1話 開戦
初投稿です、稚拙な文章、似たような設定の物語もあるかもしれませんが脳内妄想を書き出しました。
最後まで読んで頂けると嬉しいです。
『 この世界には、七つの国と、七つの種族が住んでいました。
その中の2つの国、人間国と魔王国は400年以上前から戦争を続けていました。
どうして始まった戦争なのか、二つの国で生きている人に理由を知るものはもういません。
この戦争は、いつ終わるんだろう、人々は疲れていました。
そんな二つの国に、特殊な力を持った英雄と呼ばれる者たちが誕生したのです。
先代勇者の息子、『陽光の騎士 勇者アーサー』
魔王の娘、『深淵の姫 ミスティ』
二つの国に住む人々は大いに喜びました、この戦いを終わらせてくれるだろうと。
20年の休戦期間を終え、開戦した日、勇者アーサーは英雄と呼ばれるにふさわしい活躍をしました。
魔王軍の強敵を倒し、相手の軍勢半分を一人で倒したのです。
人間軍は喜びました、自分たちが勝てると。
しかし、そんな人間軍の前に一人の魔族が現れました。
深淵の姫、ミスティだったのです。
ミスティの活躍もすさまじく、人間軍の騎士達を一人で倒し、戦場に混沌をもたらしたのです。
そして遂に二人は出会ってしまったのです。
戦場に立つ兵士たちはワクワクしていました、どちらが強いのだろう。
そう思っていた矢先、アーサーは膝をつき、こう言いました。
『一目惚れです、僕と結婚してください』
ミスティは困惑しつつもこう言いました。
『私も一目惚れしました、もちろん、喜んで』
種族を越えた愛が戦争を終わらせました、そして世界に平和が訪れました。
めでたしめでたし 題「陽光の騎士と深淵の姫」 著「ロッキー・ドーワ」 』
『え?プロポーズの所はもっとドラマティックだった?いやだって僕その時倒れてたから最後の方しか...アーサー兄が詳細に教えてよ~~、ちょっ!何恥ずかしがってんのさ!.......あっ!逃げた!....まぁいっか、子供がそんな細かいこと気にするわけないよね、さてさてどうなることやら...』
■
俺はアーサー、陽光の騎士 勇者アーサー。
先代勇者の息子にして人間族最強の称号、勇者を継ぐ者。
人間族の希望にして終戦をもたらすもの、そう呼ばれている。
20年の休戦期間の間に生まれ戦争を経験していないが10年前、子供ながら先代勇者である父に勝利し勇者の称号を譲り受けた。
なぜそんなに強いのか、父の鍛錬による影響もあるが生まれながらにして祝福されていたからだろう。
この世界において人間族はひ弱だ、対する魔族は種族ごとに異能の力を持っている。
数でこそ圧倒しているが、個の戦力では勝ち目などないレベル、そのため200年ほど前までは劣勢を強いられていた。
だがある時人間族にも異能を持つ者が生まれ始めた。
『加護』、神に授けられたとされる力はそう呼ばれている。
『陽光の加護』それが俺の持つ力、ただ、加護の力はその強さゆえに中身は単純なものが多い。
自身の身体能力や技能を強化する、他者を守る盾を生み出す、怪物を生み出し使役する。
だが俺の力は未知数だ、やろうと思った事はある程度何でもできる。
仲間に言われたことがある、どうして意味不明な力なのか、理由は知ってはいるが『神様の気まぐれなんじゃないかな』そう言い続けてきた
「ついに開戦の日ですね、兄さん」
そう話しかけてきたのは僕の義妹にして『盾の騎士フレイヤ』、彼女は休戦中に孤児となっていた所を父に拾われやってきた。
彼女は魔族とのハーフということもあり、僕たちの元へ来る前は迫害されていた。
宝石のような赤い瞳に尖った耳、そんな彼女の特徴が僕は好きだ。
だがいつだったか、そのことに関して言うと急に恥ずかしがり、バケツのようなヘルムを被りだしてしまった、非常に残念である。
そんな彼女も父のもとで修業を積み、騎士の地位と人々の信頼を得ていた、とても喜ばしいことだ。
「長かったな、ようやくこの日がきたと思うと...心が滾るな!」
20年前休戦の協約が行われた際、次の開戦は太陽が月に飲まれる日、所謂日食の日と決められた。
そして今日、ついに日食の発生日、開戦となった。
「兄さんは人間族の切り札なんですから慎重にお願いしますよ?まぁ、兄さんが負ける姿なんて想像できませんけど...」
「すまないけどそれは出来そうにないな」
「何故です?」
「あぁ、言い忘れてたな!この戦争が終わったら結婚するんだ」
「兄さん、戦争前に結婚するだなんて不吉なことを...って結婚っ!?」
フレイヤが叫んだ瞬間開戦を告げる鐘が鳴らされた
その瞬間俺は戦場に駆けていた、人間族最速の足で、光のような速さで、一刻も早くこの戦争を終わらせ思いを告げようと。
