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2話 過去

俺の名前は『天照朝人(あまてるあさと)』、太陽のように眩しく、希望に満ちた人生を送ろうとした、送ろうとしたはずだった。

小児性の難病、そう診断された、この世は理不尽で不条理だと思わされた。

それから僕の過ごす場所は病院の一室になった。

治験と投薬の日々、治療薬も開発中とのことだったが、完成するまでには生きていないだろう。

日に日に動きづらくなる体、僕はもうすぐ死ぬんだ、人生を諦めていた。

そんな時、僕の病室に一人の少女がやってきた。


月読美夜(つくよみみや)』彼女もまた、難病と診断された人物だった。

彼女はそう診断されても元気で明るく、太陽のように眩しかった。

そんな彼女に一度聞いたことがある。


「どうしてそんなに元気なの?」


返事はこうだった。


「世界は広いんだよ!私はいろんなことを知りたいしやりたいの、だから私は生きるのを諦めないの」

「それに、私たちのお陰で難病になる子たちの治療の役に立ってると思うと、誇らしくなって来ない?」


一目惚れしてしまった、彼女の笑顔に、光り輝く笑顔に。

眩しい彼女に感化されて、僕も少しだけ前を向いて生きようと思うようになった。

それからの日々は楽しかった。


彼女はいろんなことを知りたがり憧れていた、本にテレビにゲーム、病院内にいる大人たちに色んなことを聞き、初めて知ることがあると目を輝かせていた。

僕もそんな彼女と一緒にいろんなことを知り好きになった、小さかった世界が少しずつ大きくなっていった。

彼女は特にプロレスが好きだった、大人たちが語る名勝負、試合のビデオを見る目は特段輝いていた。


『元気があれば、なんでもできる!』


往年の名プロレスラー、その人の言葉が胸に響く。

その言葉の通り、元気でいよう、なんでもできるように、そして自分たちの身を案じてくれる大人たちに安心してもらうために。


『みーちゃん』『あっくん』お互い自然とそう呼び合う仲になり、院内では名物コンビになっていた。

僕たちの関係を茶化してくる人もいたが...その度に顔が熱くなる、ずっとこの日々が続けばいいのに、そう思っていた。


しかしそんな日々も唐突に終わってしまう。

僕よりも先に、彼女の足が動かなくなってしまったのだ。

彼女はそんなことを気にしないかのよう、笑顔であり続けた、だがそれも長くは続かなかった。

日に日に暗くなる表情、太陽だった彼女は暗く、曇っていた。


そんな彼女を元気づけようと、大人にお願いして中庭まで車椅子を出してもらう。

色んな人と喋り、たくさんの事を教えてもらったお気に入りのベンチまで。

励まそうと必死に喋りかけたが、彼女の表情は変わらなかった、そして悟ったかのように語りだす。


「あっくん、私もう長くないみたい」


眩暈がした、眩しかった彼女の笑顔は見る影もなく、不安にさせまいと作る笑顔が痛々しかった。

言葉が出ない、励まそうとしていたのに、どんな言葉をかければいいのか分からなくなっていた。

僕の気持ちを察してか、彼女の方から口を開く。


「あ~あ、元気になったらやりたいこと、たくさんあるんだけどなぁ」

「......例えば?」

「プロレスでしょ、登山したり海で泳いだり...動物と戯れたいしスキーもやりたいなぁ...あっくんは?」

「僕はね、色んなとこに旅行してみたい。色んな所の景色を見て、美味しいもの食べて楽しみたかったんだ...みーちゃんと...」


彼女は俯き、泣きそうな声でもう一つの願望を口に出す。


「もう一つあるんだ...結婚、したかったなぁ...」

