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エセ仙術使い  作者: 墨人
最終章 ”お礼”
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”お礼”2

前回から間を置かずに投稿しています。


今回も性的な表現、人によっては不快になりかねない表現が多く含まれています。R15の範囲に収まるように露骨な表現は避けていますが、苦手な方はご注意下さい。

 じっと手を見る。

 復讐を果たす右手を。


 当初、ミヅキの村を旅立つ当時、漠然とながら“お礼”は暴力的な手段を想定していた。屈辱、恐怖、絶望。それらを与え得る手っ取り早い方法として、戦い、叩きのめし、勝利するというイメージがあったからだ。

 復讐対象者の中心的人物であるヒノベの強さを断片的に得られる情報から推測するにつけ、“お礼”はけして簡単ではないと思うようになった。ウーハンまでの旅は、そんなヒノベに対抗する力を付けるための修業の旅だったと言い換えても良い。事実、ロンフェンにおいてファンランと邂逅し、本当の似非仙導力や仙術武器を得た。が、ここに来て暴力な手段による“お礼”は不可能と判り今に至る。


 しかし暴力的な手段での“お礼”ができなくなったからといって、これまでの修業が無駄になったかと言えばそうでもない。『地滑り』や『透徹・炎』といった新たな技を工夫する事ができたし、今から使う技もそうして修得した内の一つだ。


 気功スキルの調息を開始。練り上げた気を魔力と混合して似非仙導力を生成する。


「!? 貴様、導士だったのか!?」


 驚愕の声を上げるヒノベ。導士には他の導士を感知する能力があるが、私は仙腎を持っていない。こうして似非仙導力を生成しなければ判らないのである。

 それを承知しているウラヤ達も、一気に緊張を高めていた。

 彼らは罪人に対する監視であるが、監視対象には私も含まれている。要は復讐心に駆られた私が勢い余ってヒノベ達を殺さないように目を光らせているのだ。

 ウラヤ達を刺激しないようにゆっくりとした動きで取り巻きAに歩み寄り。


「では、お仕事を始めます」


 宣言すると取り巻きAは「?」と疑問符だらけの顔になる。Aは普通に着物を着たまま。手でするにしろ着物を着たままなのはどういうことかと言いたいのだろう。

 大丈夫。着物を脱がす必要は無い。


 右手をそっと取り巻きAの腰……より少し下、お尻の上部に宛がい……。


「!? 気を付けろ! そいつ、導士だぞ!!」

「は? 導士だからなんだってんだ?」


 私が何をしようとしているのか、ヒノベはいち早く察したようだ。Aに対して警告を発するも、Aはその意味を掴みかねている。構わない。すぐに身をもって理解する事になる。


 ――似非仙技……『仙腎検査』!


「うお!? な、なんだこれは!?」


 最初に流し込んだ似非仙導力はちょろちょろくらいの微量なものだったが、効果は絶大だった。Aの腰がびくりと跳ね上がり、彼の股間は着物を大きく押し上げている。様子を見ながら似非仙導力の量を増やしていくと……「……うっ!」と呻いたAの全身がガクガクと震えていた。


「あら、もう出ちゃいましたか。早いですね」

「て、てめえ……」


 こういう時に「早い」というのは男性の精神を深く傷付ける言葉だ。と、天音桜の知識にあったので言ってみた。案の定、憎々しげに睨んでくるA。でも怖くない。今、Aの全ては私の胸先三寸。生かすも殺すも……いや、イカすもイカさないも自由自在だ。


