第五話
遅くなって申し訳ありません!なるべく早く更新しようとは思っているのですがなかなか進まず……。今回は初めてちゃんとした戦闘シーンなので張り切ってみました!
「よっしゃ! ようやくワイの出番やな!」
うわっ!初っ端から暑苦しい。玄海の奴、無駄に張りきってんなあ。いったいどうしたんだ?
「ふっふっふ。この試験でワイがいいところを見せれば学校中の女子がメロメロになるに間違いない! ヨッシャー! 張り切って行くでぇ!」
ものすごく不純な動機だった。ビックリして損したぜ、たくっ。……玄海 丙、16歳。背が高くて顔もよく、おまけに勉強も運動も超が付くほど優秀という絵に描いたような天才なのに、いつも顔に浮かべているニヤニヤした顔とエセ関西弁、チャラそうな言動でプラス要素を全部マイナスへと落としているという悲しいほどに残念な奴である。本気を出したとこを見たら男も女も惚れるようなかっこいい奴になるんだが、いかんせんその本気を出す機会がなあ………。っと、そろそろ始まるか。
「では、これより実力調査試験を開始する。受験者は前へ!」
「ウィッス!」
「仮想領域「カルコニクス」展開完了。敵仮想体「キリングドール」配置完了。……仮想領域の乱れ、基準値以下をキープ。敵仮想体のコントロール率の安定を確認。よし!玄海、準備はいいか?」
「仮想領域の名前とか敵の名前とかキリングって何?とか、色々とツッコミどころ満載やけど、とりあえずオーケーっつうことにしますわ」
おお!玄海があのツッコミどころ満載の発言に耐えた!試験には全然関係ないけどすげえ!
「じゃあ、いこか! 《フィルシススカルンケルンの黎槍》! 魔術開放!」
『うむ! すべての障害をワシらのバラバラにしてやろうではないか!』
うわあ。出たよ、めちゃくちゃ長い名前のナイフ。あの魔術の意思って玄海と同じくらい暑苦しいんだよなあ。
準備が整ったのを確認したのか鮫島が試験の開始を宣言する。
「受験者の名前は玄海 丙! 使用魔術は《フィルシススカルンケルンの黎槍》! スタンバイ・レディ・ゴー!!」
試験が、始まった。
試験開始の合図と同時に敵の人形が前衛4体、後衛2体、後衛の守りに2体、前衛と後衛の指揮に1体ずづの布陣で突っ込んでくる。前衛の4体がそれぞれの手に持った槍で四方からの中距離攻撃を仕掛けてくる。なのに玄海は何もしないまま突っ立っている。何故避けようとしないのか?どうして防御すらしないのか?何も知らない奴が見たら不思議に思うだろう。だけどアイツには避ける必要も防御する必要も全く無い。
四方から攻撃が迫ってくる中、右手に持ったナイフを空高く掲げる。その瞬間、ナイフに当たった太陽の光が辺りに反射する。反射した日光。まるで槍のような光が周りにいる4体の人形を正確に貫く。すると、光の槍が貫いた人形が片っ端から細かなパーツに分解され破壊されてゆく。仲間がバラバラにされたことに驚いたのか、後衛の人形が2体まとめて強烈な魔法を放ってくる。1つでも受けたらひとたまりも無いような攻撃が玄海に降り注ぐ。なのに玄海は傷1つ無くそこに立っていた。着ている服にもなんの乱れも無い。そのことに戸惑っているうちに《フィルシススカルンケルンの黎槍》によって残っていた人形もバラバラに分解されてしまい、そこで試験の終了が確定した。
これこそが玄海 丙の魔術《フィルシススカルンケルンの黎槍》だ。喋ってて舌を噛みそうになる名前だが、侮ってはいけない。この魔術は、はっきり言って「七つの天災」に迫るほどのチート魔術だ。魔術やマホウは大体がチートだが、玄海の魔術はもはやふざけてると言って良い。まず、第一の能力に日光もしくは月光を反射した光を槍に変えて敵を貫くというもの。これだけ聞けば普通だが、これにはもう1つの効果がある。それは「槍が貫いた対象を使用者の好きなように解体する」なんていう馬鹿げた能力だ。次に、第二の能力は「太陽が沈まないかぎり決して使用者は傷を負うことも無く、死ぬことも無い」という能力。もし太陽が沈んでも月が出ていれば、月の満ち欠けに応じて不死性が高まっていき、満月のときには太陽が出ているときと同じ状態になるなんていう戦うのも馬鹿らしくなってくる能力なのだ。実質倒せるのは新月のときか日食時だけ。
まあ、例え魔術が使えなくても素で十分に強いから勝てる確率は極めて低いがな。
「はっはー! どうやっ。ワイはやっぱり最強やで~」
あんなにウザく無かったらすげえモテるのに、本当に残念な奴だ。本当に……。
「まったく、これさえ無ければなあ。……まあいい。次は天野 さくら! 前へ出ろ!」
「はーい! わっかりましたあ!」
は~。またバグキャラかよ。ホント俺も含めて多いよなこの学校は。……スタータスがバグってる奴らが。
次も試験という名のキャラ説明回。ちゃんとできるでしょうか……。