「......ちょっと待ってて」


僕はそう言うと中庭の傍らに咲く1輪の花を摘み彼女へ差し出す。

今世では叶うはずがない願い、きっとこの提案は非現実的だと呆れられるだろう。


「こんなこと言うとみーちゃんは呆れちゃうかもしれないけどさ...もし来世があるんだったら、僕と結婚してくれますか?」

「...うん、いいよ、結婚しよ!」

「非現実的だなって呆れたりしないの?」

「なんで?だって死んだ後の事なんて誰にも分らないじゃない?そっか...来世があるか...」

「で?その手に持った花をどうするの?」


そう言われた僕は彼女の左手を手に取る、細く奇麗な女の子の手。

その手の薬指に持っていた花を結んであげる。


「今はこれくらいしかできないんだけどさ、指輪のつもり...たんぽぽの花、花言葉は...えっと」

「『愛の信託』『真心の愛』、ふふっ、ぴったりだね...ありがと、あっくん」


ようやく彼女らしい笑顔が見れた、涙に濡れたその顔はとても美しかった。

僕は嬉しかった、嬉しくて涙が零れてきた。


「もう、なんで泣くのさぁ...」

「嬉しかったんだよぉ...君の..君の笑顔がまた見れて、太陽みたいに眩しい笑顔が見れてさぁ...」


お互いの涙をぬぐい、僕たちは準備を始めることにした。


「よし!それじゃあ今から来世でやりたいことリストを書き出さなきゃ!あっくん手伝って!」

「うん、分かった!」


それから書き出したものはアニメのような絵空事ばかり、勇者になって世界を救う、お姫様になる、ドラゴンに乗って空を飛ぶ、二人で宇宙に行く...。

ありえない事だろうが、来世では何があるかわからない。


リストを書き出した1ヶ月後、彼女は亡くなった、最期の言葉は

『先に行って待ってるからね』

僕は笑顔で送り出したが、涙が止まらなかった。

病は気からという言葉があるが、その通りだった、彼女の存在が僕の心の支えになっていたのだろう、僕も半年ほどで天国へと旅立った。

悲しい気持ちは無かった、きっと会えるから、そう信じて。




目覚めると真っ白な空間に居た。

ここはきっと天国なのだろう、僕は死んだんだ、そう実感した。

何もない空間、せめてこう、案内人ぐらいいてもいいんじゃないか?

周囲を見渡すと人影があった、あの人が案内人だろうか、声を掛けてみよう。

近寄ってみると見覚えのある後姿をしていた、いや、あの人は...きっと、きっとそうだ。


「みーちゃん!」


声を掛けられた主は振り返りつつ驚いた、声の主に、別れと再会を約束した人物ががそこにいたから。


「あっくん!」


いつの間にか二人の体は走っていた、再開を喜ぶように、抱き合おうとした...が。


「ぶぉえっ!?」


L字に折りたたまれた腕が朝人の喉元を直撃した、ラリアットだった。


「ぉぉぉぉぉぉぉ.......な、なにすんのさ!」


不意打ちとは卑怯な!そう言いたげな目を向けるも彼女の眼は怒っていた、それはもうカンカンに。


「あっくんさぁ...また会おうねって言ったけど来るの早すぎない?諦めるの早くない?」

「いやいやいやいや、僕だって頑張ったよ!?まぁ別れて半年くらいで死んじゃったけどさ...」

「え!?半年も期間空いてるの?私まだここに来て10分くらいなんだけど」

「そうなんだ...因みに言うことがあるよね?なんで目を逸らすのかな?後ろめたいことでもあるのかな?ん??」

「...ごめん」

「ん?なんだって?声が小さいなぁ!!あー、痛かったなぁ、もっと大きい声で言ってほしいなぁ!.....待って!!ちょちょ!構えないで!ごめんなさい調子に乗りましたから!!」