「ちょ、ちょっと兄さん!誰と!誰と結婚するんですか!!兄さーーん!!!」
フレイヤの声はアーサーに届いていなかった、やると決めたことは即座に決行、それがアーサーの信条であった。
「待ってろよ!深淵の姫!」
■
「我が名はアーサー!先代勇者オアシスの息子にして、陽光の騎士『勇者』アーサー!」
「深淵の姫は何処だ!」
400年続く戦争の主戦場、不毛の地ヴァルハラ平原。
周囲を見渡せば先達の方々の骨と武具の山、そして目の前に広がる魔族の軍勢。
俺は腕を組み足を肩幅に開きその戦場のド真ん中で啖呵を切った、己を鼓舞するよう、自身が人間族最強だという自負の元。
その言葉に反応したのは5人、そのうちの1人が前に出て口を開く。
「貴様が勇者アーサーか、我が名はサクセション。魔王国5戦鬼の長にして『輪廻』のサクセション」
20年前先代勇者オアシスと3日3晩戦い引き分けた人物、その戦闘の余波で両陣営に多大なる被害を出し、両国に休戦せざるを得ない状況を作り上げた魔族の大英雄だ。
アーサーを見下ろす圧倒的な巨躯、並みの魔族ですら卒倒し泡を吹いてしまう威圧感、だがアーサーは一歩も引かなかった。
「して、我が妹に対して何用だ?」
「おぉ!貴方が姫の兄上ですか!これは失礼、このような場での挨拶となr」
アーサーが言葉を言い切る前にサクセションは背中の大剣を抜きアーサーの胴へ打ち込んだ。
「んな!どうしていきなり攻撃するのですか兄上!」
その攻撃を間一髪で躱し、アーサーは問う。
「我の剣を躱すか、流石はオアシスの息子だ」
「なぜ攻撃するのか、その答えはだな...貴様に兄上などと呼ばれる筋合いはないからだぁ!!!」
『輪廻のサクセション』その正体は100年もの間戦いに身を置き相対した全ての魔族、人間族の武芸を吸収、己の力にすることにあった。
放った技は70年前に戦った勇者のもの、1撃目で敵の足を止め2撃目を動けぬ首へと打ち込む絶技。
(1撃目はフェイント!重心が後ろに乗ったタイミングでは避けれまい、その反応の良さが命取りだッ!)
サクセションは全身全霊の一撃を放った、目の前に現れた自身のことを兄上と呼ぶ阿保を殺すため。
最愛の妹に近づこうとする虫の息の根を止めるため、その首筋に打ち込んだ。
だがアーサーはその一撃を上体を反らし、起き上がりざまに拳を無防備なサクセションの顎に打ち込んだ。
(嘘だろ?この俺が今まで見てきた技の中でも最高峰のもの...俺ですら致命傷を免れることは出来なかったんだぞ?なぜ避けれる?こいつは...先代勇者達の遥か上を行っている......まず..い...な)
サクセションは薄れゆく意識の中、魔王軍と妹の身を案じていた、最後に観た景色は覚悟の顔に満ちたアーサーだった。
「もう一度言おう!我が名はアーサー!陽光の騎士『勇者』アーサー!」
「そして問おう!深淵の姫は何処だ!!」
残り4人の戦鬼達は驚嘆の表情を見せるも、ここで止めねば魔王軍、ひいては末妹の身に危険が及ぶと判断し、自らの命を賭してでもこの男を止めると決めた。
「「「「殺すッッッッ!!!」」」」
残り4人の戦鬼達との戦いが始まる、戦場に混沌がやってくる。
■
「魔王様!ご報告します!戦鬼長サクセション殿及び戦鬼4名が勇者アーサーに倒されました!」
「なんだと!?まだ開戦して一刻も経っておらぬぞ!?」
驚愕の声を上げたのは魔王ニルヴァーナ、200年の時を生き、戦鬼たちの父にして深淵の姫ミスティの父だ。
魔族は本能として自己中心的で好戦的な性格である、開戦当初はまとまりがなく手柄を立てようと生き急ぐ者たちで溢れ、勝てるはずの戦を無駄に長引かせていた。
長引く戦争の最中、人間族にも魔族に対抗しうるほどの力を持つ者が現れ、逆に劣勢を強いられてしまう。
しかし先代魔王急逝後、戦鬼長だったニルヴァーナは対立する幹部達をねじ伏せ、軍の中でルールを作りまとめあげ拮抗状態まで立て直したのだ。
戦史の大半を知るニルヴァーナであったが、一日と持たず戦鬼全員が打ち倒された事態など異例であった。
それに全員が自身の血縁者、生半可な鍛え方をしたつもりはなかった。
「勇者アーサー、噂には聞いていたがここまでの怪物とは...」
「その勇者アーサーですが、姫の居場所に関して聞きまわっているとのことです!」
「戦鬼達だけでは飽き足らず我が愛娘まで手に掛けようというのか...!」
「お父様」
魔王の座す広間、その傍らで読書をしていた女性が反応した。
「ミスティ...」
深淵の姫ミスティ、魔王ニルヴァーナの末子にして『加護』を持つ者唯一の魔族。
長兄サクセションに匹敵する体躯、頭部に生えた4本の角と丸太のような太い尾、漆黒のドレス。
