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情報戰・pt.ⅱ

〈繪空事寒さゝへもがさうならば 涙次〉



(前回參照。)



【ⅰ】


カンテラ一味の女スパイ・涙坐。彼女は最近魔界に降りるのに怖ぢけ付いてゐた。それと云ふのも、魔界、「ニュー・タイプ【魔】」の治世となつてしまひ、彼女が透明人間化しても見破られる可能性が大なのである。そのせゐで、涙坐、魔界軍に* 誘拐された事もあり、たゞ** 金尾重悟、魔界軍參謀に撰出さる(將軍の坐は空位)と云ふ報を得るだけで四苦八苦してゐる。だが、涙坐、彼女のやるべき事は、懼れの中できちんとこなした譯で、それは彼女が無能力だと云ふ事では決してない。



* 當該シリーズ第17話參照。

** 當該シリーズ第12・13話參照。



【ⅱ】


カンテラ一味には、* 番頼母率いる通稱「番軍」なる私設軍隊が附属してゐる。今回魔界軍vs.「番軍」の戰ひを永田、描かうとしてゐるが、それに先立ち、一味攻略の下準備として、金尾は自民党との結託を構想してゐた。何故なら、魔界軍と「番軍」との實力は伯仲してゐるが、實質(** シヴィリアン・コントロールの名の元に)自民党べつたりの自衛隊を味方に付ければ、これはもう、「番軍」には到底齒が立たないからである。精鋭揃ひの「番軍」であるが、これは對・魔界軍にのみ効力を發揮するのだ。流石に近代的装備の自衛隊には、敵ふ筈がない。



* 當該シリーズ第28話參照。

** 今回PS參照。



【ⅲ】


其処で金尾、自民党が統一教會問題を突き付けられ、目の上のたんこぶ扱ひの、すつぱ拔き週刊誌に着目した。例の、テオの横流しにした怪情報を論ひ、自民党、ひいては自衛隊を靡かせやうと云ふ魂胆、である。金尾は魔界から短波ラジオを放送した-〈天使商會〉、實は宗教絡みの組織ではない! この偽情報を流したのは、カンテラ一味の天才猫・テオ! 自民党サイドは、これに依り、魔界軍・自党の共通の敵として一味を認識し、魔界軍に近付いて來た。自民党にとつてはすつぱ拔き週刊誌とカンテラ一味は、同義だつた譯である。かうして自民党と「ニュー・タイプ【魔】」逹の魔界は、「連立」した。



【ⅳ】


だがテオも「さる者」である。君繪と組み、「魔界軍參謀・金尾重悟、彼はイスラエルのガザ侵攻を支持するシオニスト」と云ふ事を、テレパシーで日本國民の中から任意で撰んだ層に送り付けた。君繪、(心ある人なら、分かつてくれる筈よ)。テオ「かうなりや國民の審判を仰ぐだけだ!」。結果、叛魔界運動が卷き起こり、カンテラ「日本國民が目醒めてくれたなら、こつちのものだ」。が、カンテラ、金尾をだうしても懲らしめてやりたい、との思ひは已むところなかつた。



※※※※


〈目を醒ます事は億劫我々は眠りの為に眠り重ねる 平手みき〉



【ⅴ】


カンテラ、「方丈」へ赴き、金尾の夢に*「修法」を用いて潜入。金尾が最後にゴーレム(東歐ユダヤ傳承の巨體の魔物)に變身した際に、じろさんの「古式拳法」の合氣パワーで手もなく敗れた苦い思ひ出を引き摺つてゐる事から、じろさんの殘像をこれでもか、と執拗に彼に送り續けた。で、金尾、だうしても勝てない者の存在に否が應でも氣付かざるを得ず、敢へなく神經衰弱に陥つた。カンテラ、大いに溜飲を下げた。



* カンテラの操る、眞言密教由来來の秘術。



【ⅵ】


結局、魔界軍と「番軍」が激突する事は、今回はなかつた譯だ。これには永田、肩の荷が下りた思ひ。



【ⅶ】


たゞ、カネの問題のみが殘つた。いかなルシフェル=仲本堯佳と云へども、「魔界健全育成プロジェクト」の成り立ち上、叛政府活動に報奨金、と云ふ譯には行かない。が、替はりに、利に聡い經濟新聞社(政府與党の景氣對策の立ち遅れ、世情不安、それに依る円安を、彼らは懸念してゐた)が、この一件に注目。依頼料を肩替はりしてくれる、と云ふ。1千萬(圓)ほどのカネが一味に轉がり込んだ。



【ⅷ】


そんな譯で、カンテラ、冒頭の涙坐の報告からは遠く隔てられたところで、事件解決の目處を得た。誰が何處で見てゐるか分からないものである。これにてこの一件についての記述は終はりかな。ぢやまた。



※※※※


〈心友と義絶政治の冬の中 涙次〉



PS: 自衛隊、災害救助隊になれば、サンダーバードみたいでカッコいゝのに... これは永田の私見ですが。何も海外派兵して、自衛官逹の貴重な生命を危険に晒すだけが、自衛隊の行くべき道ではないと思ふ。


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