拳を下ろした彼女は僕に抱きついてきた、僕も抱きつき返すと力がもっと強くなった、ちょっと痛いくらいだったが、それが嬉しかった。


「本当に...本当にまた会えた、奇跡ってあるんだね」

「僕も会えて嬉しいよ...って!体!!動かしても何ともないの?どこか痛かったりだるかったりしない?」

「それがね!ここに来てから体の底から力が湧いてくるような感じがするの!だからね、体を動かすのが楽しくって楽しくって!ほら見て!バク中もできるんだよ!」

「そ、そうなの?言われてみれば...よっ!ほんとだ!僕もバク中できた!信じられない...体がこんなに動くことが...た...たのしい...っ!」


僕たちははしゃいだ、気の済むまで、体が自由に動く事を満足いくまで。


「はぁ..はぁ...もう動けない...」

「私も...はしゃぎ過ぎちゃった....」


仰向けになりお互い汗まみれになった顔を面白がって笑いあった、そういえばテレビの中で観た光景に似ているような気がした、学園物のドラマでこんなシーンがあったなぁ。


二人で笑い合っていると突如として人影に覆われた。


「やぁお二人さん、気分はどうだい?」


唐突に表れた人物に、2人は飛び跳ねるように後退する、一体誰なのか、反射的に口が揃う。


「「だ、誰ですか!?」」


「あぁ、驚かせちゃったね、ごめんごめん。」

「簡単に言うね、神様だよ」


神だった。



「いやぁ~~~、君たちの人生見せてもらったよ!災難だったね、可哀そうに...そんな君たちに提案があります!一つ目はこのまま成仏する、二つ目は別の世界で生まれ変わり新たな人生を送る...んん~~~~~~どっち!?」


二人の考えていることは一緒だった。


((あ、怪しすぎる...))


自身を神と名乗る人物、10分ほど自身の素性、目的を延々と語り続けたと思ったら最後にそんな提案をしてきた。

未練を持ち、不幸な人生を送ってしまった者を救済し、そのついでに自身の願いを叶えてほしいとのこと。

アニメや漫画のような展開、だがどうも裏があるとしか思えなかった。


「本当に神様なんですか?」

「おや?信じてくれないかぁ~~、だったらそれを証明しよう!」

「ど...どうやってですか?」


そう言うと僕の目を覗き込んできた、全てを見透かしているかのような目。

そしてうんうんと頷き語り始めた。


「美夜ちゃんが治療に行ってる間に枕の匂いを嗅いでいたね?」

「うわあああああああああああああああああ!!!!」


まずい!絶対に誰も知らない、知られたくない事実を暴露されてしまった!!


「あっくん?なんでそんなことしたのかな?怒らないから教えて?」


笑ってるけどこの顔は分かる!生前みーちゃんのお母さんに食べていいよと勧められ、彼女の冷蔵庫に置いてあったプリンを食べた時の顔だ!いや、だってお母さんに勧められたから食べちゃうじゃん!大事に残していたなんてわかんないよそんなの...しかもその後2日間ほど口をきいてくれなかったんだよなぁ。


「そ、それは...そのぉ...」

「ん?」

「良い匂いがする人とは遺伝子的に相性が良いって聞いて...」

「ふぇっ!?そ、それで?どうだったの?」

「どうって...すごく良い匂いだったよ、ずっと嗅いでたいくらい」


そう言うと彼女は赤面しうずくまってしまった、もしかして引いてるのかな?やっぱ気持ち悪いよね...。

後ろで自称神様が満面の笑みを浮かべていた、ちくしょう...人の秘密をばらしやがって。


満足げな笑顔を浮かべた神様がターゲットをもう一人の人物に定め、口撃し始めた。


「そして君はぁ...朝人君が治療に行ってる間にベッドの上に置いてあったパンツを」

「いやあああああああああああああ!!!それ以上はやめて!!!お願い!!」

「...みーちゃん?僕のパンツに何したの?」


そう問いかけた瞬間、顔を殴られた、理不尽すぎる!!


「お願いだからそれ以上は聞かないで!一時の過ちなの!魔が差しただけなの!」

「分かった!分かったから拳を収めて!もう聞かないから!」


何故かその間神は恍惚とした表情で身悶えしながら僕たちを眺めていた、胡散臭いけど神と名乗るのは本当なのかもしれない、性格悪いけど。


「これで信じてくれたかな?にしても君たち結構おませさんなんだね」

「お墓の中まで持っていこうと思ってたのに...」

「いやお墓の中には持っていけてるんだけどね...」


僕とみーちゃんはうなだれていた、恥ずかしい歴史を暴露されメンタルがボロボロになっていた。


「ごめんごめん、意地悪すぎたね、好きでやってるわけじゃないんだよ?本当だからね?」


嘘だ、絶対に嘘だ、そう言い切れる自信があった


「んんっ!それじゃあ気を取り直して、これから二人には大きな選択肢を与えます、一つ目、未練がないなら成仏を、二つ目、転生しそのついでに僕のお願いを叶えてほしい」

「さぁ、どっちを選ぶ?」


少し悩みはしたが答えは一つだ、選んだ道がたとえ荒れた荒野だったとしても構わないさ。


「...僕は転生を選びます」

「私も、転生したい」


そう答えると神様の顔が少し変わった、なんだろう...優しくなった、かな?