『深淵の加護』人間族しか持ちえない、神に祝福された証。魔族達は歓喜した、神は我らに味方してくれたのだと。
幼少期は甘やかされた影響か良く言って腕白、悪く言うと暴れん坊であった。喧嘩を売ってくる魔族を返り討ちにし、その全てを自身の軍門に下していた。
崇拝と恐怖の意味を込めてついた異名が『暴君姫』
しかし10歳を過ぎた頃からその凶暴性は鳴りを潜めていた。
それと同時期からだった、内に秘める加護の力を抑えられなくなっていたのは。
見る者、近づく者を恐怖させる力が。
『深淵の姫』深淵の闇を見せられた者は自ずとそう呼びだした、そして人前には滅多に姿を現さなくなってしまったのだった。
「勇者殿は私をご所望とのこと、であれば出向くのが礼儀というものです」
「しかしミスティ、奴は戦鬼達5人を相手取り勝利するほどの傑物...お主の身に何かあれば我は心配で心配で...」
「お父様は私に甘すぎます、私も魔王ニルヴァーナの娘。この戦争を終わらせるために鍛錬を重ねてきたつもりです、それに...」
「私、お兄様たちより強いので」
ミスティは王にはみかみ会釈をし堂々とした足取りで広間を後にした。
■
「姫様、出陣なさるのですか?」
話しかけてきたのはミスティの友人兼メイドのルナシー、彼女は虫人族とのハーフである。
魔族において重視されるもの、それは血統と強さ。
ハーフゆえに幼少期はいじめを受けていた、そんな彼女を救ってくれたのがミスティだった。
そして一目惚れしてしまった、強く凛々しく寛大な彼女に。
ミスティはその日から彼女の推しになったのだ。
推しのために努力した、それこそミスティに弟子入りし地獄のような特訓を乗り越え強くなった。
そして今の立場を得た、推しを間近で見るために死さえ生ぬるい地獄を乗り越える、それがルナシーだった。
「えぇ、勇者殿が私に会いたいと仰っていてね」
「そうですか...なんだか嬉しそうですね」
昔は快活に笑いやんちゃだったミスティ、だがある時から笑わなくなってしまった。
だからこそ久しぶりに見せたその笑顔が珍しく感じた。
「勇者殿がどれほどの強さなのか気になっているの!近頃は鬱憤が溜まってしまい...今にも爆発しそうで」
ミスティが破顔した瞬間、周囲にいた衛兵たちがブルブルと震えだす。
ミスティの加護、その全容を知る者は誰一人としていない、だがたった一つ、相対した者全てに恐怖と絶望をもたらすことは間違いなかった。
(うひゃあ...久々味わうこの感覚、やっべぇなぁ...)
加護の力に誘われて、1体の生物がやってきた。
ミスティ達の眼前に降り立つ三つ首の黒竜、魔族領メタリカ山脈の主にして魔王国最強の生物。
この戦力を手駒にしようと歴代の魔王、並びに戦鬼達は挑んだが誰一人として使役することは叶わなかった。
10歳にしてピクニックと称し単身メタリカ山脈に登り、屈服させたミスティを除いては。
「それじゃ、参りましょうか」
「了解、姫様の障害は全力で叩き潰します!」
黒竜の背に乗ったミスティがそういえばと振り向いた。
「ルナシー、終戦の暁にはやりたいことがあるんだけど」
「ん?何をですか?」
「とある方との婚姻よ」
「..................!?」
突然の推しの結婚報告、祝うべきなのか嘆くべきなのか分からなかった。
脳の処理が追い付かなくなり、眩暈と動悸が止まらないルナシー、そして彼女は考えることを止めた。
ミスティは後方で白目を剥き直立不動のルナシーを後ろ目にこう呟いた。
「待ってて下さいね、勇者殿」
■
「トール兄さん、戦場ってもっとこう...危険な場所だと思っていたのですが...」
「俺だって初陣なんだからそんなこと聞かないでくれ...」
『粉砕の騎士トール』 アーサー、フレイヤとは血の繋がりこそ無いもののオアシスの元で修業し騎士となった者の一人。
トールは己の戦槌を手に眼前に広がるヴァルハラ平原にて発揮された弟弟子の活躍を眺めた。
開戦と同時に単騎で突撃したアーサーの活躍は凄まじく、既に戦鬼5名と魔王軍の半数を撃破し、何故か沈んだ顔をして自陣に戻った後だった。
「お前たち気を抜くんじゃない!まだ戦争は終わっとらんのだぞ!!」
2人に喝を入れたのは『騎士団長テュール』。
先代勇者オアシスと共に活躍し、片目片腕を失ってもなお前線に立ち続ける歴戦の猛者だ。
「大体オアシスの阿保が悪いんだ!!なにがアーサーが居れば大丈夫だから俺は引退するだ!!」
「アーサーもアーサーだ!!単騎で突っ込み暴れたかと思えば沈んだ顔して自陣に戻りおって!!あんの馬鹿一族はぁぁぁぁぁ!!!!」
(テュール団長荒れてるね...)
