今日もアロエは元気
そのアロエを株分けで貰ってきてからもう3年くらいになる。
「立派になっちゃって」
晩酌に第三のビールを飲みながら、紘子はベランダのアロエを眺めていた。
友人にアロエが増えすぎたから、と株分けして貰ったのは、ほんの出来心だった。
植物と名前のつくものは全て枯らしてきたから、紘子は自分が植物を育てられるわけはない、と変な自信を持っていた。
ポトスもサボテンも、シクラメンもミニトマトも、バジルもパセリもみんな逝ってしまった。君もそのうち仲間に入るだろうけど、と。
どうせ、すぐに枯れちゃうだろうけど、まあ最初くらいは面倒見てやるか、という程度の気持ちだったのだ。
100均ショップで、土と植木鉢、肥料、あと水捌け良くするための石、を揃え…最近の100均って何でも揃ってすごい…頼りないヒョロヒョロの二本の葉を植えたのは春先のことだったろうか。
最初は心配だったので部屋の中で育てていた。
中々育たずに肥料液を入れると途端に、シャキッと葉が生き返ったように見えて喜んだりもしたのだ。
ところが紘子、よくものに躓くたちで、一回目躓いて蹴倒した時は、「気をつけて歩こう」と思ったものの、二度目には「またやっちゃったな」三度目には「そもそもこんな所にアロエがあるのが問題だ」と、短気なもので、アロエをベランダに出したっきりにしてしまった。
それが1ヶ月ほどだった時のことだったか。
そうなると、水やりなども忘れてしまう。最初は2日おきに水をやっていたのが、1週間おき、2週間おき、とうとう水をやるのも、何なら存在自体も忘れ、洗濯物を干すときだけ、「そういや、アロエあったな」と思い出す程度。
そうこうして、3ヶ月ほど経った時、ベランダの窓を開けると、紘子は目を疑った。やけに立派なアロエがベランダに鎮座していたのだ。
梅雨の時期も根腐れせず、連日の猛暑で太陽の光をさんさんと浴び、元気にすくすく育ったアロエがそこにいた。
あれから2度の冬を越したアロエ、冬の間は葉の色を茶色くして、やっと枯れたか?と紘子をぬか喜びさせるが、春になると葉を青くして復活する、というのを繰り返していた。
今年もまた秋が来て、茶色くなっていくのだろうが、今の所青々とした葉をピンとはって、いかにも元気そうである。
いっそ、あのへにょへにょの2枚の葉の時に廃棄しておけば。後悔してももう遅い。ここまで育ってしまっては流石に捨てられない。紘子のちっぽけな良心が「枯れてないんだから捨てちゃダメ」と訴えるので。
今日もアロエはツヤツヤ青々と無駄に元気です。




