”お礼”3
今回は前二話に比べてもさらに性的・人によっては不快になりかねない表現が多く含まれています。露骨な表現は避けていますが、R15に収まっているのか作者自身不安を感じています。苦手な方は注意してください。
じっと手を見る。
果たしてこの右手で復讐を果たせるのかと。
取り巻きAからDまでを順調に撃破できたのは『仙腎検査』があったからこそ。一般人に対する導士の優位性に物を言わせた結果である。しかし相手も導士となれば、これはもう一般人同士と変わらなくなる。『仙腎検査』は通用せず、文字通り、“この手で”事を行わなければならない。触れるだけ、似非仙導力を流すだけだったここまでとは違う、本当の戦いが始まる。
「用意してください。ヒノベには椅子を」
椅子に座らされたヒノベ。その足を椅子の脚へと縛りつけて固定する。シテいる最中に蹴り飛ばされては堪らないから予防させてもらった。
「オウカ、覚悟は良い?」
「はい。お願いします」
シューリンがヒノベの下衣を擦り下ろし、褌も剥ぎ取ってしまう。
「くっ……!」
この期に及んで抵抗は無駄と悟ったのか、大人しくされるがままだったヒノベであるが、さすがに下半身を剥き出しにされて屈辱に声を漏らしていた。一方、でろんと放り出されたソレを直視した私も動悸と息切れに見舞われていた。あれこそが過去に私を貫いた恐怖の象徴である。
――大丈夫、“男”というだけで恐れる必要なんてないのだから。
陸揚げされた魚のようにぐったりとしている取り巻きABCDを見よ。無様を晒しているあれらも“男”、無条件に恐れるべき相手ではないと心に刻め。
自己暗示にも近い思考を繰り返し、ヒノベに立ち向かう勇気を奮い起こした。
「オウカ、その男のはどうなんだい? 大きいのかい?」
興味をそそられた娼婦の一人が問い掛けてくる。私がヒノベの正面に位置取っているため、彼女達からはヒノベの下半身は見えないのである。
「どう、と言われましても……」
困る。なにしろ男性のナニを間近に見る機会がこれまでに無かった……訳でもないか。ミヅキの村にいた頃、不慮の事故でウラヤのを目撃したことがある。詳細に観察するような余裕は無かったけれど、残っているイメージからするとウラヤの方が一回り大きかったような気がした。が、「ウラヤの方が大きいです」などと口にしては色々と――主にウラヤの立場的な何かが――ヤバかろうと思い黙っておくことにした。
ウラヤよりは小さいそれにそろそろと手を伸ばし……握った。
ぐんにゃりとしたソレを強弱付けてニギニギしたり擦ってみたり、記憶にあるイメージを頼りに試行錯誤を繰り返してみた。
「……硬くなりません」
何をどうしよとも項垂れたまま、一向に固くならず、上向く気配すら窺えない。いくら私が下手糞だとしても、触れるだけでもそれなりの刺激にはなる筈なのに。
「もしかして不能ですか?」
「こんな状況で勃つわけないだろうが!」
「えー……それじゃ困りますよ」
「勝手に困ってろ!」
憎らしい男だ。
衆人環視という異常な状況に興奮するのは余程に特殊な性癖の持ち主であろうから、ヒノベが萎えてしまったとしても不思議ではないのかもしれないが。複数人で強姦なんかする男が今さら人の目を気にするなと言いたくもなる。
どうにも攻めあぐねていたら、いつの間にかマアリイが傍らに立っていた。
「ちょいと私が手を貸すよ。フェイフォン、構わないね?」
「介助が手を貸すのは構わないが……」
渋々と了解の意を返すフェイフォン。相思相愛の相手が必要に迫られてとは言え他の男に触れるのだから内心面白くないのだろう。
「すみません、私が未熟なばかりに」
「今日なったばかりなのに熟練されちゃあ私らの立場が無いよ。いいから、ほら、勃たせてやるから貸してごらん」
場所を譲ると、マアリイは両手を使ってヒノベを刺激し始めた。「むむっ!」と唸るヒノベ。どこをどうしたものなのか、項垂れていたモノはむくむくと体積を増し……、
――こ、こんなに大きくなるものなの!?