(そりゃそうだろ、前回の借りを返すって意気込んで20年間訓練したのにこの有様じゃ)
「ま、まぁ、戦争を終わらせる者の異名は伊達ではなかったということで...」
「ふざけるな!!俺が!!!俺の20年がぁぁぁぁぁ!!!!!」
既に勝敗は決していた。
軍の半数は壊滅、戦鬼5名を失った魔王軍は防戦一方となっている。
それ程までにアーサーの活躍は凄まじく、人間国の士気は上がるばかりだった。
しかしそんな戦場に、不可解な現象が起き始めた、一般兵が震えだし一部の者は気絶し始めた。
テュールは訝しんだ、戦場に起こった違和感に、全身に走る悪寒の正体に。
その正体は直ぐに判明した、魔王国側から飛来する1体の竜、三つ首の黒竜が見えたのだった。
「あれは...噂に聞くメタリカ山脈の主か!!あれを使役する者が現れたというのは本当だったのか!」
(まずいな...400年の戦史においても初めての事態だ、対処に手間取れば形勢をひっくり返されるぞ...)
飛来した黒竜は平原上空に居座っていた、眼下に広がる羽虫を値踏みするかの如く。
(攻撃してこないのか?何故だ?)
戦場に混沌が訪れた、人間国の兵士は泣き叫び魔王国の兵士は歓喜の雄たけびを上げる。
すると黒竜の背から一人の魔族が飛び降りた。
漆黒のドレスを身に纏い、トールに匹敵する体躯に魔族特有の角と尾を持つ女性。
眼前に舞い降りた魔族にテュールは問う。
「貴様、何者だ!」
「あら、名乗る際はご自分から名乗るのが礼儀だと教わりましたのに。誤った知識でしたの?」
「はっ!いいだろう、我が名はテュール『騎士団長』テュールだ!貴様は何者だ!」
「意外と素直な方ですのね、失礼致しました」
「私の名前はミスティ、魔王国では『深淵の姫』と呼ばれています、以後お見知りおきを」
そういうと片足を引きドレスの両端をたくし上げ、にっこりとほほ笑んだ。
歴戦の猛者でもあるテュールは恐怖した、違和感の正体は黒竜ではなく目の前に佇む魔族のものだったのだ。
「あぁ、ご安心ください。あの子には私の邪魔をしないよう言いつけてありますので」
噂には聞いていた、アーサーの誕生と同時に魔王国にも怪物が誕生していたのだと。
しかしその噂全てが出鱈目な内容だったのだ。
人間族しか持ちえない加護の力を持ち、強大な力で魔族全員の崇拝を得ていると。
わずか10歳にして、歴代魔王が使役することのできなかった黒竜を屈服させたと。
だが目の前に立つ魔族の女ならば可能だろうと思わせられたのだ。
テュールは無意識の内に体が動いていた。
目の前に現れた怪物を倒すため、今まで対峙してきたどの魔族よりも強大な敵を倒すために。
(ここで止めねばダメだ!こいつに暴れられたらここは地獄と化す!!)
腰を低くし前傾姿勢で背中の剣に手をかけ最速で抜き放つ、居合に似た構えから放たれた一撃は袈裟懸けにミスティを捉えた。
『ガィンッ!』
剣は確実にミスティへ当たっていた、しかし対象の表皮には傷一つ無かったのだ。
(な....に..?)
