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- Prologue -

「きゃあぁぁぁっ! やばい、やばい、やばいーーーーっ!!! 行って来まーす!」




この日――、




私・門倉萌々(かどくらもも)は慌てて家を飛び出した。




昨夜、目覚ましの電池が切れた。


いや、正確には夜中にかな?




そろそろ電池が切れる頃だと思いつつ、目覚ましをセットした時点で既に


正確な時刻を刻んでいなかった。


私はそれに気付かずにいつものように目覚ましをセットして眠ってしまったのだ。




で、今朝その目覚ましが鳴る前に妹に起こされた。


目覚まし時計を見ると明け方の四時十三分で針が止まっていた。




そんな訳で遅刻を全力で回避する為にダッシュで家を飛び出したのだ。






     ◆  ◆  ◆






駅に着いてホームに下りる階段を駆け下りていると、電車が入ってくるのが見えた。




(あーっ! 電車来てるぅーっ!!)




いつも乗っている電車より二本後の電車だ。


これに乗り遅れてしまうとホントに遅刻してしまう。




しかし、そんな時に限って手に持ったままだった定期入れを落とす私。




「あっ」


階段の途中で足を止め、落ちた定期入れに手を伸ばした。


すると、急に立ち止まったものだから私のすぐ後ろにいた中年のサラリーマンがぶつかった。




「きゃっ!?」


当然バランスを崩す私。




「危ねぇなっ、もう!」


私の肩にぶつかったおじさんのチッという舌打ちが聞こえた。




そして、後頭部に物凄い衝撃を感じた――。

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