これが本気状態なのか。こんなモノが六年前の、今よりも体の小さかった私の中に良くも入ったものだと思う。力なく項垂れていた時とは全くの別物。まさに凶器。禍々しいオーラを放っているようにさえ見えてくる。
「さ、続きはオウカがやりな」
再びのバトンタッチ。逡巡しつつも意を決して掴んだそれはとても硬かった。
ここからな例のハンドサインのまま、手を上下に動かすだけで良い。
その筈だったのに。
「……小さくなってしまいました」
私の手の中で、ヒノベのソレはまたもや力を失って縮こまってしまった。
「ふざけているんじゃないでしょうね?」
「馬鹿野郎! 怖えんだよ! 思いきり握りやがって! 折られるかと思ったわ!!」
「しょうがないじゃないですか! 私だって怖いんですよ!」
どうも手に力が入り過ぎていたらしい。リラックスして適度な圧力に調節できれば万事解決なのだけど……一足飛びにそんな境地には達せない。ただでさえ男性のソレは未だ恐怖の対象だ。先に取り巻き四人を撃破していくらかの自信と勇気を得ているからこそ触れられるようになったに過ぎない。そんな初心者に本気状態の凶悪さは荷が重い。どうしたって緊張と恐れでガチガチになってしまう。
「けっ! 諦めたらどうだ? 所詮お前には無理なんだよ。それともあれだ、普通に咥え込むか? どうせ“障り”つうのは嘘なんだろうからな!」
「言いたいことを言ってくれますね……」
私が手詰まりになったと勘違いしたヒノベは饒舌だった。
マアリイが実証したように、こんな状況下であっても適切な刺激を与えればヒノベは反応する。しかし過ぎたるは及ばざるが如し。今の私には“適切な”力加減ができない。「折られるかも!?」と恐れられ、委縮させてしまう。
普通なら確かに手詰まり。だからヒノベの暴言にも一理ありとなる。
そう、普通なら。
性行為における、この世界の普通に照らすなら。
「……止むを得ませんね」
帯を解き、着物の前を広げた。
「「オウカ!?」」
悲鳴のような声が幾つか聞こえた。
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この事態は半ば予想していた。
トラウマ云々は抜きにしても、初めての私が上手にできるかどうかは一種の賭けだったし、状況的にヒノベの反応が鈍くなるだろう事も容易に想像できた。この手で復讐を果たすと誓いつつ、文字通り“手”だけでは済ませるのは難しいかもしれないとは考えていた。
それでも尚実行に踏み切ったのは、なにも玉砕を覚悟してではなく、確たる勝算があったからに他ならない。
――できればこうなる前に終わらせたかったけれど。
奥の手、切り札。そう呼ぶべき手段が私には残されている。
ヒノベから……否、ヒノベだけでなくウラヤやマアリイ、この世界の人達から見れば私は手詰まりに陥っているように見えるだろう。でも私は知っているのだ。この世界には存在しない『あちらの世界』の性行為事情を。
こちらでは『子供をつくるための行為』であるのが大前提。男性器と女性器を結合し、女性器の中で精を放つのが原則だ。例外として娼婦が“手”でする場合もあるが、今回それが果たせないのだからヒノベは「普通に咥え込め」などと好き放題言い、今も前を開いた着物から覗ける私の裸を見ながら「ようやくその気になったか」と気色悪い顔をしている訳だ。
しかしあちらでは『快楽を得るための行為』として位置付けられている。もちろん子供をつくるためにも行為を行うが、そうでないケースも数多い。娼婦でなくても避妊をするし、そもそも子供などできようもない部位を用いたりもするくらいだ。……まあ、ぶっちゃけるなら口とかお尻とか。
「オウカ、まさかそいつとやるつもりじゃないだろうな!?」
「冗談を言わないで下さい。こんなのを私の中に入れるなんてできる訳ないじゃないですか」
「そうか……」
普通にするのは論外。口だろうとお尻だろうとヒノベを受け入れるつもりはない。口やらお尻やらは言葉にせず、ただ拒絶の意思だけは明確にして言い切った。
ほっと安堵の息を吐くウラヤ……だが、胸をガン見するのは止めて欲しい。
位置的にユエンやティエレン達には背を向けているが、名目上ではなく本当の監視役であるウラヤやフェイフォンにはばっちり裸を見られてしまっている。彼らの役目を考えれば「見ないで下さい」とも言えず、恥ずかしいけれど我慢するしかない。
「はっ! ならどうするつもりだ? まさか裸を見せれば俺が興奮するとでも思ったか?」
「そんな安易な事は考えていませんでしたが……少しは効果があるみたいですよ?」
ヒノベがちょっと元気になっていた。半分くらい。それに気づいたヒノベが「くっ!」とか悔しがっている。とは言え、ここから手でやろうとしても力加減が上手くいかない限りすぐに萎えてしまうのだろう。
そこで奥の手。
その為に着物の前をはだけた。
天音桜の記憶から得た膨大な量の性知識。
