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モルドの剣  作者: 馬の被り物
ダンジョンへ行こう
24/67

制空権を確保せよ!

 勇者達が帰った。

 

 明日にはダンジョンからシグルト達が帰ってくる事を考えると今日入ってもしょうがないと思い、村で今後の事を考えた。

 

 昨日勇者に魔物を見られた事。もし気配や臭いをティンダーウルフ達にさえ気づかせない程の強者が来た場合、配下の魔物達が消されてしまう。

 そりゃあそうだ。人類にとっては魔物とは討伐するものと考え、疑問にも思わないからな。

 じゃあ討伐されない様に強くさせればいいのか?それもいいかもしれないが、所詮は元々がゴブリンを筆頭に弱い魔物が多い。


 冒険者の中にはドラゴンをも討伐できる規格外の猛者もいるだろう。

 ではどうするか?今のように陸だけではなく空からの見回りも必要と考えた。


 空挺団だ!

 空を飛んでいるだけなら、普通は空に魔物がいるな、だけで済み、まさかテイムされてるとは思わないだろう。


 ではどんな魔物がいいのか?空を飛んでる魔物は現在ソルバットしか手持ちがない。さすがにコウモリが日中から森の上空を旋回してたらおかしいだろう。しかも基本弱い。他の魔物にやられてしまうだろう。

 なので、ある魔物に焦点をあてた。


 バレットイーグルとハーピィだ。鷹の目という有名な言葉の通り遠方を見渡す力があるし、夜目が効く事からバレットイーグルは合理的だ。

 そしてハーピィ。ラノベでは有名な個体であり度々名前が出てくる。生息数も多く連携に優れている点から何としてでも配下に迎えたい。気になるのはどちらも速さがあり戦闘能力もある。地上に降りてくる事もなかなかなく、遠距離攻撃もしくは囮を使用しないと難しい点だ。

 

 バレットイーグルを仕留めたゴブリンに話しを聴く

 

「あ、お頭どうしたんですか?え?バレットイーグルですか?」

 

 うーんと考え込む

 

「これが正解かは分からないですが、実はずっと観察してたんです」

 

 こうだ。

 最初ゴブリンの鼻と魔石を狩りの中心にしてた時に少し目を離したら、いつのまにか肉が消えてる事がたまにあったらしい。

 見間違いかな?と思ったが何日も続くので一度ゴブリンの肉を放置し、隠れて見ていたらバレットイーグルがものすごい勢いで空からゴブリンの死体を持って行ったらしい。

 それからバレットイーグルを狩る為に死体を囮に様々な事をしたそうだ。来た瞬間に弓で狙ったり。

 ただ早すぎてゴブリンの腕じゃ無理だったそう。


 次に木の上からタイミングよくネットを持ったゴブリン2体がダイブして絡ませて捕獲しようとしたら逃げられてしまった。

 最終的にゴブリン20体がコンビになり、木の上から相方のゴブリンが持ってるネットの紐の逆の端の紐を持ち地上に飛ぶ。それによって1枚の長方形のネットを作る事に成功して横からは抜け出す事ができない状態を作る。それを360度取り囲むように包囲網を完成させる。問題は上空である。


 そこで考えたのが東西南北全てからネットを持ったゴブリンで、バレットイーグルが来た瞬間にダイブしどこにも抜けられない穴をなくした完璧な作戦だった。これも思念のなせる技であり、息の合った連携プレーだったが

 

「いやーあの時はムキになってしまいましてね。よくよく考えたらバレットイーグル1匹に対してなんて効率の悪い狩りなんだと気付かされましたよ」

 

 はっはっはと笑いながら後頭部を叩いている

 

 たしかに効率が悪いが今回はその案でいこう。優れたハンターの弓だったら1発だが俺には残念ながらそんな腕は持ち合わせていない。

 

 ゴブリン達に今回の作戦を伝える。2体テイムした後は、配下に上空から追い込みをかけてもらい大きく張ったネットに引っ掛けてもらう。

 

 で、実際やってみた感想だが、こいつらマジですごいな!

 洗練された連携で無駄な動きがなかった。

 2時間程で2羽確保でき、次の作戦ではうまく配下のバレットイーグルが誘導し、木と木の間を抜ける直前にゴブリンの華麗なダイブにて捕獲に成功した。増えるに従ってどんどんスピードが上がり5時間で捕獲目標であった20羽のテイムが成功した。これで東西南北、各5羽で2交替の見廻りが可能になった。防衛力が着々と進んでいる。

 

 明日はハーピィだなと思っているとダンジョンから連れてきたコボルトに呼ばれた。

 このコボルト、勇者が来る前にダンジョンでテイムした個体だった。急に呼ばれたので5体しかまだいない。

 そのコボルトが、見て欲しいとの事。ついて行くと指を指してくる。

 

 その先を見ると直径2m程の蜂の巣があった...