「オウカ? おまえ、今なにやったんだ?」


 フェイフォンが遠慮がちに訊ねてくる。


「え? 仙腎検査ですけど……」

「仙腎検査だと? 仙腎検査でどうしてそうなる?」

「どうしてって……仙腎が無いからですよ」

「仙腎が無いからって、じゃあどうしてわざわざ仙腎検査をしたんだ?」

「だから、こうするためじゃないですか」


 どうにも会話が噛み合わないので、実演としてもう一度Aに仙腎検査。三秒ともたずに放出してしまうAにもう一度「本当に早いですね」とダメ押ししておく。

 すると何故かフェイフォンだけでなくユエン達まで不思議そうな顔をしていた。もっと訳が判らないのは仙腎検査自体を知らないティエレン達だ。


「なあ、仙腎検査って何なんだ?」

「導士はああして仙導力を流して仙腎の有無を確かめられる……んだが……」

「仙腎の有無を? じゃああんたもアレ、やられたことがあるのか?」

「あるが……俺はあんなふうにはならなかったな」


 傭兵と導士がそんな遣り取りをしているところを見ると、


「あれ? もしかして仙腎の無い人が仙腎検査を受けるとこうなるって、こっちの方じゃ知られてないんですか?」

「こうなるってのは……」

「たいそう気持ち良くなってしまうんですよ。男の人なら『止まらなく』なるそうです。こんなふうに」


 はい、仙腎検査三回目。「てめ、やめろ」と言いつつAは発射。なんだか腰だけじゃなく膝までガクガクさせてる。Aの有様を見て「仙腎検査にそんな効果があったのか」と引き気味にも納得をしているウーハンの導士達。どういうことだろう。ヒノベも察していたようだし、倭州ではそれなりに知れている仙腎検査の副作用がこちらでは知られていないなんて。


「いや、そもそも仙腎の有無なんて気配で判るだろ。仙腎検査は……有るか無いかを確かめるってよりも、仙腎を持ちながら気付いていない導士の卵に自覚を促すって意味合いの方が強いぞ? 少なくとも仙腎の気配が皆無な奴にやるなんて事は無い」


 フェイフォンに言われて、そうかと思う。普通なら検査するまでもなく気配で判る。となれば『仙腎を持たない人』が検査を受けた結果が知られていなくても不思議ではない。と言うか、知られていない方が当然なように思えてきた。

 ……そうなると、どうして倭州では? という疑問が頭をもたげてくるけれど、今は関係ないので置いておこう。倭州に住む倭族が『あちらの世界』の日本人的な素養を持っているなら好奇心のままに色々と試した結果なのかもしれないし。


 大事なのは「そんな手があったとはな……だからオウカはあれほど自信満々だったのか……」と感慨深げにフェイフォンが言った通り。娼婦の皆さんが有しているだろうスキルを私は一つも持っていない。身分は娼婦になれても一朝一夕どころか僅か数時間で技術を習得するなんて無理無理だ。

 でも私には仙腎検査コレがあった。

 コレができるのも本当の似非仙導力があるからこそ。ファンラン、あなたの教えは無駄にはなりませんでした。


「そういう訳ですので、続けさせてもらいます」

「続ける!? 待てよ、おい! 俺はもう出したぞ! 三回もだ! もういい、やめろ!」

「やめろ、ですか?」


 情けない声で懇願するAに、自分でも冷え冷えしてるなあと思う声で答えていた。


「いくらなんでももう判っていると思いますが……敢えて言いますよ? これって、復讐なんですよね。やめろと言われて止めると思いますか? それに……あの時、私がやめてと言ったらあなた方、やめてくれましたか? ああ……違いますね。あの時、私は口を塞がれてましたから、そもそもやめてなんて言うことすらできませんでした。ですので……聞こえないふりをさせていただきます」

「な……おい、組合の奴ら! これ良いのか!? おかしいだろこんなの!」

「無駄ですよ。これもアリだって事前に確認してますから」

「はあ!? アリってどういうことだ!?」


 ちなみに確認したのはこんな感じ。

『もしも娼婦が頑張り過ぎちゃったらなにか罪になりますか?』

『頑張り過ぎって?』

『例えばですね、一回分の料金しか貰ってないのに二回、三回、とか』

『追加料金を毟り取ろうってんでそれやるのは駄目だね。でも“一晩”で買われてるなら何回だって構わないよ』

 娼婦の料金には『一回』と『一晩』という二種類があるそうで、これは従量制と定額制みたいな関係にある。手早く手軽にスッキリしたければ『一回』で、じっくり何回もいたしたければ『一晩』、そんな感じか。そして今回私が受け取ったのは『一晩』の料金だ。明日の朝まで、何回やろうとも料金は変わらない。