次の瞬間剣を折られた。
最期に見た景色は、L字に折りたたまれたミスティの腕が自身の眼前に迫っている所であった。
戦場に鳴り響く轟音と巻き起こる土煙、その中に立つ人影は1人。
「「テュール団長!!」」
ミスティの一撃によって作り出された巨大なクレーター、倒れているテュールの反応は無い。
「失礼、攻撃されたので反撃させていただきました」
「見た目はハデですが、命に別状はないのでご安心下さい」
2人には怪物の言っていることが理解できなかった、ピクリともしない『それ』はどう見ても死んでいるようにしか見えないのである。
体の震えが止まらない、目の前に倒れているのは人族最高峰の戦士だ、その人物の一撃を受け、無傷のうえたった一撃で打ち倒してしまう。そんな化け物に自分たちが敵うはずがない。
ミスティは微笑みながら問う、自身が戦場に来た意味を。
「それで、『勇者アーサー』殿はどちらでしょうか?」
トールとフレイヤは思い出した、人間国にも規格外の存在がいたことを。
弟弟子にして義兄であるアーサー、その人であればこの怪物を止めてくれると。
「残念ながら、奴は今自陣に戻っているんだ。まぁ安心してくれ、こんなに暴れてくれたら直ぐにでも駆けつけてくれるさ」
「というわけで、私たちが相手をしますよお姉さん」
武器を構える、戦槌を、剣と大盾を。勇者アーサーが来れば必ず倒してくれると信じて己を鼓舞する。
「そうですか...他のお方も参加されてはいかが?」
ミスティが言うと二人の騎士が参戦してきた。
「僕の名はロキ『童話の騎士』ロキだ、よかったら一曲踊っていかない?」
「アタシは『狩猟の騎士』ウル、恨みは特にないが育ててくれた恩義を返すため、貴女を狩る」
『童話の騎士 ロキ』『狩猟の騎士 ウル』 アーサー等と共にオアシスの元で修業を重ねた騎士達。
「ロキ!ウル姉さん!どこに行ってたんですか!テュール団長やられちゃったんですよ!!なにカッコつけてるんですか!!」」
「いやぁ、アーサー兄がさんざっぱら暴れちゃってもう僕の出番なくね?って思っちゃってさぁ」
「うっ、アタシたちの出番はもっと後だろうと寝てたらこんな状況になってしまった...すまない」
目の前で繰り広げられる内輪揉めにほんの少しのイラつきを感じ、ミスティは毒を吐く。
「随分賑やかですね...ええと、大工さんに壁、絵本作家に...痴女の方ですか?。騎士さんっていろんな方がいらっしゃるんですね。」
「「「あぁ!?」」」
「ちょ、ちょっとみんな!落ち着いて!単なる煽りだから!!抑えて抑えて!!」
三人をなだめようとするトールの声はもう聞こえていない。
目の前にいる魔族を殺す、言ってはならない事を、禁句を言った事を後悔させるため。
「誰の!!何が!!!!壁だってぇ!!」
フレイヤは激怒した、必ず、かの邪乳暴虐の姫を除かなければならぬと激怒した。
後の先を主体とした戦いがフレイヤの十八番だった、しかし頭の血液は沸騰し、血管の切れる音さえ聞こえそうなほど激昂していた。
怒りに身を任せ突進し、剣を振るうも対象には傷一つ付いていない。
反撃の拳を盾で受け止め後方へ吹っ飛ばされる、フレイアは歯噛みした、己の力量、狭量の未熟さに。
拳を振りぬいたミスティは自分の胸部とフレイヤの胸部を交互に見つめ、ほほ笑む。
「まだまだ成長の余地はありますよ、頑張ってくださいね、お嬢さん」
フレイヤの心は折れた、情けをかけられたのだ、己の力と未発達な胸部に。
「フレ姉どいてろ!」
『童話の騎士 ロキ』10年前人間国にて突如発生した集団催眠事件『童話夜行』の実行犯にして愉快犯。いたずらで都市の住民を三日三晩踊り狂わせ続けるも、催眠の効かないアーサーに殴り飛ばされ投獄されかける、しかし稀有な能力の持ち主だったためオアシスに性根を叩き直されしぶしぶ騎士となった。
『加護 童話』己の描く作品に登場する事象を現実に反映させる、想像力次第では国さえ滅ぼしかねない危険な力である。
しかし自身の力を使うためには童話を製作し、人々に認知されなければ効力を発揮されず、知られるほどその効力を増す。
ロキ自身、仕方なく絵本作家を務めている部分もあり、親しいもの以外には明かしていない秘密でもあった。
「おらよォ!!!」
ロキの所持する本から突如現れた巨大な狼、ロキの代表作『長靴を履いた緑ずきん』に登場する最強の魔物『フェンリル』、劇中では5つの都市を滅ぼし、100万の命を奪った怪物である。その最後は緑ずきんの決死の作戦により鉄製の長靴を足に結ばれ火山へ落とされるというものであった。
「あら、カワイイわんちゃんですね」
フェンリルの鋭い牙がミスティに襲い掛かる、が。
瞬時に頭部を掴み片手でねじ伏せていた、起き上がることすらできないフェンリルの見たものは右手を差し出すミスティだった。
「お手」
フェンリルは理解した、目の前に居るものは自分の住む世界の何者よりも強いと、作者であるロキや作中で己を倒した緑ずきんよりも。
そして次の瞬間、右の前足をミスティの手に乗せていた。
