「...に...るぞ」
と声が聞こえた為、えっ?と左を振り向くと、そこには友達の姿は見えず替わりに右には仁王立ちの店員が物凄い形相で立っていた。
どうやら友達連中は度胸試しで万引きをしたらしいのだが、1人とろいのがいて店員に見つかったのだそうだ。
そんな事はつゆ知らず鬼の形相で立っている店員から、やってないやってないと震えた声で言うもののあの有名な言葉を頂く事になった
「さぁ事務所まで来てもらおうか?」デスヨネー
その後は、いくら説明しても納得してもらえず家から鬼の形相した母親が招集されこっぴどく叱られる事になった。
その日の夕食時、
父親の一ノ瀬 修
母親の一ノ瀬 薫
妹の一ノ瀬 凛
が集まった。母親からは何もその場で万引きの事には触れられず俺はほっと心の中で安心した。のも束の間談笑してる傍で母親が食器を片付けだした。それと同時に長方形のテーブルの横に座っていた父親の修がすっと立ち上がりテーブルの所謂上座にイスを持ってきて座りだした。そして右手に持っていたスプーンをカンッカンッと2度打ち付けだした
「静粛に静粛に!ではこれより第1回万引き事件の最終答弁を始めたいと思います。」
えっ?待って待って!いきなり最終答弁?いやいやいきなりなんで裁判が始まるの?
はっ!?と後ろを見ると真剣な眼差しの2人がいた。
謀られた…すでにこの場に味方なんていなかったのだ。すでに凛と修には薫からの根回しが済んだ後だったのだ。
「では被告人言いたいことはありますか?」
「裁判長!検察側は買収行為を行っております!この裁判はヤラセだ!不当な判決が出ると思われます!」
そう...気づいたのだ。凛の手元にあの天使のイラストの描かれたチョコレートがあるのを。
それは凛の一番の大好物であり薫が事前に用意したのだろう。
「証拠はあるのかね?」
んっ?クンクン何か酒臭くないか?
はっ!?何で気づかなかったのか?いつもなら安い発泡酒を飲んでいる修が今日に限っては瓶ビールを飲んでいる事に...
バッと薫の方をみるとくっくっくと悪魔の笑みを浮かべている。急いで凛の方へ顔を向けると口の周りにはもう隠すつもりはないのかチョコレートがベチャベチャに付いている。
いやそこはちゃんと食べようぜ...
「被告人何か言う事はありますか?」
いやもう何言っても無理ですやん...
「では弁護人。何か弁護する事はありますか?」
すっと凛が立ち上がる。チョコレートベチャベチャの顔で。
「裁判長!彼は反省もしてます。何も言わず全てを受け入れようとしております。初犯ですし、お尻ペンペン百裂拳の刑ではどうでしょうか?」
「はっ?何言ってるの?えっ?凛が弁護側?いやそれより何で弁護側が刑決めちゃってるの?」
顔を右に向けるとすでに薫の右手には洗濯叩きの棒が握られていた。
「へっ用意がいいじゃねぇか」
カンッカンッ
「静粛に!静粛に!」
いや誰も騒いでないのだが...
「では半ケツを言い渡す!被告人をお尻ペンペン百裂拳の刑に処する!」
「テメェ今絶対判決と半ケツ掛けただろ!何ドヤってんだぁぁぁ!いやいや待って待って!やめてぇぇぇえ!」
薫に首根っこ掴まれ奥の和室で刑に伏せるのであった...
誤字脱字あれば遠慮なく書いてくださいね
特に裁判には詳しくないのでなんちゃって裁判です