「なにもやれてない...次の人生こそは、未練無く清々しい最期を迎えたい!」

「私も!やりたいことがいっぱいあるの!それに...結婚してくれるって約束してくれた人がいるしね」


そう答えてくれた彼女の顔を見たらウインクされた、危うく心臓が止まりかけてしまいそうになる、2度目になるところだった、危ない危ない。


「そう答えてくれると思ってたよ、それじゃあ転生するにあたって二人はどう生まれ変わりたい?」

「どんな感じで生まれ変われるんですか?」

「運命力というものがあってだね、出会える可能性が変わってくるんだ。」


流石に虫や動物に生まれ変わるのは...無いよね?確認しておこう。


「あの、人間に生まれ変われるんですよね?」

「それはもちろん!人間の中でも運命力の高い組み合わせ...そうだなぁ、姉弟あたりがあるね」

「それはヤダ!」


強い言葉で否定するみーちゃん、姉弟だったら絶対に出会えるから良いじゃんと思っていたが、どうしてだ?


「だって...姉弟なら結婚できないし...」


そうだった!転生先のルールや倫理観は分からないけど姉弟で結婚するのはそうだな...うん!無しだな!


「そうかぁ...だったら勇者の息子と、お姫様に転生なんてどうかな?」


勇者の息子...つまり努力次第で勇者になれる可能性が高い!勇者とお姫様が結ばれるのは物語の鉄板で王道、必然だ!


「お姫様...女の子に生まれたなら全員が一度は夢に見る存在...なる、お姫様になりたい!」

「僕も勇者になりたい!頑張ってカッコいい勇者になって、そしてみーちゃんを迎えに行くんだ!」


そういえば忘れてた、生まれ変わるなら叶えて欲しい願いがあるんだった、一体なんだろう?世界を救えとか?


「さっき、転生するなら叶えて欲しい願いがあるって言ってましたけど、なんなんですか?」


神は待ってましたとでも言わんばかりに腕組みし僕たちに語り掛ける、すごい、神っぽい!


「君たちが転生する世界、この世界は七つの国があってその内の二つの国、大国の人間国と魔王国が400年ほど戦争を続けてるんだ」

「そのせいでこの世界は進展が起きないんだ、見ててつまらなくてね...そんな状況を変えて欲しいんだ、二人の手で」


400年もの間戦争を続けてるのか...僕たちの手で終わらせることなんて出来るのか?


「そのための力を、二人には授けよう」

「病気にならない健康的な肉体、筋力、俊敏性、体力も強化しておこう」

「そして朝人君には『陽光の加護』を美夜ちゃんには『深淵の加護』を授ける」


『陽光の加護』に『深淵の加護』、よく分かんないけど凄そうな力だ。にしても...


「ふふっ、深淵の加護ってなんだか魔王が使いそうな能力だね」

「なによ!大人の魅力?っていうのかしら、底知れないものを感じさせる能力よきっと!」


しかしそこで神様はとんでもない重大発言を残した。


「あぁ、言い忘れてたけどお姫様はお姫様でも魔王国のお姫様だからね」


「「え?」」


なんと敵同士に生まれ変わることになってしまったのだ。


「嘘でしょ!?敵同士なの!?」

「他の!他の選択肢は!!」


「う~ん、残念ながら他には無いね...」


幅は広いのに姉弟か敵同士しか選択肢無いのかよ...他の選択肢運命力無さすぎるだろ!


「あーっと!そろそろ時間だ、お互い言い残すことは無いかな?」


無情にも神は告げる、この空間との別れ、つまり二人の別れ。

敵同士として生まれ変わる、出会うまでにどれ程の年月と困難が待ち受けてるのか分からない、だけどこれだけは言える、言わなきゃいけない。


「みーちゃん、いつになるか分からないけど、僕は絶対に会いに行くよ。」

「そしてその場でもう一度、結婚を申し込むね」


僕は彼女の両手を握る、別れからの再会、そして別れ。

僕の決意と覚悟を彼女も分かってくれたのかもしれない、彼女は強く握り返してくる。


「分かった、でも敵同士なんでしょ?だったら一度やりたいことがあったの」

「喧嘩したかったの、ドラマみたいな殴り合うやつ、前世では口喧嘩しか出来なかったからやりたい」


喧嘩って約束してするものだったっけ?僕の認識がおかしいのかな?まぁいいか!


