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モルドの剣  作者: 馬の被り物
ダンジョンへ行こう
28/67

砂糖に群がる〇〇

 翌日、やっとの事で階段を見つけ8階層に降りる。

 

 奥に進むと現れたのがテラーシャドーというゴースト系の魔物だった。暗闇に潜み背後から襲うという特徴があるのだが、明るいダンジョンでは全く役に立っていない。諜報活動に役に立ちそうだと30体程確保した。


 そろそろ昼にしようか?と行き止まりで食事の準備に取り掛かる。行き止まりなので、一方をゴブリン達に見張らせとけば良く、野営の時等も大体が行き止まりで行っていた。

 

 昼食を摂りながら、みんなに話しを聞いてみた

 

「なぁ今更なんだけどさ、ダンジョンってどういう所?」

 

 魔法使いのロシェルが、それはですねと

 

「基本今までのように魔石、素材、ドロップ品、宝箱から出る戦利品が主な収益です」

 

 村長みたいにテイムしてそれ以上の成果を出すって事はないですけどね。と苦笑する。

 

 確かにバッファローから乳、モスから絹糸を採るなんて普通はできないもんな。精々地上のモスから採れる位だもんなー

 

「そしてダンジョンは時間が経つと吸収するという事です。なので死体や装備品は時間がたつと消えます。人間や魔物区別なく。ダンジョンが食べているんじゃないか?と冒険者の中では信じられてますね」

 

 まぁ迷信でしょうけどね。と笑っている

 

「とはいえ迷信迷信と言ってはいるものの消える事は間違いないので、休憩後は念入りに忘れ物はないか?必ず確認作業は行います」

 

 その時が1番無防備だから笑えないです。と肩を竦めている。

 

 隠し部屋とかって何であるのだろうか?普通より性能のいいアイテムならボス撃破後に出せばいいし、まるでボーナスみたいだ。毎日会社(ダンジョン)に出勤し、長時間働き泊まりでも働かされ、泊まりの際に出る警備員(魔物)に怯え、たまに出るボーナス(隠し部屋)で何とか飢えを防ぐ。5階10階と係長・課長が立ちはだかり突破し、昇給(アイテムの質)はするものの手を出さないといけない仕事(洞窟の広さ)がどんどん増える。そして連日の会社泊(ダンジョン泊)により神経の消耗。まさにダンジョンというのは、この世界のブラック企業なのではないだろうか?となると理不尽な要求とかもありそうだな...

 

 はーあ嫌だ嫌だ。俺まだまだ18だぜ?もう少しイージーモードで楽したいよなー

 

 とリュウが頭に両手を当てて後ろの壁にもたれかかろうとした瞬間するっとすり抜け地面に頭をぶつける

 

「いってー!」

 

 みんなが何事か?と一斉にこちらを向く。頭に手をあてていたので直撃はしなかったがゴツゴツとした洞窟である。手の甲が当たって痛かった。

 

 みんながリュウをみると体半分が壁にめり込んでた

 

「村長が!村長、村長大丈夫ですか?」

 

 リュウは体を起こすと、

 

「あー大丈夫大丈夫。それよりここ隠し部屋みたいだぜ?」

 

 ニヤっとするリュウの後に続いて部屋に入る。

 

 そこには1つの宝箱があった。通常の宝箱より大きく、龍と悪魔、四聖獣に人間が描かれた不思議な紋様が刻まれていた。

 

「おっこれ!めっちゃいいアイテムが入ってるんじゃない?」

 

 今すぐ開けたくなったがボス部屋の二の舞にはなりたくない。慎重に調べ、罠はないと確信し宝箱を開ける

 

 

 

 そこには、1枚のコートが入っていた。濃紺?ミットナイトブルー?ダークブルー?というぐらいの黒に近い青色のコートで、鑑定をすると

【バジュラスのコート】

 と出た。

 性能は【環境適応】【破損修復】【異常耐性】

 が付いていた。これも俺が確保させて貰った。

 なんかごめん。俺ばっかで...

 でも確かに性能はいいんだよ?でもこんな大袈裟な宝箱にしては、ちとしょぼくないか?いくら中身を見回してもこれ以上は何も無い。2重の宝箱になっているんじゃないかと、底のフタを調べてもなかった。

 しょうがないから諦めた。

 

 

 しかしリュウはある意味諦めていなかった。普通の冒険者ならそこから探索を再開するものだが、リュウはこの宝箱自体を持って帰る事にしたのだ。

 

「えっ?村長何してるんですか?」

 

 ロシェルが目を見開いて驚きの声を上げてる

 

「いや、見ての通りだよ。持って帰るんだよ。こんだけ豪華な宝箱だぜ?持って帰らないなんておかしくないか?」

 

 某国民的RPGの勇者もビックリである。

 まぁあの勇者はタンスも漁るし、ツボなんて割るからな。宝箱なんて持って帰らなかったが、俺は違う。人様の物は取らないが、これならいいだろう。

 

 貴族に売りつけたら、かなりの金額になるぞ!

 かなり重く、ゴブリン達2体で持ち上げさせ、村に持って帰らせた。

 

 もうここには用はないなと次の階段を降りる。

 

 

 

 9階層

 

 とうとう目標の階に来た。ここで数日レベリングを行う。まだマッピング組は7階層にいるが間もなく8階層に行けるとの事。

 さてとこの階は何がいるのだろうか?

 

 

 ......

 

 ....

 

 ..

 

 現在この階の魔物。巨大なカマキリを絶滅させるんじゃないか?という勢いで9階層入口で倒している。

 

 なぜこんな事になったのかと言うと、カマキリを見つけて鑑定を行ったからだ。特徴の欄に尻に甘い砂糖水を蓄えていると出たのだ。

 丸い壺状に膨れたお尻。その事をメンバーに伝えると全員目の色を変えたのだ!

 

「村長!コイツら全滅ですわ!生かしちゃいけねーと思うんですわ!」

 

 とヤル気満々である。一体目を倒すと素材になるカマには目もくれず尻を切り取る。中に詰まった水を指で舐めると

 

「甘っま~!」

 

 と目が蕩けてる。

 

 そこから一転、同行してたベルラビットに対して僧侶のメルが

 

「おい!お前、お前のやれる仕事はただ1つ!このカマキリを全力で呼ぶんだ!もし他の魔物を呼んだらどうなるかわかってんだろうな?」

 

 とうんこ座りしながらドスの効いた言葉で自分の首にメイスをポンポンと当てている

 

 あれ?メイス渡してないけど、どっから持ってきたの?

 

 ベルラビットは青ざめながらコクンコクンと頷く事しか出来なかった。

 

 ゴブリンを通して他の部隊に情報が回ったらしく、わざわざ1部隊は村に帰還し、水瓶を大量に持ってきた。

 

 そして数日に渡る砂糖水捕獲作戦は最終日まで続く事になり、村では砂糖水を熱し低温を維持しながら砂糖の結晶を完成させたのであった

 

 

粉砂糖を作るにはかなりの工程が必要みたいですね。1番ビックリしたのは不純物を取り除く為に蜜で洗浄するとか...一瞬蜜!?ってなりましたもん。

水分飛ばすのに真空で55℃とか言われてもちょっとこの世界では無理なんで、砂糖水を低温で煮詰めたら結晶ができたで許して下さいw

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