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第2話 森の中での遭遇




ふと目が覚めた。

あれ?私はいったい・・・?

そうだ!森の中を歩き回って疲れて果てた末に、不覚にも私は気を失ってしまったのだ!!


私は自分を責めた。

なぜなら、気を失ってた間に辺りはすっかり闇に閉ざされてしまっていたから。

目をこらしても、見えるのは月明かりにほんのり照らされた木々の輪郭のみ。

どこからともなく聞こえるのは、フクロウかミミズクか。

夜行性の鳥の鳴き声が聞こえる。


・・・こ、こわい。どうして意識を手放してしまったのだろう。

どうせ気を失うなら、森を脱出してからとか、目を覚ますのは夜が明けてからとかがよかった。

いや、それはそれで危ないか・・・


こんな私でも、暗闇の中をむやみに歩いたら危険だということは理解できた。

私はそばにあった割と大きめの木に背中を預け、身を守るように体育座りをして根元に腰掛けた。

気温はそれほど下がっていないにもかかわらず、体が震える。

私は野生動物よろしく、耳に全神経を集中させて少しの物音も聞き逃さないように辺りを警戒した。




頭の中で‘フクロウ’やら‘体育座り’という名詞が迷いもなく出てきたことに少しあきれながらも、それももう、どうでもいいことのように思えた。




このときになって、私はようやく自分自身が何者かを推理してみる気になった。

私は・・・そう、女のようだ。

どんな顔をしているのかはわからないが、視界に飛び込む長い髪は黒だ。

身につけている服にはポケットが付いていたので、手で中身を探ってみた。

あっ、食べ物だ!これは・・・そうだ、飴だ!!

急にお腹が空いていたことを思い出した私は、包み紙を開けて早速口に放り込んだ。


あま〜い!自然と顔がにやけた。

飴に気を削がれていた私は、前方に立つ何者かに気付くのが遅れた。





「このようなところで何をしておる。そなたは何者か。」



ゴクリ。


驚きのあまり、せっかくのごちそうを飲み込んでしまった。

くっそ〜!もっとゆっくり堪能しようと思っていたのに、コイツのせいで!!

私の中ではまさしく【食い物の恨み】が増幅されていき、会いたかったはずの‘人’なのに、そんなことをすっかり忘れて、立ち上がりながら噛みついた。




「ちょっと!びっくりするじゃないの!アンタこそ誰よ!」




そう怒鳴った私に、ヤツは逆に驚いたように黙った。

その様子に我に返った私は、ばつが悪くなり恥ずかしくてうつむいた。




「ごめんなさい、怒鳴ったりして。あまりにも驚いたから・・・」




と私はうつむいたまま相手の様子を探るべく、上目遣いで盗み見た。

そんな私の行動にじっと見入ったままのヤツは、更に顔を強張らせたように見えた。

いや、暗いからあくまでも私の想像だけれども。


フッとため息を吐き、気を取り直したかのように見えたヤツは、私に「もう少し近づいても?」と尋ねてきた。

相手の真意がわからないので迷ったが、結果的に私は肯定の意味を込めて頷いた。


ヤツはゆっくり近づくと、私のとなりに直に腰掛けた。

そして視線を見上げて、私に目で座るように訴えた。

戸惑いながらしゃがんだ私にヤツは「名前は?」と聞いた。

その時になって、はじめて私はヤツの風体に気をやった。


―――ま、まぶしい。

ヤツの第一印象はその一言に尽きた。


ヤツの髪は暗闇でもわかるぐらい輝ける金色だ。

ひぇ〜、こんな間近で金髪に遭遇するなんてちょっとラッキーかも。

となぜか思ったので、以前の私は、金髪を珍しく思う土地柄にいたのだろうと容易に想像できた。


顔は・・・よくわからない。

彫りが深いのだろう、全体に影が覆って近くで見てもわからなかった。

が、背は高い。先ほどヤツが私のとなりに座る前、私の目線はヤツの胸元にあったのだから。


「どうした?言葉はわかるであろう?」


という問いかけに、自分の考えに没頭していたことに気付き、慌てて頷いた。

そしてもう一度「名は?」とヤツは聞いてきた。


私は自分の名前を知らない。というか思い出せない

。そのことを正直に横にいるヤツに言うべきかを迷った。

なんせヤツがまだ私にとって危険人物かどうか判断がつかなかったから・・・

結局私は自分のことを話すのを止め、まずは情報を得ることにした。



「私ね、どうやら迷子らしいの。ここは何ていうところなのかな?

私、こんな森の中じゃなく、もっと人がたくさんいるところに行きたいの。

どっちの方角に行ったらこの森を抜けられるのかなぁ?

あなたはこの辺の人?こんな夜更けになんで居るの?」



矢継ぎ早に質問を重ねる私に、ヤツは少し退いたようだ。

そしてまたじっと私を見て、顎に手を当てて何かを考え込むかのように押し黙った。

何?何なのだ?なんか不審を抱かせるようなことを私は言ったのか?

と不安になりかけた頃、ヤツはこう言った。






「ついてくるがよい。ここから出してやろう。」

 

 


 

 

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