「んなっ!?僕のフェンリルがお手をした!?何者だよあいつは!!あぁ!やめろ!!腹を見せるな!!服従のポーズだけはやめてくれ!!!」
「だから使い魔なんぞに頼らず己の力を磨けと言われたんだ!だがいい、もう仕掛けは終わった」
『狩猟の騎士』ウル 魔獣狩猟の達人。狩猟一族に生まれるも幼少期に『山食い』と呼ばれる大猪に一族を滅ぼされ、オアシスに拾われた過去を持つ。
『加護 狩猟』加護による罠作成、五感を強化し対峙する生物の弱点を見抜く力を持つ、加護の力と幼少期に教わった狩猟技術、オアシスの元で身に着けた戦闘技術により、単身で敵討ちに成功し、拾ってくれた恩を返すため、騎士に志願した。
なお、身に着けている物は一族に伝わっていた戦闘装束である、決して趣味などではない。
フェンリルを撫でるミスティの周囲には既に罠が張られていた、ウルの合図と共に罠が起動しミスティを拘束する。
「今だ!トール!」
『粉砕の騎士』トール、人間族離れした体躯を持ち、幼少期に自身の村を襲ったはぐれ魔族を単独で撃破した過去を持つ。
長年の戦争により疲弊していく人々を助けるため、オアシスの元で騎士になることを志した優しき人物、それがトールである。
『加護 粉砕』己の膂力を強化し目の前に立ちふさがる障害全てを打ち砕く力を与える。
代名詞『騎士の鉄槌』その一撃は崩落した山を砕き、氾濫した川をせき止め、人々に希望をもたらす。
「ぬぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
トールの一撃がミスティの頭蓋を捉える、今までは災害に対し使用していた技を人間に打ち込んだのだ。
「「「やった...!」」」
しかしトールの感触に違和感があった、振りぬけなかったのだ。
「中々の攻撃ですわね、流血なんていつぶりでしょうか」
ミスティの額に一筋の血が垂れるも、ハッキリとした瞳で目の前の獲物に狙いを定めていた。
次の瞬間、体に纏わりついた拘束を振りほどき、右手でトールの顔面を掴み軽々と持ち上げ叫ぶ。
「ふぅ.....行くぞォォォォォォォォォ!!!!」
トールの心は何故か落ち着いていた、己を持ち上げることが出来る者がこの世に存在していたことに、ましてや片腕一本で。足掻いたところでミスティの体はビクともしない、この魔族は世界の理を外れた化け物だと悟る。
最期に見た青空は奇麗だった、その事に安堵しながら。
『深淵を覗くもの』相手の顔を鷲掴みにし、持ち上げ地面に叩きつける。
小細工など一切無い腕力のみの力技、ミスティの必殺技である。
先ほどのものとは比較にならない轟音と地面の揺れが三人を襲う。
地面にはテュールとの戦いによって作られたものの数倍を超えるクレーターが作られていた
残る三人は恐怖していた、破壊力だけであればアーサーに勝るとも言えるトールの一撃を受け、生きている生物がいることが。そして人間族きってのタフネスが一撃でのされたことに。
「なんだあいつは...生物としての弱点が無い、こんな奴がアーサー以外にいたとは...」
ウルの力を以てしても目の前に居る存在の全容を把握することができなかった。
ミスティの目は次の獲物に狙いを定めている、暴力を自由に振るえる嬉しさに体を震わせながら。
「もっと私を楽しませてください!!この暴力を!!私を止めてください!!!私は魔族!!あなたたちは騎士なんでしょう!?」
「騎士ならば、民のため国のため自らの命をかけて巨大な敵を打ち滅ぼして下さい!!私はそれを望んでいます!!うふふ.....あははははは!!!!!」
一粒の涙がミスティの頬を伝う。
何故涙が出るのだろう、おかしいな、こんなに楽しいはずなのに、ミスティにはこの感情が分からずにいた。
■
「はぁぁぁぁぁぁ~~~~」
勇者アーサーはうなだれていた、自身の探し人が見つからないのである。
居場所をまず聞いたのは『戦鬼』と呼ばれる『深淵の姫』の兄を名乗る魔族達、だが話を聞こうと思っても話し合いの土俵にすら立ってくれないのである。
(『深淵の姫』の名前を出した瞬間、誰がどう見ても僕を殺そうとする目をしてくる、ありえないだろう、こちらは話を聞こうとしただけなのに...)
(仕方なく眠って頂いたが...怪我はしていないはず!.........うん!力使って残りの4人は吹き飛ばしちゃったけど、まぁ大丈夫だろ!)
戦鬼達を撃破後、仇を討とうとする魔族の一般兵たちの半数を壊滅させ、遅れて到着した味方に戦線を任せてきたが、頭の中に戦争の2文字はもうなかった。
(生まれてから今日までこの日を待っていたのに....この日のために特訓してきたのに...俺の人生って何なんだろうなぁ...)
開戦から半日と経たず、勇者は燃え尽きていた。
自陣の脇に咲く花たちを愛でながら、太陽のように咲く花たちを羨ましいと思いながら。
アーサーは花を1本摘み、占いを始めた。
(.............会える、会えない、会える、会えない、会える、会え....)
