すれ違う金曜日
朝、いつも通り妹と登校してる
「ねぇ今日は優菜来ないのかなぁ?」
「そうだな」
いつもならこの辺で現れるはず、元気よく話しかけてくるはず、だが今日はすれ違わなかった
「兄さんが昨日変なことするから?」
「お前がそそのかしたんじゃねぇか」
「そうだけどさ、もっと酷いことしても良かったんじゃないかな」
ほんと傍からこの話を聞いたら誤解されかねない内容だ
話してる本人たちはよくわかる、まぁ昨日のことだししょうがないと諦めは着いている
過去を変えることなんてできはしないんだから、1度決めやろうとしたことはやり遂げればそれでいいんだ
やり方はどうであれ、やりぬけばかっこいい
「まぁ学校で会えるしいいだろ」
「私は同じクラスだし、もし兄さんにはもう会いたくないとか言われたらどうするの?」
「それは大丈夫・・・なはず」
昨日、最後に抱きしめてくれたことはきっとそういう事だと思う
良いように捉えれば、また明日ねって意味もしくはもっと一緒にいたいそんな意味だろう
昼休みになれば会えるかなと思う、特に約束はしてないが会いに来てくれたし
きっと大丈夫だ
そう思って午前中を過ごした、時は過ぎて昼休みになった
5分くらい過ぎてもくる気配はないので、適当にふらついてみる
「あっ」
階段のとこでばったりと会った、一瞬だけ目が合った気がする、だがしかしなにも言わずに行ってしまった
まさか、気づかなかったのか、もしくは気のせいだったのか、たまにはそういう事もあると思う
ただ、スルーだったらそれは辛いなと思う、返事が遅いなだけならまだいいんだけど1日たっても返信ない時とか心にダメージ追う時もあるし
俺は目の前でスルーされたことに少し心にダメージを負っていた
そして午後の授業も終わり放課後になる、俺は何気なしに帰るふりして下駄箱で待ち伏せしようかなと考えた
だがしかしその必要はなかった、またもや偶然会った、ここまで偶然が続くと運命を感じる
「よぉ、一緒に帰ろうぜ」
そう言うと優奈は首を縦に振る
「そう言えば昼休み、気づいたか?」
「うん」
「明日お休みだな」
「うん」
「どうした?熱でもあるのか」
「・・・」
しかしなぜだろうか、今日は優菜から言葉がない
話しかけてもうんとしか言わない
なんかすごいつまらない、これじゃ1人で独り言呟いて帰るほうがましだったのかもしれない
「また明日な」
そう言うと小さく手を振って去って行った
明日は学校ないじゃんとかツッコミくらい入れてほしかった
俺は帰ってから妹に相談した、そしたら思い切り笑われた
「ごめんごめん、ほんとに忠実だなと思って」
「えっ?何の話し?」
「優菜に今日、兄さんの話しは全部うんだけで答えてね、言ってみたらほんとにそれしか言わないんだもん」
お前の仕業かよ、心配して損したわ、っていうかお前らの関係って本当にすごいなと思う
「まぁでもどうせ明日遊ぶんでしょ?じゃあ大丈夫じゃないかな」
なぜか妹の言葉にはものすごく説得力を感じた、きっと明日来てくれるはず
なんだかんだで背中を押すのが妹の役目だから