「そして、勝ってあっくんを国に持ち帰るの、そしてずっと暮らす」

「僕はペットじゃないんだけど!...分かった、だったらお互い鍛えて再会しよう、僕が勝ったらそうだな...どこか静かなところに家を建てて二人で暮らそう」

「なにそれ、私が暴れん坊みたいじゃない」

「あはは、再会した時のみーちゃん、怪獣にでもなってるんじゃないかな」

「もう!バカ!」


この場を離れたら次に会うのが何年後なのか分からない、でも絶対にこの約束は忘れない、やりたいことも忘れない、再会したら果たそう、そう心に誓う。


「では良いかな?君たち二人のこれからの人生に幸多からんことを願っているよ」


体が光りだした、これでお別れなのだろう、最後に神様へ別れを告げる。


「神様、最初は疑ってごめんなさい、前の人生では何も為せなかったけど、新しい人生では何かを成し遂げるよ!」

「さようなら神様、私たちできっと世界を良くするから楽しみにしててね」


「じゃあねみーちゃん、また会おう」

「あっくん、元気でね」


そして僕らは転生した、新たなる人生へ、神に与えられた二度目の人生へ。





何も無い空間、その中で一人神様は映像を投影し始めた。


「何も成し遂げてないか...」


その映像には一人の男が映っていた。

男の名前は『不知火慶太』オリンピックレスリング競技の金メダリストにして、不屈の男だった。


『「不知火選手、金メダルおめでとうございます!前回大会前に練習中の事故により長期の離脱を強いられ、復帰は絶望視されていましたが長期のリハビリを耐え抜き不死鳥の如く復活、代表選考を勝ち抜き、

オリンピックの舞台に立たれました」

「決勝の舞台ではTF(テクニカルフォール)まであと1ポイントの状況から逆転のフォール勝ち、最後まで諦めない姿勢で金メダルを獲得されました、今のお気持ちはどうでしょうか?」


「ありがとうございます、怪我した時に引退の二文字がよぎったんですがある二人の子供たちに刺激を受けまして、執念でこの舞台にたどり着き、そして金メダルを取ることができて本当に嬉しいです!」


「二人の子供たちにどのような刺激を貰われたんですか?」


「そうですね...僕が入院してた時の事なんですが、院内に名物コンビがいまして、誰にも物怖じせず色んなことを聞いてる子達だったんですよ。ほら、僕って強面じゃないですか、でもレスリングをやってるんだって言ったら目をキラキラさせて色々聞かれて、プロレスとレスリングの違いも分かってない子達だったんですけどね。」

「最初は子供たちは未来があるからいいよなぁって思ってたんですよ、僕その時引退しようかなと思ってたのですごく羨ましかったんですよね。」


「でもその後話を聞いたら、彼らは小児性の難病患者で高校...中学生くらいまでしか生きられないんだって聞いて、驚きましたよね。それなのにも関わらずみんなに元気を振りまいて、一切自分の人生に悲観してない姿を見たら僕だって頑張らなきゃってなりますよね。」


「不知火選手が入院されていたのは5年前でしたがその子供たちは今は...」


「オリンピック代表に選ばれた際、病院の方へ確認を取ったんですが、1年ほど前に二人とも亡くなってしまったそうなんです。試合の終盤、二人が僕の背中を押してくれたような気がして...だからこの金メダルは彼ら二人のお陰で取れたもの、最高の手向けだと思っています。」


「ありがとうございます、最後に一言よろしいでしょうか」


「あっくん!みーちゃん!やったぞ!」  』



「このインタビューのお陰で難病患者救済の署名が多数集まるようになった、ねぇ」

「まぁそんなこと知る由もないか!僕の世界でどのような活躍を見せてくれるのか、楽しませてくれよ?」




物語設定を決める段階で知り合いが難病認定を受けました。

治療のための署名活動に参加の機会があればご一考お願いします。

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