自陣で待機する兵たちは困惑していた、人間族の希望が、戦争を終わらせるものが、『勇者』が落ち込んでいるのだから。
少し前まで戦場で大暴れし、勝敗を決してきたといっても過言ではない活躍をしていたのに。
普段は明朗快活に、誰にも弱さを見せず気丈に振る舞い、やるといったことは完遂させてきた男がうなだれていた、普段とは違う異常性を見てしまい、誰一人として声をかけることさえできないでいるのだった。
「アーサー!どうしたんだ!何があったんだ!」
先代『勇者』オアシスが慌てながら息子に声をかける、優等生だった息子が引きこもりになってしまい心配するかのように。
「会える....会えない...会え.......あぁ、父さん、どうしたの?」
「どうしたのじゃない!戦場で何があったんだ!」
「何かあったわけじゃ....いや、何も無かったんだよ...僕の探しているもの、求めているものが...」
「僕は、何をやってきたんだろうなぁ...」
オアシスは唖然とした、目の前に居る息子は生まれた時からどこかおかしかった。
絶対に泣かない、幼少時から戦争に備え特訓を課しても、弱音の一つ零さず全てを乗り越えてきた。
ずぼらな姉を注意し、心優しい兄を慕い、幼い妹の面倒を見て、いたずら好きな弟を叱り、他の模範であり続けた。
10歳を迎えるころには父をも超えていた、口は多少生意気になっていたが、増長せず、『英雄』足りうる人格の持ち主、神様が使わしてくれた存在なのだろうと、それがアーサーだと思っていた。
そんな自慢の息子を励ます言葉が出なかった、父親としての己の未熟さに後悔した。
「すまなかったな...俺はこんな時にどんな言葉をかければいいのかを知らないんだ、父親失格だな」
そういうとアーサーの横に座り、背中を撫でた、子供のころとはずいぶん違う背中だが懐かしくもあった。
「なぁ、アーサー、お前は何のために生まれてから頑張ってきたんだ?」
「.......父さんはさ、20年前に神様の下で約束を交わしてきたんだって言ったら、信じてくれる?」
息子の唐突な告白に、やはりアーサーは特別だったのだと確証を得る。
「とういことはやっぱりお前は神の使いか何かだったのか!いやぁ~俺の息子、立派過ぎないか?って思ってたからなぁ」
「神様の使いって訳じゃないんだけどさ...やっぱりちょっと嫌だったりする?」
「え?いや別に、お前は俺と母さんの愛の結晶だ、ちょっと特殊なだけで嫌になるもんか」
「...ありがとう、この事をいつか言おうとずっと思ってたんだ、こんな戦争の真っ只中でごめんね」
「俺だって不審に思ってたんだ、実の息子をだぞ?でも聞けなかったんだ、だからおあいこだな」
「それで、20年前に交わしてきた約束ってなんなんだ?」
オアシスは問う、神と交わした約束を、アーサーの探すものを。
「それは...運命の人との再会だよ」
オアシスの体に電流が流れた、そういえば自身の息子の浮ついた話は一切聞いたことがない。
自身が勇者を名乗っていたときはそれはもう歩けば女の方から寄ってきたものである。
「なんてロマンチックなんだ...俺と母さんなんて戦場で負傷した俺を母さんが助けてくれたのが馴れ初めなんだが...20年もの変わらない愛なんて聞いたことがないぞ」
「そ、そうなのかな?というか両親の馴れ初めなんて聞いても恥ずかしいだけなんだけど...」
「んんっ!それでね、再開の日が今日だったんだ、でもね、そこに彼女は居なかったんだ...」
息子の言葉に少しの引っ掛かりを覚えるも、父親としてではなく一人の男として励ます。
「なぁに、女ってのは時間通りには来ないものなのさ、自分のためになら何時間だって待ち続けるような男じゃないと嫌だってやつもいる、それに相手だって都合ってもんがあるだろう?20年間待ってたんだ、数時間来なかっただけでしょげてどうするんだ」
オアシスの言葉、決して重く心に響くものではなかった、だがアーサーの心の不安を軽くしたのは間違いなかった。
「そうだね、20年も待ったんだもの...あのさ、父さんから見てさ、僕ってかっこいいのかな?」
「あぁもちろんだ、悔しいけど若いころの俺よりもな、修業を重ねて人々の期待を背負ってきたんだ、きっとお前の運命の人も好きになってくれるさ、いや、なってくれなきゃ困る!相手が嫌だと言っても絶対に結ばせてやるさ!」
「ありがとう父さん、やっぱりかっこいいや」
「どうしたしましてだ、自慢の息子よ」
他愛もない親子の会話、そういえばこんなに砕けた会話はいつぶりだろうか。
父親に励まされたアーサーの目には輝きが戻っていた。
しかし次の瞬間ヴァルハラ平原におぞましいものがやってきたことを二人は感じ取る。
「なんだこの気配は...戦鬼長の奴よりも遥かに強大だぞ」
「父さん、俺行ってくるよ」