 

 えっ?何あれ?蜂も握りこぶしぐらいの大きさがある。まさか...

 

 

「ご主人様。ワレ所望」

 

 まるで武士である。外見二足歩行の犬の武士である。

 

「ご主人様。アレ甘い」

 

 いや、無理でしょ?あれテイムしろっての?蜂蜜が取れるから「よ~し頑張っちゃおっかな~」なんて言えないぜ?


 確かスズメバチとかって最悪2回刺されると死ぬって聞くし下手すりゃ1回でも死ぬって聞くよ?あれがススメバチじゃないとしてもあの大きさの蜂に刺されたりしたら無事じゃ済まされない。

 それを掻い潜って女王蜂をテイムするなんて無理ゲーすぎるでしょ?

 ないないない諦めなさい。諦めるのも肝心だぞ!

 

 諦められないのか「くぅぅ~ん」と涙目で見てくる。

 うっ!つらい。非常につらい。

 ずっけー!まじこういう時だけずっけー!

 

「はぁしょうがないなぁ」

 

 折れてしまった。

 こうなったら作戦会議だ。まず女王蜂を見つけるのは簡単だ。巣を破壊すればいい。ただ壊したら中にどんだけいるかわからない兵隊共が大暴れしてこっちの危険度も増してくる。オマケに中の蜂蜜も手に入らない可能性もある。なので破壊は却下だ。

 なので今回はレッドボア先生に協力を申し出る。

 

 まずはレッドボア10体の完璧な布陣を組む。5体は周りの警戒にあたり外から帰ってきた蜂に攻撃してもらう。蜂は高温に弱い。あの体の大きさだとどれくらいの熱に耐えられるかわからないが試しにやってみよう。巣のまわりを巡回中の蜂に石を投げこっちに来させる。

 すかさずレッドボアの鼻から出る火炎放射で焼いてもらう。成功だ。

 

 手応えを感じ見廻り蜂を順々に焼いていく。小石を巣に投げて異変に気づいた兵隊達に向かって、レッドボア先生達の火炎放射が迫り来る。その無慈悲な殺戮に遠征していた蜂が巣の危機を感じ急いで帰ってくる。警戒に回してたレッドボア先生達が襲いかかった。

 

 俺はただただその光景を見ていた。

 強い強すぎる!攻撃を一切寄せ付けず、その赤い炎というかすでに高温すぎて青白い炎が巣から出てきた蜂1匹1匹確実に仕留めている。

 

 巣穴は1箇所である。そこに当てるように炎を繰り出せば出てきた瞬間に丸焦げである。5体の一点集中のオーバーキル具合いに涙がでそうだった。せめて巣の中が高温にならなければいいなと祈る他ない。

 10分程続けると出てくる個体がいないので、一旦止めさせ...他に出てくるのがいないか遠くから見る。

 出てこないので近寄る。中が暗いので慎重に巣穴を広げると1匹だけとんでもなくでかい個体がいた。全長は50cm位あろうかというぐらいの化け蜂がいた。飛び立つ感じはしないが、じっとこちらを見ながら口元の牙で威嚇している。


 やべぇメッチャ殺る気まんまんだ...1発で倒せんのかな?まぁ失敗しても武士が悲しむだけで、最悪蜂蜜だけ回収しよう。

 マーキングし、首を跳ねる。何とか成功したけど顔が怖いな...仲良くなれるだろうか?

 生き返ってテイムが成功したと確信したが


 きしゃゃゃゃ!と言ってる...やべーの仲間にしたかも...

 

「お主か!妾の兵隊を全滅させたのは!」

 

 ひぃぃぃ!メッチャ怒ってらっしゃる!

 

「まぁなんだ、兵隊は産めばいいし花を沢山周りに植えてくれれば許してやらなくわないわ」

 

 えらいツンデレである。ツンデレだが、そのツンが強烈すぎてあまり関わりたくない...

 

「えーとありがとうございます。ちなみに好きな花とかありますか?」

 

「そうね...」

 

 うん。武士犬にこれは任せよう。巣を入れる箱を大工に頼む。折角なのでかなり大きな巣箱を作ってもらう。これで甘味が特産品で手に入るようになった。

 

 怖いが味をしめた俺は武士犬に他にないか案内させ、レッドボア先生の協力の元、テイムだけの簡単なお仕事を全部で6箇所おこなうのであった。


 さてと明日はハーピィだ。



蜂蜜が新たな特産品になりそうです

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