その中でも背の高い友人に影響されてプレイした数々の『エロゲ』に登場した技法。
ヒノベの脚は椅子に縛りつけられて大きく開かれている。その間に膝立ちで進み。
双の乳房を下から掬い上げるように捧げ持った。
「な、なにをするつもりだ!? 貴様、まさか……」
狼狽えるヒノベを無視して更に前進。半勃ちになっていたそれを……挟む。
「「「「なっ!?」」」」
ヒノベだけでなく、ウラヤにフェイフォン、ヒノベの縄尻を持つ組合職員までが愕然としていた。背を向けているせいで様子が判らない後ろの方からは「いったい何をしているんだ?」と不審がる声。
「ふっふっふ……どうですか? これなら効くでしょう?」
両側から挟み込む手に力を込める。相変わらず力加減はメチャクチャだろう。でも柔らかな乳肉が緩衝材となり、程良い圧力となってヒノベを包み込んでいる筈だ。実行するにはある程度以上の大きさが必要であり、これまで男装で通してきた私にとっては邪魔でしかなかった部位が初めて役に立った瞬間だ。
「な……な……な……」
わなわなと震えているヒノベ。
「なんてことをするんだ! 乳は……乳は……女が子供を育てるための大事な……! そこに男の物を挟むなんて……貴様、変態か!?」
それはもう絶叫に等しかった。
「私を変態と言うならば、そんな変態的な行為で元気になっているあなたは何なんでしょうねぇ……」
乳肉の間でヒノベのソレが確かに硬さと大きさを増していくのが感じられる。
効果は抜群だった。
これだけの反応を示しておいて変態呼ばわりはなかろうとも思うが……この世界ではヒノベの言い様の方が普通になる。ヒノベの叫びを聞いた観衆からも「乳で……挟むだと!?」と引き気味の嘆息が聞こえてくるし。
できれば避けたかった理由がこれだった。
裸を見られるだけでも恥ずかしいのに、行為そのものがこの世界に知られていない為に変態扱いされかねない。というか、されている。加えて男性に対して奉仕しているような絵面になってしまうのが気に食わない。どうして復讐相手に奉仕せねばならないのかと。諸々揃って私自身にもダメージが来る。肉を斬らせて骨を断つ的な捨て身の戦法である。
覚悟の上で抜いた諸刃の剣だ。これで決めなければ後が無い。
「ほらほら、どうですか? 柔らかいでしょう? 気持ち良いでしょう? 変態だなんて言うなら我慢してみたらどうですか?」
煽りつつも手は休めずに責め続けると、次第にヒノベの全身が震えを帯びてきた。
「が、我慢しろだと……我慢……我慢……こんなの、我慢なんてできる訳がねえ……!!」
吠えると同時、胸に熱い液体がぶちまけられた。
「く、くそう……どうしてこんな……」
「随分と良かったようですね。こんなに沢山だすなんて」
ヒノベが出したのは「こんなに出るものなのか」と驚くような量だった。さすがは長い禁欲生活の後の一発目。変態的(と彼は考えている)な行為でそんなに出してしまったヒノベは屈辱に身を震わせていた。
でも、まだまだ終わりではない。
真の恐怖はここからだ。
自身が出した一発目が潤滑剤代わりとなり、二回目以降はより良くなる。と、とある『エロゲ』で述べられていた。
「さあ、次にいきますよ。ここからが本番ですから」
胸に挟んだまま見上げると、ヒノベは恐ろしい物を見るような目で私を見ていた。
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そして、回数を重ねるにつれて私もコツを掴んでいった。
体を上下に揺すりながら左右を互い違いに動かしつつ締め付けに緩急を付けるのが良い様だった。調子に乗って次々に発射させていたら、何回目なのか発射の発作は起これども何も出てこないようになってしまった。溜まっていたものを全部出し切ってしまったらしい。
「限界のようですね。ここまでにしましょうか」
身を離して見下ろすと……当初のふてぶてしさは鳴りを潜め、ヒノベは虚ろな目をして何やらブツブツと呟いていた。「いっそ殺せ」とか聞こえたような聞こえないような。
折れたかな? ヒノベの心は。
気付けばABCDの四人も意識を取り戻し、私に向けて畏怖の視線を向けている。
最後の仕上げだ。最初に受け取ったお金の袋から適当に一掴みを取り出して、残りをぐったりしているヒノベのお腹に乗せた。本番はしなかったから差額分の返金だ。
そして、ニッコリ。
「ご利用ありがとうございました。またのご利用……は無いでしょうけど、もしもまた会うような事があったら、今日以上の目に会わせますからね」
生きて刑期を終えたとして、復讐返しなど企まれては堪らない。念の為に釘を刺しておく。すると取り巻き四人はガクガクと壊れたように頷きを繰り返し、ヒノベは、
「もう女はこりごりだ……」
消え入りそうな声でそう呟いていた。
これにて復讐――“お礼”は完了。
胸元がドロドロで気持ち悪い。お風呂に入って寝るとしよう。
次回で完結します。