意を決し、戦場へと向かう息子。引退した身だが、その背中を押してやることが自身の役目だと感じていた。
「行ってこい、この戦争を終わらせて、運命の人に会ってこい」
戦場へ駆けていこうとする息子をオアシスはそういえばと呼び止める
「そういえばお前の運命の人って誰なんだ?」
「あぁ、『深淵の姫』ミスティです」
次の瞬間オアシスは膝から崩れ落ち、うめき声に似たものを吐き出す。
「そういうことかよ...神様あんたって人は悪い人だな...」
アーサーには確信があった、この気配はきっと彼女のものだ、胸が躍る、鼓動の高ぶりを抑えることができない。
20年前神の下で約束したあの子がすぐそこにいる、会ったら何を話そうか、自分のこと?それとも彼女の過ごした20年について語ろうか。
だが絶対にやろうと決めたことが一つある、そのことを忘れずに走っていく。
「待っててね、みーちゃん」
■
「もう終わりなんですか、騎士の皆さん?」
立っていたのはフレイヤ一人、しかしその手に持つ盾は半壊し、ヘルムはひしゃげ、肩で息をするのがやっとだった。
ロキとウルの二人は既に地面に伏し、ピクリとも動かない。
一方的に蹂躙された、フレイヤが隙を作ろうとするも、ミスティの攻撃を受け流すことができず、逆に自身が綻びになってしまっていた。
ロキとウルの二人がフレイヤをカバーしようとした所を、各個で撃破されてしまったのだ。
「バケモノ.....!」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
対するミスティは無傷、ドレスには汚れの一つすら無かった。
フレイヤはヘルムを脱ぎ捨てる、相対する魔族の理不尽さに歯噛みをしながら。
「あら?その瞳と牙は....魔族の方だったのですね」
「あたしはハーフだ!あたしは拾ってくれた恩と...仲間を守るために騎士となったんだ...」
「そうだったのですか、でも貴女では役不足です、私の目的はアーサー殿、剣を収めお帰りなさい」
「あんたも言っただろ?どんなに強大な相手でも最後まで戦う、それが騎士だ...!」
「そうでしたね、失礼しました。では、全力を持って倒しますね」
フレイヤの眼前に拳が迫る、己を葬ろうとする巨大な拳が
(ごめんみんな...ごめん、兄さん...)
己の非力さに涙が出る、目の前に居る魔族に一矢報いようと思うも、もう体が動かない。
敬愛する兄を思いながら、自分の運命を受け入れようとした。
「ゴアァァァァァァァァ!!!」
突如黒竜の叫び声が聞こえた、一人の人物が黒竜を地上へ叩き落していたのだ。
戦場に巻き上がる土煙と鳴り響く喧騒。
ミスティは己の拳を止め、異変の方へと眼を向ける。
(あの子の身に何が?私以外にあんな芸当...まさか!)
地面に伏す黒竜の上に一人の男が立っていた、燦然と輝く、太陽のような男が
「我が名はアーサー!陽光の騎士『勇者』アーサー!」
「貴女が、『深淵の姫』だな?」
堂々とした名乗りを受け、ミスティのは己の胸の昂ぶりを抑えられなくなっていた。
「えぇ、えぇ!!私が!私こそが『深淵の姫』ミスティ!ようやく...ようやくお会い出来ましたわね!」
先ほどまで相手していたフレイヤなどもう眼中になく、ミスティはやってきた太陽のような男を一心に見つめていた。
ミスティの体から漆黒が、闇が溢れてくる。
倒れる間際、フレイヤが見たものは絶対的強者達の自信満々の名乗り、歴史の転換点であった。
(勝ってね...兄さん...)
両者は歩み寄る、相対する距離が近くなるほど己の鼓動が早くなる、20年の時を経て、ついに出会う。
戦場に交わる光と闇、混沌と呼ばれるものが巻き起こる。
「こういう時は、初めましてなのか、久しぶりなのか、どちらだと思う?」
「初めましてであり、久しぶりでもある、どちらでもよろしいと思いますよ」
「う、うむ...そうか...」
「...ぷっ!あっははははは!!!!何その喋り方、似合ってないよ!」
「んなっ!...せっかく威厳ある感じの喋り方を特訓したのに...意地悪だなぁ」
20年ぶりの再会、姿形こそ変わっているが中身は昔と変わらないことに両者は安堵の顔を見せる。
「あはは!ごめんごめん!でも...かっこよくなったね」
「...ありがと、そっちこそ、その...色々とすごいね」
「ま、まぁね!でさ...その、最初にやりたいこと、覚えてる?」
「もちろん!いつでもいいよ!」
陽と陰が混ざり合う、空と地上に日食が発生し、語り継がれる伝説の幕が開けた。
次の瞬間、両者の拳がぶつかり合う。
仲睦まじく喋る時間が終わり、英雄たちの躍動の時間が訪れる。
交わした約束を果たし、その先へと行くため。
最後まで読んで下さり有難うございます、4話まで書き出せているのでそちらまで読んで頂けると嬉しいです。