 一応組合側の意見も訊いてある。

『客の側がやめろと言っているのに続けたらどうなりますか?』

 この質問をする頃にはウラヤ達も私のやろうとしている事は薄々察していたようで。

『してる最中の“いや”とか“やめて”は当てにならんからなあ……』

『そうだよな。俺だってしょっちゅうマアリイにやめてって言われるけど、そのまま続けちまうし……なあ、マアリイ、ああは言ってても本当に嫌だって訳じゃないんだろ?』

『……私に何を言わせたいんだい?』

『いや、なんでもない。まあ、なんだ。お互い合意の上でやってる事なんだ。本当に嫌なら本気で抵抗するだろうし……そうでなかったとしても、これは法で裁けるような問題じゃないだろう』

 民事不介入? ちょっと違うかも知れないけれど、フェイフォン達の言わんとするところは強姦など犯罪を除けば「男女の営みのような微妙な問題は法に依る捌きにはそぐわない」という事だろう。


 多分にグレーゾーン、こじ付け、抜け道的な臭いがするものの、明確に法に反している部分は無く、『私』の「反社会的行為」基準にも引っかからない。

 だったら実行あるのみでしょう。


「一晩分の料金を頂いてますからね。何回でもできますよ」

「何回でもって……何回やるつもりなんだ!?」

「んー……そうですねぇ……あの時、私は何回やられたんでしょう。二周で十回くらいですか? あれ? もっと多い? 三周? 十五回ですか? ああ、判りました。じゃあそれでいいです。あと十二回ですね。頑張ってください」

「じゅ、じゅうに……待て……無理だ……」

「無理じゃありません。あなた達が私にした事です。自分がされるのは駄目だなんて筋が通りませんよ」


 男と女では違う部分もあるだろうが、それは承知で冷たく言い放てば、Aの顔は恐怖に引き歪んでいった。そもそも何回くらい連続で発射できるものなのかを私は知らない。Aの怯えようからして十五という数字は非現実的らしいとしか判らなかった。

 もっとも、このさい実際に出す回数なんてどうでも良い。

 このAが浮かべた恐怖の相。

 そして回数を重ねるほどに深くなる絶望。

 仙導力を流しながら、「ああ、今私は復讐をしているんだ」という確かな実感を得ていた。


「オウカ! 止めろ、もう止めろ! これ以上はヤバそうだ!」


 ウラヤの慌てた声に我に返ると、Aは白目を剥いて泡を吹き失神していた。


「もう限界ですか。では次の方を……」

「こいつはどうするんだ?」

「その辺に転がしておいて下さい」

「え?」

「疲れているのでしょう。静かに寝かせておいてあげるのがこの人の為です。そう思いませんか?」

「……お、おう、そうだな。判った」

「では改めて次の方」

「うひっ!?」


 さあ、気持ち良くしてあげますよーと右手をワキワキさせながら微笑んだら、取り巻きBは珍妙な悲鳴を上げていた。


 *********************************


 そしてどれくらいの時が過ぎたのか。

 夢中になってしまって時間の感覚が曖昧だ。

 私の足元には死屍累々と横たわる取り巻きAからDまでの四人。時折思い出したようにビクビクと痙攣しているから死んではいない。そんな彼らの着物は股間の部分が盛大にお漏らしでもしたかのように染みが広がっている。もっとドロリとしているのかと思っていたけど、意外と水気が多いようだ。

 こうして情けなくも哀れな様で転がっているのを見ると、こちらまで情けなくなってくる。「今までこんなのを怖がっていたのか」と。


「えげつない真似をしやがって……」


 そこに憎々しげな声。ヒノベだ。


「導士の力をこんな風に使うとは導士の風上にも置けん奴」

「うわ、一番言われたく相手に言われちゃいましたよ」


 確かに仙導力を普通の人に使うのは褒められた事じゃない。ましてやこんなエロ事に。悪用していると言われても否定できない。でもそれを、治安を守る傭兵でありながら強姦なんて罪を犯した男に指摘されたくない。


「取り巻きは全員片づけました。後はヒノベ、あなただけです」

「ふん、まあ手段は気に入らんがそいつらを下した手際は認めてやろう。だが、どうする? 貴様お得意の手は俺には通用せんぞ」

「そんな事は判っていますよ……」


 残るはヒノベただ一人。

 導士だ。

 仙腎検査は効かない。

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