イチゴのパンツ
なんだかんだとあったが無事にギルドカードの登録が済み宿屋に戻ってきた。そしてこれからの話しをする事にした。
「いいかキヨシ。これから話す事は誰にも言ってはいけない秘密の話しだ」
キヨシの喉がゴクリと鳴る
「もし誰かに話したらお前を...」
そう言いながらショートソードに手をかける
「わ、わかったんだなぁ。だ、誰にも言わないんだなぁ」
手を左右にブンブン振りながら焦り出す
「ならいい」
とりあえずこれぐらい脅しておけば良いだろう。もっとも殺しなんてものはしたくないから、すぐキヨシが慌ててくれて助かった
「ここから馬車で一日も離れてない場所に誰にも手を入れられてない平原がある」
そう。昨日朝までいた場所である。
「そこで開拓村を作りたいと思う。近くには川が流れていて水には困らないし、森や山があって木の実や薬草なんかも豊富そうだ」
「で、でも二人で行ったらへ、辺境の魔物がいてあ、あぶないんじゃないのかなぁ?」
「まあな。あんな所じゃ魔物に対応する為の兵力や商人の危険を考えたら普通は作らない。だからずっと誰の土地にもならずに放ったらかしなんだよ」
そこら辺は王都にいる間、王都から遠く離れた土地に関してかなり調べた。
「普通ならな」
フフフ
「り、リュウなんだか目が怖いんだなぁ」
「実はな俺には【テイム】というスキルがあるんだ。ただ自分よりかなり弱い魔物しか効果がないんだけどね。」
実はこの世界に飛ばされた時にテイムのスキルを手に入れた事を知った時はすぐさま使いたくて広間から出ようとしたんだけど、逃げれなかったんだよなー。ラノベみたいに試しに【ステータスオープン】って言ったら本当に出てきたのに興奮して王様達が何か言ってたのほぼ聞こえなかったしステータスを見るので忙しくて、大体スルーしてたけどな。
で、よくよく考えたらテイムなんてスキル持ってるってバレたらドラゴンやら強い魔物使役して軍団作って他国攻めろとか辺境の魔物一人で駆逐して来い!とか扱き使われそうだから内緒にしてたけどね。よくある鑑定とか使われたらすぐバレるんだろうけど、とりあえず今の所はバレてないから良かったよ。
「でだ、そのスキルで魔物に畑を耕させたり村の防衛に当たらせたりして俺らは自分の好きな事して暮らしたいと思ってるのよ。アイツら食事は魔石でいいらしい」
【テイム】
一撃で倒せる魔物を使役する事ができる。倒す前にマーキングする事が条件。一日にその魔物と同ランクの魔石を与えなければ消滅してしまう。
「俺一人じゃあ、あんな危ない所生きて行けないからキヨシには夜の見張りを交代で頼みたいんだよ。小屋でもいいからゆっくり寝れる場所は確保したいしね。それにまずは魔物が入って来ないように、馬を安全な所に避難する柵を作る所から始めたいから、どっちみち人手が欲しかったんだよね」
「だ、大体の事はわかったんだなぁ。で、でも最初からう、うまく行くのかなぁ?」
「まー最初からうまく行くとは思わないさ。命さえあればやり直しが効くし最低でも三匹くらいテイムすればなんとかなるんじゃないかな?それと魔物は街には入れないから、後々討伐部位とかオークの肉とか手に入ったらキヨシに運んでもらわないといけないしね」
「な、なんかでかい借りをし、したような気分なんだなぁ」
「まぁ最初だけだ。軌道に乗れば奴隷とか買って元料理人や元大工とか様々な分野に精通した者を集めればいい。衣食住さえしっかり与えればしっかり働きそうだしね」
そう。この世界の奴隷は扱き使われ人権なんてものは殆ど皆無に等しい。だからこそ少しでもいい生活をさせてあげたいという思いもある。
「じゃあとりあえず馬車に積んである武器とか売りに行こうか」
まずは戦場で拾ったやつを売らないとな。質はあまり良くないし、それ使ってすぐ破損したらピンチだから新しく買うかな。
宿屋の女将さんに聞き買取もしてくれる鍛冶屋に行く。今後もお世話になりそうだしちゃんと場所を覚えておくか。
鍛冶屋【金獅子】
ライオンみたいなのが出て来そうな名前だな...
カランコロンと扉を開けると奥からライオンが出てきた...いやライオンみたいな風貌で髪の毛を左右に三つ編みにし顎は無精髭、血のような赤い口紅をした漢が出てきた...
よく見ると髪の所々には小さいピンクのリボンがついていた。
正直帰りたい...
「すみません。間違えましたー」
と振り返り出口に向かおうとすると一瞬にして、そのライオンが回り込んで退路を塞がれた。キヨシはガタガタと震え大量の汗が吹き出しており、まるでオーラでも纏ってるのか?というぐらい汗が霧のように蒸発している。
「あぁ~ら~帰っちゃうなんてヒドイわ~用事があったんでしょ?言わないても目を見ればわかるわん」
キヨシは漢に顎を手のひらで怪しいタッチをされ白目を剥いて倒れた。
目が白目を剥いたんです。わかるでしょ?と言いたかったが同じことをされても困るので(精神的に)ぐっと飲み込んだ。
これは逃げれないと思い、用件だけ済ませてすぐ帰ろう。そうしよう。意を決し
「実は武器と防具を買い取って欲しくて来たんです」
「あらぁ~そうなの?」
と椅子に座りミニスカートを履いた漢は何度も何度も脚を交差させてくる。
いや、ほんとそういうのいいんで、勘弁してくれませんか?
と、何度言いたかった事か...
前を見ればライオン。顔を見ないように下を向けばイチゴのパンツが見える。正に地獄
「じゃあ~持ってきてくれるかしら?」
ダッシュで外に出た。
...もうキヨシ置いて帰ろうかな?と一瞬思ったが、女将さんが紹介してくれたんだ。普通ヤバい所なら紹介なんてしないだろう...いや違う意味でヤバイけどな...今後はキヨシに任せよう
店に戻り量が多いとの事で奥の作業場に案内される。変な部屋に連れて行かれるかと思ったがカウンター奥は鍛冶場になっており安心した。ちなみにキヨシはまだ起きてこない。完全にトラウマになってるかもしれん...
作業台に全部乗せる。
ショートソード×20、槍 ×20、ロングソード
革の装備一式 ×8
皮装備は俺とキヨシ用の分は確保し他は売却した。量が量だけに金貨四枚で売れたのは助かった。宝石各種は商人に売ろうかと思ったが、この漢、カオルさんが金貨10枚で買い取るとの事。いや、名前からして女性なのか?
服装は女性だが...どっちなんだ?怖くて聞けない。
自分の口に人差し指を当ててウインクしてきた。
怖い...怖すぎて聞けない
急いで武器を選ぶ事にした。正直武器の善し悪しなんてわからないが、あまり重い武器は振り回せないのでショートソードを選んだ。予備に追加で一本。短剣を二本。キヨシ用に弓と体格を考慮してメイスを二本買った。斧は伐採用に二本購入。武器にもなるしな。
逃げるように鍛冶屋を出ていく。一秒でも早く出ないと精神的にもたない。
泡を吹きながら倒れているキヨシを引きづりながら馬車まで連れていく。水魔法を顔にぶつけ無理やり起こし馬車で寝かせる。今日はもうダメそうだな。
しょうがないので新天地で使う日用品や食料を買い込み宿へ戻るのであった
三つ編みは垂れ下がる感じじゃなくピーンとしてます。リアルで目の前に来たら漏らすかもしれない




